竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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話の内容は、驚きと戸惑い。喜びと恐怖だった。
この世界の事は、屋敷の者達に教えてもらった事や、書籍で知った事しか知らなかった。
あの時、『不要な者』として扱われ、自分の色を変えられた。
故郷との繋がりが奪われ、姉との繋がりを奪われ、自分の色を奪われた。

この世界に必要であったからと、向こうの世界から連れ去られた行為は許すべきではないが、理解はできる。
元に戻る術も何もない事も今は受け入れれている。
この世界の人たちも、生きるために必死だったのだと。今も現在進行形で…

そして、アルが、『運命の番』と言うだけでなく、純粋に心から自分を、そう私と言う一個人を求めてくれている事も理解して嬉しく感じた。私もいつしかそんなアルに恋をしたんだ。
気づいたのは…アルには伝えない。
ずるいと言われるかもしれないが、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
日本人はそう言うことに慣れてない。それもあるから、許して欲しい…

恐怖は、自分が狙われている事を知ったから。
『本当は教えたくないのだが…』と前置きされて、教えられた事実。

自分をモルモットのように扱おうとしている者がいると言う事。
その為に、狙われている…
ただの一般人の研究者であれば、良いとは言えないけれど、まだマシなのだろう。
相手が相手だった。
そして、アルが側に付いていた女性、皇女について。

驚いたのは、あの時私を傷つけたあの男。この国の皇太子の思惑を知ったからだ。
自分から悪役になるなんて…
許せないけれど…でも…

「もっと早く教えておけばよかった。遅くなってごめん。君をこれ以上傷つけたくなかったんだ」

そう説明してくれた時のアルの顔は、悲しみに満ちていた。
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