175 / 216
異世界の扉
試練
しおりを挟む
『そのまま閉めよ!我が力を貸す!!』
頭の中で声が響く。
この声は…
「アルメルア神…」
小声で姉がそう呟いた。
これがその神にお声…
『このアルメルアが力を貸す。しっかり踏ん張って閉めるが良い!』
姿は見えないが、背中に温かいものを感じる。
背後にアルメルア神が存在して、私達二人に力を分け与えてくれている…そんな気がした。
ギギギギギッ
まるで錆びついた鉄の扉を閉めるような音と感触。
だが、神の助力のお陰か、何とか後わずかという所まで締め切った。
そう、後二、三センチってぐらいに。
向こうも扉から出たいのか、急に悪あがきのように腕が出始める。
「また出てきた~~」
「引っ込め!!」
二人でガンと閉め切り、一部千切れた腕が下でピクピク動いていた。
気持ち悪いと思うけれど、今はそれどころではない。
『ユウリ、鍵を挿すのじゃ!』
そう指示されて、ハッとする。
そう、鍵が私の掌にある…
掌から剣を具現化させる。そして、短剣を取り出して鍵穴に差し込もうとした時、見えてしまった。
そこから伸びる不吉なもの。
枯れた枝のような、蔓のような…
見ようによっては腕のような物が…
なにこれ~~~~
「ユウリごめん!!」
握りしめていた手を叩かれて、短剣を下に落としてしまった。
剣を鍵穴に挿しこまないといけないのに…
一瞬呆然として落ちた短剣を見つめてしまうと、背後から声がした。
「沙也加!ダメだ。俺がやる!!」
いつの間に来たのか、姉の背後にエドワードが剣を杖のようにして立っていた。
だが、姉はその声を振り切り、急いで転がった短剣を取り、自分の手を傷つけて血を纏わせてから、思いっきり挿しこんだ。
ガチャンと鍵が施錠され、伸びてきていた蔓のような物が、姉の腕に絡まっていく。
「ウッ…アァアアアアアアアアアアア!!」
勢いよく姉の魔力が流れ出ていくのを感じる。
双子だから体感するのか…
巻きついていたものの先端が姉の腕に食い込んで…
バチバチバチ
いきなり火花が散って、姉に絡みついていた物が黒く燃え、粉々になって消えて行った。
「大丈夫ですか?」
燃やし切ってくれたのはディアブロだったようだ。
エドワード殿下も魔法で剥がそうとしてくれていたが効果がなく、姉を庇うように抱きしめて魔力を流し込んでいた。私は呆然と座り込み、アルホンスが庇いながら抱き上げた。他の者達は周りに飛び交う悪魔を寄せ付けないようにしながら討伐していった。
「あぁ、何とか扉は閉じたようです。ですが…今はとにかくこれらを片付けましょう。ユウリ様、サヤカ様を連れて一旦下がりましょう。手当が必要ですから。エドワード様もアルホンス様もこの階段は崩壊しますから、降りながら討伐していきましょう!!」
ディアブロが無茶振りな指示を出し、それが今の最善と素直に行動を起こしたようだ。
姉が燃えるように痛む腕を抱え込みながら、意識が落ちていくのがわかった…
体感していた感覚は、なぜか切れた。
アルホンスが何かしてくれたのだろう。
『サヤカ。よくやった。が、残念だがあやつを取り逃してしもうた。』
悲しそうに響く声…
だが、とりあえずの最悪は免れたんだよね…
姉が頑張ってくれたんだ。なら、私もこの後頑張って何か手伝わないといけない。
そう思いながら、今は素直にアルホンスの腕の中で守られながら壊れていく階段を降りて行った。
頭の中で声が響く。
この声は…
「アルメルア神…」
小声で姉がそう呟いた。
これがその神にお声…
『このアルメルアが力を貸す。しっかり踏ん張って閉めるが良い!』
姿は見えないが、背中に温かいものを感じる。
背後にアルメルア神が存在して、私達二人に力を分け与えてくれている…そんな気がした。
ギギギギギッ
まるで錆びついた鉄の扉を閉めるような音と感触。
だが、神の助力のお陰か、何とか後わずかという所まで締め切った。
そう、後二、三センチってぐらいに。
向こうも扉から出たいのか、急に悪あがきのように腕が出始める。
「また出てきた~~」
「引っ込め!!」
二人でガンと閉め切り、一部千切れた腕が下でピクピク動いていた。
気持ち悪いと思うけれど、今はそれどころではない。
『ユウリ、鍵を挿すのじゃ!』
そう指示されて、ハッとする。
そう、鍵が私の掌にある…
掌から剣を具現化させる。そして、短剣を取り出して鍵穴に差し込もうとした時、見えてしまった。
そこから伸びる不吉なもの。
枯れた枝のような、蔓のような…
見ようによっては腕のような物が…
なにこれ~~~~
「ユウリごめん!!」
握りしめていた手を叩かれて、短剣を下に落としてしまった。
剣を鍵穴に挿しこまないといけないのに…
一瞬呆然として落ちた短剣を見つめてしまうと、背後から声がした。
「沙也加!ダメだ。俺がやる!!」
いつの間に来たのか、姉の背後にエドワードが剣を杖のようにして立っていた。
だが、姉はその声を振り切り、急いで転がった短剣を取り、自分の手を傷つけて血を纏わせてから、思いっきり挿しこんだ。
ガチャンと鍵が施錠され、伸びてきていた蔓のような物が、姉の腕に絡まっていく。
「ウッ…アァアアアアアアアアアアア!!」
勢いよく姉の魔力が流れ出ていくのを感じる。
双子だから体感するのか…
巻きついていたものの先端が姉の腕に食い込んで…
バチバチバチ
いきなり火花が散って、姉に絡みついていた物が黒く燃え、粉々になって消えて行った。
「大丈夫ですか?」
燃やし切ってくれたのはディアブロだったようだ。
エドワード殿下も魔法で剥がそうとしてくれていたが効果がなく、姉を庇うように抱きしめて魔力を流し込んでいた。私は呆然と座り込み、アルホンスが庇いながら抱き上げた。他の者達は周りに飛び交う悪魔を寄せ付けないようにしながら討伐していった。
「あぁ、何とか扉は閉じたようです。ですが…今はとにかくこれらを片付けましょう。ユウリ様、サヤカ様を連れて一旦下がりましょう。手当が必要ですから。エドワード様もアルホンス様もこの階段は崩壊しますから、降りながら討伐していきましょう!!」
ディアブロが無茶振りな指示を出し、それが今の最善と素直に行動を起こしたようだ。
姉が燃えるように痛む腕を抱え込みながら、意識が落ちていくのがわかった…
体感していた感覚は、なぜか切れた。
アルホンスが何かしてくれたのだろう。
『サヤカ。よくやった。が、残念だがあやつを取り逃してしもうた。』
悲しそうに響く声…
だが、とりあえずの最悪は免れたんだよね…
姉が頑張ってくれたんだ。なら、私もこの後頑張って何か手伝わないといけない。
そう思いながら、今は素直にアルホンスの腕の中で守られながら壊れていく階段を降りて行った。
1
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる