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運命が回る
運命が回り出す
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そう、あの時のあの男、マルクスの間者が屋敷内に忍び込んでいたのだ。
それも、長年緻密に計画してであろう…
その事件が起こるまで、誰も気がついていなかった。
やや平和ボケしていたのかも知れない。それだけ幸せだったから。
当時、城での仕事は長男と次男など子供達に託し、自分達は領主として夫と私、三男と四男の双子。末っ子と領内の屋敷で過ごしていた。三男と四男は領地から城に出向いていたのだけれどね。
私は夫と共に領地の見回りや、地政を行う必要があった。
自治領もだが、他領や隣接した他国から依頼を国の指示にて、自然災害援助や魔獣討伐など、多岐に行わなければいけない時もある。城での勤めを主としていた時は、家令に一任する事も多かったが、末っ子以外は子供達も大きくなっていたから…
上の子供達は、城での仕事が忙しいのか、主に首都にある屋敷を拠点に過ごしていた。
子供達の職務は政務に関したり、騎士として務めていた。
長男に関しては、両方頑張ってもらっていたしね。
そんな日々を過ごし、たまたま視察に夫と赴き、末っ子以外の家族は屋敷に居なかった。
そんな時に事件が起こったのだ。
そう、突如として末っ子であるカルロスが居なくなった。
あの子はヒト族であり、黒の色を持って生まれた。
他の子供達も、私の子供であるからと、初めは厳重にしていたけれど、特に何も起こらなかったから油断していた。
居なくなって…またあの男が…
余りの衝撃で心乱してしまい、夫と医師の判断で強制的に眠らされてしまった。
目が覚めた時には、息子は無事に戻って来ていたけれど…
緊急に子供達に連絡をしたのか、常日頃忙しい子供達全員が屋敷に戻って来ていた。
伴侶も一緒にだ。
私は緩やから服を着せられて、ソファーに座らされていた。
腰はもとより、しっかりと夫に身体を支えられてだ。
「領地の方収穫は、ほぼ例年通りだが、魔獣被害は増えてきているようだったか…討伐部隊の編成や計画を至急立てる必要があるな。後、例の事も気になっていた。カルが居なくなったと連絡が来た時は、もしやと思ったよ」
屋敷の者達がすぐさま捜索を開始したが、見つからなかったらしい。
私達も行方不明の連絡を受け、家族全員が慌てて屋敷に戻ったのだけれど…
「国の方も、今年の魔獣被害の問題は上がっています。後、誘拐事件も我が国にも…」
「魔獣被害に便乗して行っている感じなんだよなぁ~。襲われた事にして、実際は攫って闇市って事も他国で問題視されていた。」
先に戻った双子が、末っ子の魔力や匂いを辿り、見つけてくれたらしい。
発見場所は、屋敷から離れた森の石碑の近くだったとか。
周囲は小さな光の粒子が側を飛び交っていたらしい。
そして、末っ子であるカルロス…カルはリリアンの花畑に埋もれる様に横たわっていた…
特に気になる外傷は無く、抱いて連れ帰ったと言っていた。
見つかったから良かったものの、もし我が子が、あの男に連れ去って…私の身に起こった様な事をされていたとしたら…
あの男以外でも、もしヒト族であり、あの色持ちのせいでだとしたら…
ピシッピシッと不吉な音が……
横から感じる魔力と…
「ちょっと…」
夫であるアルの裾を引っ張っぱって、漏れ出る魔力を抑えてもらう様に訴える。
ハッとする夫…
怒気のせいか、窓ガラスにヒビが…入ってるだろうね~。無理もないけれど、後で家令に小言を言われそうだ。
「すまん…」
ついつい不安と苛立ちでやってしまったようだ。
子供達は、いつもの事のように冷ややかに夫を眺め、控えの者達は顔が引き攣っていた。
家令であり、執事長も勤めているベスターの眉間に皺が…
理解できるけれども、お怒りだ…
今回は私も一緒に謝ろう…
「今回は無事だったけど、何であんな所に居たんだろうな?」
「でも、周辺での問題もあるし、今回の事もあるから、屋敷の護衛はもう少し必要?」
「護衛もだが、守護結界を考え直す必要ありだな。」
「あと、その問題に関して情報を集めると共に、目先の問題も片すべきだね。」
「とりあえず、明日カルが居なくなった場所と見つかった場所を重点に確認しよう…」
「それもそうだね。」
問題山積みのようだ。魔獣被害も思った以上に報告されているから…討伐か……
