竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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「今回のもう一つ新たにした情報は、現在の大陸と、その近辺の島々。そして、この地より遥か彼方の北の大陸。
この二つに仕切られているもの。この世界に生まれ落ちた魔族達は滅する事はできず、この地より海の向こうの大陸に追いやる事となっている強力な壁となる結界。ディール帝国より北の海に施された障壁に亀裂をもたらした人物。もしくは、亀裂をもたらせる事に協力した人物として、あの男が確定された。」

マルクスと呼ばれた男。
そう、身分剥奪されたが、元ロザリアン神聖国の皇族の一人だ。
私を捕らえたあの男が…

「奴は『聖女の力』や『異世界人』。そして、魔族と繋がった『世界の扉』『異世界の扉』とそこから現れる『悪魔』に興味を持っていた。要するに、『この世界以外の者達の力』に、異常なまでの執着心を持っている。それを踏まえて、時々障壁を潜り抜けた魔族と繋がり、今回の衝動となったようだ。初めはわずかな小さなものであり、修復作業を行うも、隙間を縫ってこの地に魔族が隠れ住んでいたのだろう。それらと、どこで出逢ったのかは分からないが、お互いの利益を見出して協力となったと考えられる。障壁が破壊されれば、多くの魔族が来襲してくる。いくら浄化作業を行なっていても、来襲による悲劇によって負の感情が膨大となり、扉が開かれるのが早まる危険性がある。これは、何としても阻止しないといけない。例えそれが偽りであっても、確認作業は必須だ。」

「そうですね…そんな恐ろしい事が現実に起こってしまえば…」

どう言って良いのか分からない。下手に気休めを言ってもいけないのだもの…

「私に手伝える事は有りますか?姉ほどではなくても、お力になれる事は?」

思わず胸元の服を摘んでしまう。

そっと優しく頬を撫でられ…

「出来ればこの屋敷の敷地内にいて欲しい。屋敷の者達は精鋭揃いだ。しかも、魔力もだが、力も強い竜人族の者が多い。きっと君を危険から回避させ、守ってくれる。もちろんその筆頭はこの俺だ。後、君が作るポーションは素晴らしい効果がある。無理はしてもらいたくないが、できたらシュタルク領で作っていた時と同じように、作ってくれたらありがたい。」
「是非作らせてください。みんなの為に沢山作りますね。」
「いゃ、嬉しいんだが、無理は絶対にしないで欲しい。絶対にだ。これを守ってもらえないのであれば…俺は君を閉じ込めてしまうかも知れない…」

閉じ込められるのは嫌だ。屋敷内も、軽度の監禁とも言えるけど、この場合は絶対に室内だよね。それは嫌。
屋敷内なら…まぁ…

「わかった。約束する。でも、アルも無理は絶対にしないでね。もし無理したら、私、約束破っても無茶するからね。」
「それは嫌だな。わかった。じゃ、お互い無理しないと約束しよう。」

そう言って笑い合い、その話はそれで今夜は終わりにした。
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