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異世界の扉
試練(アルホンス)
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優里と共に、例の扉へと向かう準備が整い、『さぁ出発』という時に、彼女の姉達を乗せた竜人と魔人族?と思われる男が飛んで現れた。
驚いたが、彼女達ならその行動もあり得るかと納得する。
多くを会話したわけではない。会ったのはあの時だ。
ただ、優里からと、自分が放った者達。そして国家間での情報収集などから得た上での考えだ。
優里は姉との再会で喜んでいるようだから、私は彼らからも直接情報を得ようと、集まるように側に行った。
その時に、ディアブロと言う男の事を教えられた。
神に関しての情報は、何がしかの制限がかかってか出来ない事が多かった。『神から送られてきた者』との事で、とりあえず納得した。
納得はしたが、どうしても気にはなる。
竜人族特有の能力を駆使して、周りの反応やその他を聞き耳をたてながら情報を集め、会話に入っていた。
すると、あのディアブロという男が、私の優里に懇願した。
そして、『お願いとは?』と聞き、そっと右手を取られ、懇願するように見つめられているのを確認してしまった。
飛び込んで行きたいが、なぜかそちらに向かえない。
他の者達も気にしていない様子だ。
そう、気にしているのは、私とエドワード殿のみ。
だが彼も身動き出来ないようだった。
これは一体どうするべきか。とりあえず見守れば良いのだろうが…
奥歯をギリッと噛み締めて様子を見ることにした。
「はい。ユウリ様には、是非私と共に来ていただきたいと思います。浄化の後、少しどうしても必要な事がございまして。」
「浄化の後の必要な事?」
「はい。我が君。我が主人の大切な方でもあられますので、全力でお守りし、お助けいたしますので。」
「その…あなたの主人と私との関係はよくわかりませんが、あの扉に関して必要な事であれば…」
「はい。よろしくお願いいたします。あと、サヤカ…様でしたか…」
「えっと、私の扱いおかしくない?」
「いいえ、滅相もない。あなたには、浄化の後に近くの神殿に赴いてからこちらに戻って来ていただきたい。どうしても必要な事ですから。よろしくお願いしますね。」
そう淡々とした様子で説明したようだ。
ふむ…。
『わかった。』と了承を唱えて、ディアブロがパチンと指を鳴らした。
うん、動ける。さっきの会話が聴かれたくないものを含んでいたから、多くの魔法結界を展開し、今解除したのだろう。とんでもない男がいた者だ。
敵に回したくないな…
大急ぎで彼女達のもとに走っていく。
「少しだけ、遮断させて頂いただけです。ほら、私がお二人だけにお願いすると、ね。」
そう聞こえてきたから、話を合わすことにした。
あの男、気づいていた。
「サヤカ、何か言われたのか?」
そう言って向こうでは、エドワード殿下が心配そうにサヤカを見つめ聞いていた。
『大丈夫』だと返事をしている。あの二人は『運命の番』だろうと認識していたから、特に深く考えることもない。
「優里。何もされてないか?大丈夫か?」
私にとっては、ユウリが最優先だ。
抱き込んで確認する。
あのディアブロの術式や対応などで、心や身体を傷つけられていたら…
うむ。大丈夫そうだ。
そっと背中に手を回されて、『大丈夫』とぽんぽん叩かれた。
私に対して子供扱いだと思う。それぐらい私自身が焦っていたように思われたと言うことか。
私の背後には、優里の護衛兼執事のグレデリックが心配そうにしている姿が確認できた。
まぁ、そうなるか。隷属契約させられている主に対して、ディアブロの対応が…。
だが、あの神から使わされたディアブロが、優里とサヤカにだけあえて伝えたと言う事は、二人だけでそれぞれ何か特別な行為。もしくは危険を伴う行為をさせようとしているのか。
神のご意志といえど…
必要事項なのだろう…神からの密命で行動しないといけないのはこの二人のみ。
