竜の恋人

異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

「旦那様…」

そう言われて、ベスターに引っぺがされて、連れて行かれました。
あの素晴らしい竜体を見たせいか、うん、流石ベスターだと思った。

しばらくして着替えて来たアルが、私の横に陣取って座ると思いきや、やっぱりか…
しっかり持ち上げられて、ぎゅーって抱きついたと思ったら、お膝の上に降ろされました。

さっきも確認したと思うのに、また確認しています。


「はぁ～～～～～～っ、本当に心配したよ。予測はしていたけれど、やっぱり屋敷にまで手を伸ばしたか…でも無事でよかった。実際に確認するまでは気が気でなかった。」

そう言いながら、さらに腕の中に閉じ込められた。

「予測してたの？ベスター達のおかげで助かったけれど…」

思わずそう聞き返してしまう。
確かに屋敷には竜人や魔人、獣人といった人が多いとも聞いていたし、騎士団もいるからとも聴いていたけれど…

チラッと私の方に視線を送り、『しまった！』みたいな表情をしたが、頭をガシガシとかいてから、真剣にこちらを見て来た。

「一口だけ先に…」

そう言って、テーブルの上に置かれたカップに手を伸ばし、一口飲んで戻す。

「実は、この屋敷に連れて来る前に殿下から話はあったんだ…」

そう言って、話し出した。