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異世界の扉
試練
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目が覚めたら、簡易テントの中だった。
「いつの間に?ここは?今は?」
ゆっくりと起き上がり、小声で呟くように自分の中で確認していく。
テントには、セイクリオン家の紋章が入っていたから、みんなの所に戻れたとは思うが…
「目が覚められましたか?」
そう言ってお水を渡してきたのはグレデリック。そして、もう一人の男性が控えているのが見えた。
こくりと喉を鳴らして水を飲み干し、コップをグレデリックに渡す。
「えっと…」
「ユウリ様。私はシルバー。貴方様に封印を解いて頂き、主従の契約させて頂いた者です。これからは、貴方様の剣として盾として仕えさせていただきます。よろしくお願いします。」
そう言って最上級の騎士の誓いをたてられた。
「主従の契約?」
一瞬、グレデリックの様な隷属でもしたのかと焦って首筋にそれらしきものがあるか見つめて確認したが…うん、無いね。
「見た目には刻印は見えません。血液を媒体に魔力で魂に刻印されております。」
そう言って、とても眩しい笑顔を送られた。
この世界は本当に綺麗な人が多い。
綺麗にも色々あるけれどね。
この騎士はどちらかといえば、中性的に綺麗だと思う。
腰まで伸ばされた銀髪に澄んだ青い瞳。ガッシリではないが、鍛えられた筋肉がついているのを感じられた。
「私はユウリ様にシルバーと名付けられました。ですので、如何なる危険な場所にも馳せ参じますので、ご安心ください。」
「えっと…『シルバー』って私がつけたの?元々の名前があるでしょ?何で私が?」
「封印の場で、私はスライムにされておりました。それに関して詳しいことはまた後日。主格は青いスライムです。後は属性に応じてのスライムに力が拡散分裂させられていました。鍵である剣に血液を通しての魔力操作がされ、封印は解けて、契約となっております。私は貴方様の剣であり盾。場合によっては杖として支えさせていただきます。」
よくわからないけれど、アルメルア神の導きで出会って、封印を解いたら私と主従の契約を結ぶに至ったいう事?
私が手に入れる必要性が有ったのは?
「『異世界の扉』を封印されるのをお望みなのですね。それに必要な物は、多分これかと…」
シルバーから渡されたのは、小さな剣。
まるで護身刀のような感じに思えた。
綺麗な装飾を施され、そっと抜くと、白い刃が見えた。
こんなの、あの場所にあったっけ?
記憶にない…
「少しだけ失礼致します。」
そう言うと、渡された剣をそっと奪われた。
そして、私の右手を取り…
グサリと刺された。
「痛っ!!」
一瞬の痛みに伴い血が滲む。持ち上げられるかと思ったが、そのまま押し込められた。
掌に血が滲むと剣に吸収されるような感じで一瞬刃が赤く染まり、掌が熱く感じて魔法陣のような物が浮かび上がり…
掌の中に沈んでいった。
痛みは一瞬。熱く感じたのも一瞬。
後は呆然と見つめ、最後まで入りきり掌の中に収まれば、装飾されていた剣の鞘も消えていた。
「さっきの剣が必要な時は、念じれば現れます。また、危険な場合は自ら現れ危険回避するでしょう。」
「自ら現れて?」
「はい。ユウリ様の血で契約がなされ、主人の願いの時にもですが、危険と魔剣である短剣が判断すれば、自己防衛のように主人を守るように…」
「魔剣なんだ…」
「はい。」
この何ともいえない行為。側から見れば危険きまわりない行為をされていた時、私の護衛であり専属執事であるグレデリックは動けなかった。そして、いつの間にテント内に入ってきていたアルも目を見開き凝視したまま動きが止まっていた。
掌を見つめた後、周りの状況をみて驚き…
シルバーがパチンと指を鳴らすと、時間が動き出すように、みんなが…
