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異世界の扉
試練(アルホンス)
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ほんの一瞬の出来事で目を瞑り、ふと腕の中にいたはずの愛しい温もりが消えた事に驚愕した。
この土地自体は、本来の姿を取り戻したのであろうが、私の…
彼女に施している自分の魔力を辿る。
見つけた彼女は、見知らぬ男の腕にいた。
私の大切なもの。私の半身。私のものを奪うものは許せない。
抜刀して奪い返すが如く相手に襲い掛かろうと攻撃を…
「初めまして、私はシルバーと申します。我が主の伴侶の方であらせますか?」
そう言いながら、にこやかに近づいてきた。
何故か怒りが霧散していく。不思議な感覚だ。
この男は敵ではない。
そう本能が教えてくるような感覚だ。
剣を鞘に戻し、彼女を受け取る。
そっと優しく渡された彼女は、安心したように眠っていた。
顔色も悪くはない。
「私はこの地、別次元に続く場所に封じられていたものです。こたび、神の導きでこの方、新たな主人を得ることとなりました。シルバーと申します。我が主の剣として盾として支えさせていただく所存。今後ともよろしくお願いいたします。」
そう言って跪き、騎士の最上礼を行った。
向こうでディアブロが満足そうに頷いている。
と言う事は、この者を手に入れる事が、神から示唆された事か?
「私はあくまでおまけの様なものでしょう。神から示唆された物は多分これかと…」
シルバーと名乗る銀髪に青い瞳の騎士が異空間からとある物を取り出して見せた。
「あぁ、これは他の者には認識されていませんので、心配されなくても大丈夫ですよ。これは『扉』を閉めるために必要なもの。触れれるのは異世界から来られた女性のみです。私以外ですがね。」
そう言ってまた仕舞われてしまった。
浄化の後、いく必要性がある場所があると説明されていたが、いつの間に…
これも神の仕業か?
「我が主人は、私の封印を解かれるために多くの魔力を使われてしまった。向こうに休める場所があるのでそこに移動しませんか?もと神殿跡地で、聖地に近い力を保持した場所です。そこで休まれたら直ぐに魔力も戻られるでしょう。
」
「そんな神聖な場所であったなら、なぜこの場所で魔素溜まりが発生したんだ?」
魔素は何処にでもある。ただ、負の感情が多くなるとある一定の場所に溜まりやすくなり、それが膨大になると魔素溜まりとして魔獣などが発生してしまう。神聖な場所であれば、負の感情が溜まりにくいと思われるが…
「そこは神々の都合も関与しているので、私の口からは説明できません。神は…身勝手ですから…」
少し寂しそうに表情を表した。
なるほどな…
「わかった。深くは追求しない。ユウリは不思議な者達と縁を結ぶようだ。彼女に害をもたらさないのなら…私から奪わなければ、まぁ良いだろう。」
異世界から来た私の愛しい者。
彼女を私から奪うなら、たとえ神であろうと許しはしないが、そうでなく、彼女を守り護る者であれば…
受け入れるしかないだろ…
この土地自体は、本来の姿を取り戻したのであろうが、私の…
彼女に施している自分の魔力を辿る。
見つけた彼女は、見知らぬ男の腕にいた。
私の大切なもの。私の半身。私のものを奪うものは許せない。
抜刀して奪い返すが如く相手に襲い掛かろうと攻撃を…
「初めまして、私はシルバーと申します。我が主の伴侶の方であらせますか?」
そう言いながら、にこやかに近づいてきた。
何故か怒りが霧散していく。不思議な感覚だ。
この男は敵ではない。
そう本能が教えてくるような感覚だ。
剣を鞘に戻し、彼女を受け取る。
そっと優しく渡された彼女は、安心したように眠っていた。
顔色も悪くはない。
「私はこの地、別次元に続く場所に封じられていたものです。こたび、神の導きでこの方、新たな主人を得ることとなりました。シルバーと申します。我が主の剣として盾として支えさせていただく所存。今後ともよろしくお願いいたします。」
そう言って跪き、騎士の最上礼を行った。
向こうでディアブロが満足そうに頷いている。
と言う事は、この者を手に入れる事が、神から示唆された事か?
「私はあくまでおまけの様なものでしょう。神から示唆された物は多分これかと…」
シルバーと名乗る銀髪に青い瞳の騎士が異空間からとある物を取り出して見せた。
「あぁ、これは他の者には認識されていませんので、心配されなくても大丈夫ですよ。これは『扉』を閉めるために必要なもの。触れれるのは異世界から来られた女性のみです。私以外ですがね。」
そう言ってまた仕舞われてしまった。
浄化の後、いく必要性がある場所があると説明されていたが、いつの間に…
これも神の仕業か?
「我が主人は、私の封印を解かれるために多くの魔力を使われてしまった。向こうに休める場所があるのでそこに移動しませんか?もと神殿跡地で、聖地に近い力を保持した場所です。そこで休まれたら直ぐに魔力も戻られるでしょう。
」
「そんな神聖な場所であったなら、なぜこの場所で魔素溜まりが発生したんだ?」
魔素は何処にでもある。ただ、負の感情が多くなるとある一定の場所に溜まりやすくなり、それが膨大になると魔素溜まりとして魔獣などが発生してしまう。神聖な場所であれば、負の感情が溜まりにくいと思われるが…
「そこは神々の都合も関与しているので、私の口からは説明できません。神は…身勝手ですから…」
少し寂しそうに表情を表した。
なるほどな…
「わかった。深くは追求しない。ユウリは不思議な者達と縁を結ぶようだ。彼女に害をもたらさないのなら…私から奪わなければ、まぁ良いだろう。」
異世界から来た私の愛しい者。
彼女を私から奪うなら、たとえ神であろうと許しはしないが、そうでなく、彼女を守り護る者であれば…
受け入れるしかないだろ…
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