関われるところまでは…
彼女達からもしくはディアブロから言われれば、それに対して瞬時に対応できるように策を練ることにした。
驚いたが、彼女達ならその行動もあり得るかと納得する。
多くを会話したわけではない。会ったのはあの時だ。
ただ、優里からと、自分が放った者達。そして国家間での情報収集などから得た上での考えだ。
優里は姉との再会で喜んでいるようだから、私は彼らからも直接情報を得ようと、集まるように側に行った。
その時に、ディアブロと言う男の事を教えられた。
神に関しての情報は、何がしかの制限がかかってか出来ない事が多かった。『神から送られてきた者』との事で、とりあえず納得した。
納得はしたが、どうしても気にはなる。
竜人族特有の能力を駆使して、周りの反応やその他を聞き耳をたてながら情報を集め、会話に入っていた。
すると、あのディアブロという男が、私の優里に懇願した。
そして、『お願いとは?』と聞き、そっと右手を取られ、懇願するように見つめられているのを確認してしまった。
飛び込んで行きたいが、なぜかそちらに向かえない。
他の者達も気にしていない様子だ。
そう、気にしているのは、私とエドワード殿のみ。
だが彼も身動き出来ないようだった。
これは一体どうするべきか。とりあえず見守れば良いのだろうが…
奥歯をギリッと噛み締めて様子を見ることにした。
「はい。ユウリ様には、是非私と共に来ていただきたいと思います。浄化の後、少しどうしても必要な事がございまして。」
「浄化の後の必要な事?」
「はい。我が君。我が主人の大切な方でもあられますので、全力でお守りし、お助けいたしますので。」
「その…あなたの主人と私との関係はよくわかりませんが、あの扉に関して必要な事であれば…」
「はい。よろしくお願いいたします。あと、サヤカ…様でしたか…」
「えっと、私の扱いおかしくない?」
「いいえ、滅相もない。あなたには、浄化の後に近くの神殿に赴いてからこちらに戻って来ていただきたい。どうしても必要な事ですから。よろしくお願いしますね。」
そう淡々とした様子で説明したようだ。
ふむ…。
『わかった。』と了承を唱えて、ディアブロがパチンと指を鳴らした。
うん、動ける。さっきの会話が聴かれたくないものを含んでいたから、多くの魔法結界を展開し、今解除したのだろう。とんでもない男がいた者だ。
敵に回したくないな…
大急ぎで彼女達のもとに走っていく。
「少しだけ、遮断させて頂いただけです。ほら、私がお二人だけにお願いすると、ね。」
そう聞こえてきたから、話を合わすことにした。
あの男、気づいていた。
「サヤカ、何か言われたのか?」
そう言って向こうでは、エドワード殿下が心配そうにサヤカを見つめ聞いていた。
『大丈夫』だと返事をしている。あの二人は『運命の番』だろうと認識していたから、特に深く考えることもない。
「優里。何もされてないか?大丈夫か?」
私にとっては、ユウリが最優先だ。
抱き込んで確認する。
あのディアブロの術式や対応などで、心や身体を傷つけられていたら…
うむ。大丈夫そうだ。
そっと背中に手を回されて、『大丈夫』とぽんぽん叩かれた。
私に対して子供扱いだと思う。それぐらい私自身が焦っていたように思われたと言うことか。
私の背後には、優里の護衛兼執事のグレデリックが心配そうにしている姿が確認できた。
まぁ、そうなるか。隷属契約させられている主に対して、ディアブロの対応が…。
だが、あの神から使わされたディアブロが、優里とサヤカにだけあえて伝えたと言う事は、二人だけでそれぞれ何か特別な行為。もしくは危険を伴う行為をさせようとしているのか。
神のご意志といえど…
必要事項なのだろう…神からの密命で行動しないといけないのはこの二人のみ。
関われるところまでは…
彼女達からもしくはディアブロから言われれば、それに対して瞬時に対応できるように策を練ることにした。
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