竜の恋人

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異世界生活

異性界(アルホンス)

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そう、この国の貴族が起こした事件。
我が国も関係していた。


もう、かなり昔だが、今の私とほぼ同じ状況だった。
この国の瘴気が増えたことにより、魔獣が凶暴化し、当時の我が国に要請が来たのだ。
討伐協力の依頼。『運命の番』が見つからず、討伐依頼を受けながら他国で探そうと、この国に訪れた竜人族の貴族出身の男。国の方も、有力貴族出身の騎士であったその男に、例え『運命の番』でなくても、『ヒト族』相手で向こうが好意を向けてもらえれば『番』となれるからと、見合いも兼ねて選抜したのだ。貴族として子孫を残し、国を支え続けるために。
そして訪れた先に男は『運命の番』の女性と出会った。ただ、身分が低い貴族の女性だった。
本来であれば、竜人族の者にとってはそれは問題ではなかった。
相手に好意を伝え、『印』を贈り、任務を終えたら一緒に帰国して幸せになれるはずだった。
だが、竜人族は長寿であり、魔力も多く姿も他者から好意を向けられる者が多かった。
その男も例外でなく、男性的に美しく、この国の皇女が好意を持ってしまったのだ。
『ヒト族』にとって、『番』という感覚はあまりない。特に皇女はいかにして自分にとって、国にとって有意な伴侶を手に入れれるかを重点的に考えた。だから、この男に相応しいのは自分であるから、身を引くように強く求めた。
皇女を可愛がる皇王や国益を求めた重臣達の後押しもあり、女性は身を引こうとした。が、竜人族の特性もあり、男は諦めなかった。
結果、女性が居なくなれば、自分が男を手に入れれると考えた皇女は女性を虐殺した。
手の者を使い、残虐に。そして、男には失踪したと嘘吹いた。
『番』を失った男は皇女が自分の大切な女性を虐殺した事を突き止め、皇女を殺し、自らも命を絶った。


お互いの国にとって、何とも言えないこの事件は、女性の失踪と皇女の病死。男は魔獣討伐による死亡として揉み消した。

今回も同じ事が起こる可能性が…
だから、監視か。そして、愛しい者を守り護るための…
しかも、あの男の姉。
愛しい者を研究材料として連れ帰ろうとしているあの男の…


はぁ…………
心して行動しなければ…
今回、協力者は大勢いる。
護衛のエキスパートもついているし、俺自身が守り抜く。
絶対に傷ひとつつけさす事なくだ。

そう心に決めて馬を走らせる。
災いの元である者を連れて行きたくはないが…

頭の中で、色々とシュミレーションしながら対策を練りながら、気がつけば目的地であるシュタルク領主の屋敷についた。
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