竜の恋人

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運命が回る

運命が回り出す

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それから、屋敷の者や家族(私とカルロス以外)が原因究明などの為に捜査に及んでいた。
夫からはその都度教えてもらっていた。
でないと、私が不安勝手自分から動き出す可能性があるからだとか。
カルロスだけでなく、また私が攫われでもしたらとの懸念もある様だった。

「今日調べた結果だが…」

そう言って、グラスを傾けていた。
もう、お酒を飲まないとやっておれないのだろう。それだけの我が家においての大問題だった。
夫曰く、下手したら国家間に及ぶ事項に発展するらしい。
なぜ?と思わず思ったのを表情で読み解いたのか、少し教えてもらった。

それはカルロスには既に『運命の番』がいる事。その相手が、夫の友人であり、あの時お世話になったこの国の王弟殿下。そう、ジャディール•アステード殿下である事。
王弟殿下の婚約者と言っても良い(まだ婚約式とか契約とかしていないから)カルロスが他者に拉致された。それも、元ロザリアン神聖国の皇子であり、ディール帝国の魔塔に在籍していた男となると、国際的指名手配となり、国家間で動く必要性がでてくるらしいのだ。
国の汚点とされる者がまた事件を起こしたとして…

我が国、我が屋敷に不法侵入しての拉致行為。未遂とは言え、問題視しないわけにはいかないらしい。
我が子の事であるから、問題視して守ってもらいながら事件解決してくれればと強く願った。
まぁ、あの男の事だ。なかなか捕まらないようにも思ったけれども。

最後に見たと言う侍従と庭師数名の調査結果。

従順な特性そのままのイヌ獣人族の者から聴取した報告書。
彼は書類整理など手伝ってもらっており、たまたま屋敷の通路の窓から見たと言う。
我が屋敷には獣人族の者など、他種族の者も勤めていた。
皆んないい人たちだと思っていたけれど…
彼はいい人だ。だが、侵入者が…
庭師として雇っていた者の一人が数日前に辞めていた。

庭師として優秀であったらしく、あの子が居なくなったとされる場所を任されていたらしい。

『旦那様始め、屋敷の者達皆んなが心が癒される、穏やかになれる庭を作りたい』と口癖の様に言って作業していたと。その作業が、まさかの隠し転移魔法陣設置だったとは…
小さな石で描かれており、草花などの背丈などでわかりづらくされていたとか…

しかも、長年この屋敷に潜り込んでいた男は、カルにとんでも無いことを擦り込んでいたという。
そう、潜り込んでいた男より後に入って来た者達にも、そしてカルロスにも、あの子が私達と違う色を持っているから、私達の実子ではないだとか、奴隷商人から買ったから始まって、逃げて来た子供を保護して自分たちの子供として育てているだとか…

潜り込んだ男は、カルロスが生まれた数年後から屋敷にいた。元からいる者達に気取られぬ様に年密に…
私の子供を傷つけ続けていた。
その結果が…自分の足でその場所に行ったのだろう。
洗脳と言っても良いぐらいに打ちのめされて誘導された。
心優しいあの子は、私達に伝える事も出来ずに…

それだけでも、私の心は壊れそうになった。
夫や他の子供達が側にいてくれなかったら…きっと壊れていただろう…
それだけ衝撃的な事件だった。


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