家族会議で子供達からの意見を聞き、相談し、時に脱線もし、時間を許す限り行なっていった。
はぁ…………
でも、無事でよかった…
それも、長年緻密に計画してであろう…
その事件が起こるまで、誰も気がついていなかった。
やや平和ボケしていたのかも知れない。それだけ幸せだったから。
当時、城での仕事は長男と次男など子供達に託し、自分達は領主として夫と私、三男と四男の双子。末っ子と領内の屋敷で過ごしていた。三男と四男は領地から城に出向いていたのだけれどね。
私は夫と共に領地の見回りや、地政を行う必要があった。
自治領もだが、他領や隣接した他国から依頼を国の指示にて、自然災害援助や魔獣討伐など、多岐に行わなければいけない時もある。城での勤めを主としていた時は、家令に一任する事も多かったが、末っ子以外は子供達も大きくなっていたから…
上の子供達は、城での仕事が忙しいのか、主に首都にある屋敷を拠点に過ごしていた。
子供達の職務は政務に関したり、騎士として務めていた。
長男に関しては、両方頑張ってもらっていたしね。
そんな日々を過ごし、たまたま視察に夫と赴き、末っ子以外の家族は屋敷に居なかった。
そんな時に事件が起こったのだ。
そう、突如として末っ子であるカルロスが居なくなった。
あの子はヒト族であり、黒の色を持って生まれた。
他の子供達も、私の子供であるからと、初めは厳重にしていたけれど、特に何も起こらなかったから油断していた。
居なくなって…またあの男が…
余りの衝撃で心乱してしまい、夫と医師の判断で強制的に眠らされてしまった。
目が覚めた時には、息子は無事に戻って来ていたけれど…
緊急に子供達に連絡をしたのか、常日頃忙しい子供達全員が屋敷に戻って来ていた。
伴侶も一緒にだ。
私は緩やから服を着せられて、ソファーに座らされていた。
腰はもとより、しっかりと夫に身体を支えられてだ。
「領地の方収穫は、ほぼ例年通りだが、魔獣被害は増えてきているようだったか…討伐部隊の編成や計画を至急立てる必要があるな。後、例の事も気になっていた。カルが居なくなったと連絡が来た時は、もしやと思ったよ」
屋敷の者達がすぐさま捜索を開始したが、見つからなかったらしい。
私達も行方不明の連絡を受け、家族全員が慌てて屋敷に戻ったのだけれど…
「国の方も、今年の魔獣被害の問題は上がっています。後、誘拐事件も我が国にも…」
「魔獣被害に便乗して行っている感じなんだよなぁ~。襲われた事にして、実際は攫って闇市って事も他国で問題視されていた。」
先に戻った双子が、末っ子の魔力や匂いを辿り、見つけてくれたらしい。
発見場所は、屋敷から離れた森の石碑の近くだったとか。
周囲は小さな光の粒子が側を飛び交っていたらしい。
そして、末っ子であるカルロス…カルはリリアンの花畑に埋もれる様に横たわっていた…
特に気になる外傷は無く、抱いて連れ帰ったと言っていた。
見つかったから良かったものの、もし我が子が、あの男に連れ去って…私の身に起こった様な事をされていたとしたら…
あの男以外でも、もしヒト族であり、あの色持ちのせいでだとしたら…
ピシッピシッと不吉な音が……
横から感じる魔力と…
「ちょっと…」
夫であるアルの裾を引っ張っぱって、漏れ出る魔力を抑えてもらう様に訴える。
ハッとする夫…
怒気のせいか、窓ガラスにヒビが…入ってるだろうね~。無理もないけれど、後で家令に小言を言われそうだ。
「すまん…」
ついつい不安と苛立ちでやってしまったようだ。
子供達は、いつもの事のように冷ややかに夫を眺め、控えの者達は顔が引き攣っていた。
家令であり、執事長も勤めているベスターの眉間に皺が…
理解できるけれども、お怒りだ…
今回は私も一緒に謝ろう…
「今回は無事だったけど、何であんな所に居たんだろうな?」
「でも、周辺での問題もあるし、今回の事もあるから、屋敷の護衛はもう少し必要?」
「護衛もだが、守護結界を考え直す必要ありだな。」
「あと、その問題に関して情報を集めると共に、目先の問題も片すべきだね。」
「とりあえず、明日カルが居なくなった場所と見つかった場所を重点に確認しよう…」
「それもそうだね。」
問題山積みのようだ。魔獣被害も思った以上に報告されているから…討伐か……
家族会議で子供達からの意見を聞き、相談し、時に脱線もし、時間を許す限り行なっていった。
はぁ…………
でも、無事でよかった…
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