うん、どさっと地に足をついて倒れ込むのを何とか堪えたようだ。
「いつの間に?ここは?今は?」
ゆっくりと起き上がり、小声で呟くように自分の中で確認していく。
テントには、セイクリオン家の紋章が入っていたから、みんなの所に戻れたとは思うが…
「目が覚められましたか?」
そう言ってお水を渡してきたのはグレデリック。そして、もう一人の男性が控えているのが見えた。
こくりと喉を鳴らして水を飲み干し、コップをグレデリックに渡す。
「えっと…」
「ユウリ様。私はシルバー。貴方様に封印を解いて頂き、主従の契約させて頂いた者です。これからは、貴方様の剣として盾として仕えさせていただきます。よろしくお願いします。」
そう言って最上級の騎士の誓いをたてられた。
「主従の契約?」
一瞬、グレデリックの様な隷属でもしたのかと焦って首筋にそれらしきものがあるか見つめて確認したが…うん、無いね。
「見た目には刻印は見えません。血液を媒体に魔力で魂に刻印されております。」
そう言って、とても眩しい笑顔を送られた。
この世界は本当に綺麗な人が多い。
綺麗にも色々あるけれどね。
この騎士はどちらかといえば、中性的に綺麗だと思う。
腰まで伸ばされた銀髪に澄んだ青い瞳。ガッシリではないが、鍛えられた筋肉がついているのを感じられた。
「私はユウリ様にシルバーと名付けられました。ですので、如何なる危険な場所にも馳せ参じますので、ご安心ください。」
「えっと…『シルバー』って私がつけたの?元々の名前があるでしょ?何で私が?」
「封印の場で、私はスライムにされておりました。それに関して詳しいことはまた後日。主格は青いスライムです。後は属性に応じてのスライムに力が拡散分裂させられていました。鍵である剣に血液を通しての魔力操作がされ、封印は解けて、契約となっております。私は貴方様の剣であり盾。場合によっては杖として支えさせていただきます。」
よくわからないけれど、アルメルア神の導きで出会って、封印を解いたら私と主従の契約を結ぶに至ったいう事?
私が手に入れる必要性が有ったのは?
「『異世界の扉』を封印されるのをお望みなのですね。それに必要な物は、多分これかと…」
シルバーから渡されたのは、小さな剣。
まるで護身刀のような感じに思えた。
綺麗な装飾を施され、そっと抜くと、白い刃が見えた。
こんなの、あの場所にあったっけ?
記憶にない…
「少しだけ失礼致します。」
そう言うと、渡された剣をそっと奪われた。
そして、私の右手を取り…
グサリと刺された。
「痛っ!!」
一瞬の痛みに伴い血が滲む。持ち上げられるかと思ったが、そのまま押し込められた。
掌に血が滲むと剣に吸収されるような感じで一瞬刃が赤く染まり、掌が熱く感じて魔法陣のような物が浮かび上がり…
掌の中に沈んでいった。
痛みは一瞬。熱く感じたのも一瞬。
後は呆然と見つめ、最後まで入りきり掌の中に収まれば、装飾されていた剣の鞘も消えていた。
「さっきの剣が必要な時は、念じれば現れます。また、危険な場合は自ら現れ危険回避するでしょう。」
「自ら現れて?」
「はい。ユウリ様の血で契約がなされ、主人の願いの時にもですが、危険と魔剣である短剣が判断すれば、自己防衛のように主人を守るように…」
「魔剣なんだ…」
「はい。」
この何ともいえない行為。側から見れば危険きまわりない行為をされていた時、私の護衛であり専属執事であるグレデリックは動けなかった。そして、いつの間にテント内に入ってきていたアルも目を見開き凝視したまま動きが止まっていた。
掌を見つめた後、周りの状況をみて驚き…
シルバーがパチンと指を鳴らすと、時間が動き出すように、みんなが…
うん、どさっと地に足をついて倒れ込むのを何とか堪えたようだ。
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