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異世界で愛を呟かれ
異世界で愛を呟かれ
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アルがまた私の隣に座る。
もうこれで彼の用事は済んだのかと思ったが、彼はまた胸元に手を入れて今度は書状の様なものを取り出した。
そして、ペンも一緒にだ。
「これは?」
この世界の言葉は読み書きできる様になっているはずなのに、ここに書かれている言葉は何故か読めなかった。
読めるのは『お互いのサインを記載してください』の文面のみ。
何かの誓約書だとは理解できる。
もしかして、よく転生や転移物の小説や漫画で見受けられたりする婚約の書類だろうか?
この流れだと、そんな気がするんだけれど…
「アル…これってもしかして、もし間違っていたら物凄く恥ずかしいんだけど…」
「ん?」
「婚約の誓約書とか言うものかしら?」
見上げる様にアルにお伺いを立てる。
もし違ったら、ものすごく勘違い女確定だ。
そうだったら、今すぐに消え去りたい…
「もしかして…いゃ、何でも無い」
そう呟かれ、思わずビクッとする。
よし、逃げよう…
「そうだよ。これは婚約誓約書。王弟殿下から許可をもらったからサインして欲しい。私と結婚…してくれるのだろ?」
勘違いじゃ無かった。よかった。勘違い女でなくて…
思わず身体が心が歓喜する。
「まず私から…」
そう言って、左側にアルが綺麗な男らしい文字でサインした。
思わずその手や指、書かれる文字を見入ってしまう。
「さぁ、ここに」
そう言って促されるも、少し躊躇する。
この綺麗な文字の横に私の文字なんて…
じっと見つめられて、なかなかサインしない私に悲しそうに見つめてきた。
「もしかして…嫌?」
「ううん、そうじゃ無いの…アルの文字が綺麗だから…その…恥ずかしくて…」
そう言って小さくなってしまう私の手を取りペンを握らされて唇を寄せられる。
「君にそう言ってもらえて嬉しいよ。私の文字を気に入ってくれて…私に君の可愛い文字をここに書いて見せてほしい。」
そう言われてしまえば…
よし、気合いだ!!
ふんぬと気合いを入れて指定された場所にサインする。
するとそれは一瞬光り輝いた。
「ありがとう。一緒に届けに行こう」
そう言うと、書類を胸元に忍ばせて抱き上げられる。
「アル、歩けるから、おろして…」
「ダメ。急ぎたいからね」
そう言うと、器用にドアを開けてスタスタと廊下を歩き殿下の元まで連れて行かれた。
もうこれで彼の用事は済んだのかと思ったが、彼はまた胸元に手を入れて今度は書状の様なものを取り出した。
そして、ペンも一緒にだ。
「これは?」
この世界の言葉は読み書きできる様になっているはずなのに、ここに書かれている言葉は何故か読めなかった。
読めるのは『お互いのサインを記載してください』の文面のみ。
何かの誓約書だとは理解できる。
もしかして、よく転生や転移物の小説や漫画で見受けられたりする婚約の書類だろうか?
この流れだと、そんな気がするんだけれど…
「アル…これってもしかして、もし間違っていたら物凄く恥ずかしいんだけど…」
「ん?」
「婚約の誓約書とか言うものかしら?」
見上げる様にアルにお伺いを立てる。
もし違ったら、ものすごく勘違い女確定だ。
そうだったら、今すぐに消え去りたい…
「もしかして…いゃ、何でも無い」
そう呟かれ、思わずビクッとする。
よし、逃げよう…
「そうだよ。これは婚約誓約書。王弟殿下から許可をもらったからサインして欲しい。私と結婚…してくれるのだろ?」
勘違いじゃ無かった。よかった。勘違い女でなくて…
思わず身体が心が歓喜する。
「まず私から…」
そう言って、左側にアルが綺麗な男らしい文字でサインした。
思わずその手や指、書かれる文字を見入ってしまう。
「さぁ、ここに」
そう言って促されるも、少し躊躇する。
この綺麗な文字の横に私の文字なんて…
じっと見つめられて、なかなかサインしない私に悲しそうに見つめてきた。
「もしかして…嫌?」
「ううん、そうじゃ無いの…アルの文字が綺麗だから…その…恥ずかしくて…」
そう言って小さくなってしまう私の手を取りペンを握らされて唇を寄せられる。
「君にそう言ってもらえて嬉しいよ。私の文字を気に入ってくれて…私に君の可愛い文字をここに書いて見せてほしい。」
そう言われてしまえば…
よし、気合いだ!!
ふんぬと気合いを入れて指定された場所にサインする。
するとそれは一瞬光り輝いた。
「ありがとう。一緒に届けに行こう」
そう言うと、書類を胸元に忍ばせて抱き上げられる。
「アル、歩けるから、おろして…」
「ダメ。急ぎたいからね」
そう言うと、器用にドアを開けてスタスタと廊下を歩き殿下の元まで連れて行かれた。
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