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異世界生活
異性界(アルホンス)
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仕方なしの護衛でその者達を迎えに行くことになった。
放っておいたら勝手に数日後到着するだろうが、無茶振りをされては困るからと頼まれた。
はぁ…………何でこの俺が…
俺にとっての『運命の番』は彼女だ。
もうしっかり『印』もつけている。
本来は、先にマーキングして次に『印』を施すのが順番的なのだが、我慢できなかった。
友人でもある殿下なら良くお分かりのはず。
自国で『番』が見つからず、時々他国に出向いていた。
竜人であるから、ちょっとした討伐の依頼もあるし、空を飛ぶことも出来るから辺境地の視察の依頼とかもある。
その時に他国に赴き探すこともあった。
冒険者に登録して、各国に出向く者達もいる。
自分達もそんな感じだった。
貴族であり、アルホンス公爵家次期当主であった為、最悪の場合は『ヒト族』から取り敢えず『番』を娶るようにとも言われていた。
ヒト族からの魔力は心地よい為、彼ら彼女らが他種族に嫁いだとしても、受け入れる側は『運命の番』出なくても大丈夫なのだ。
しかも、『ヒト族』は、他の種族より子供が授かりやすいと言う。
それだけ魔力が多いと言えるだろう。
ヒト族側は『番』でなければ他種族の魔力を受けた場合、痛みや苦痛を受けるが、それなりの魔道具や特殊な魔法陣跡を魔力で刻みつければ対応できると言う。薬もあったか?
だから、そう言われたのだ。
この国に来たのも、実は『聖女召喚』の儀式の参加という名目で、ロザリアン神聖国の貴族、『ヒト族』との見合いも兼ねられていた。
あえて見合いとされるのではなく、場所の提供のみされ、その場で偶然出会い、気に入ればという感じだ。
我が国からの対象者は殿下と私。その他数名の騎士団の者。
国からと、家からの…
だが、私と殿下は『運命の番』を求めていたため、あえて拒否していたから、言い寄られても卒なく相手にしなかった。
そして、私自身は後に、運命的に出逢った。
そう、あの場に現れた二人のうちの一人。
愛しい人。最初は一目惚れと言っても良いし、運命的と言っても良い。
女神が私の前に現れたように神々しく感じ、側にいたい。もっと近くに…顔を見たい。声を聞きたい。
全てが欲しい。私のモノだ。逃してはいけない…
そこまで思ったんだ。
あの一瞬で。信じられない高揚感にも驚き動揺したのも覚えている。
実際に側にいて、彼女の表情ひとつひとつが愛おしく、悲しみを感じているなら、側にいて抱き締め慰めたいと思った。全ての危険から守り通し護ると。
今回、嫌々だがこの国の皇太子や殿下。領主達の願いで自分にとってどうでも良い者を迎えに行って同行する事になったのは、私の愛しい者に危険性があるから、守り護り、危険を近づかせず排除する為だ。
相手が相手だから、きちんとした情報や実証となる物を見つけての排除が必要だからだ…
お互いが忙しくて、特に私の方だがすれ違いで彼女に伝える暇はなさそうだった。
この領内の者数名と、自分。そして部下数名を連れて馬で駆けていく。
あれか…
小高い山を降りた川の近くに馬車が見えた。
皇族専用の馬車であるから、遠目でもよく見える。
派手な白色に金色の飾りが施されていた馬車。
本来は、もう少し色合いの馬車を用意するべきなのに、敢えてあれか…
あの馬車は、どう見ても式典用だ…
情報では、やはりもう少し落ち着いた馬車を勧めたらしいが、本人が断固として拒否したのだとか。
『自分はこの国の高貴な皇女であるから、それに相応しい物に乗るべきだ』と。しかも、この国、ロザリアン神聖国側室であり寵姫である母親が後押ししてそうなったのだとか。そして、皇王が許可をした。
皇太子である彼の抗議は聞きいれなかったらしい。
それもあって、あのように依頼したのか…
この国もつくづく大変だ思った。
放っておいたら勝手に数日後到着するだろうが、無茶振りをされては困るからと頼まれた。
はぁ…………何でこの俺が…
俺にとっての『運命の番』は彼女だ。
もうしっかり『印』もつけている。
本来は、先にマーキングして次に『印』を施すのが順番的なのだが、我慢できなかった。
友人でもある殿下なら良くお分かりのはず。
自国で『番』が見つからず、時々他国に出向いていた。
竜人であるから、ちょっとした討伐の依頼もあるし、空を飛ぶことも出来るから辺境地の視察の依頼とかもある。
その時に他国に赴き探すこともあった。
冒険者に登録して、各国に出向く者達もいる。
自分達もそんな感じだった。
貴族であり、アルホンス公爵家次期当主であった為、最悪の場合は『ヒト族』から取り敢えず『番』を娶るようにとも言われていた。
ヒト族からの魔力は心地よい為、彼ら彼女らが他種族に嫁いだとしても、受け入れる側は『運命の番』出なくても大丈夫なのだ。
しかも、『ヒト族』は、他の種族より子供が授かりやすいと言う。
それだけ魔力が多いと言えるだろう。
ヒト族側は『番』でなければ他種族の魔力を受けた場合、痛みや苦痛を受けるが、それなりの魔道具や特殊な魔法陣跡を魔力で刻みつければ対応できると言う。薬もあったか?
だから、そう言われたのだ。
この国に来たのも、実は『聖女召喚』の儀式の参加という名目で、ロザリアン神聖国の貴族、『ヒト族』との見合いも兼ねられていた。
あえて見合いとされるのではなく、場所の提供のみされ、その場で偶然出会い、気に入ればという感じだ。
我が国からの対象者は殿下と私。その他数名の騎士団の者。
国からと、家からの…
だが、私と殿下は『運命の番』を求めていたため、あえて拒否していたから、言い寄られても卒なく相手にしなかった。
そして、私自身は後に、運命的に出逢った。
そう、あの場に現れた二人のうちの一人。
愛しい人。最初は一目惚れと言っても良いし、運命的と言っても良い。
女神が私の前に現れたように神々しく感じ、側にいたい。もっと近くに…顔を見たい。声を聞きたい。
全てが欲しい。私のモノだ。逃してはいけない…
そこまで思ったんだ。
あの一瞬で。信じられない高揚感にも驚き動揺したのも覚えている。
実際に側にいて、彼女の表情ひとつひとつが愛おしく、悲しみを感じているなら、側にいて抱き締め慰めたいと思った。全ての危険から守り通し護ると。
今回、嫌々だがこの国の皇太子や殿下。領主達の願いで自分にとってどうでも良い者を迎えに行って同行する事になったのは、私の愛しい者に危険性があるから、守り護り、危険を近づかせず排除する為だ。
相手が相手だから、きちんとした情報や実証となる物を見つけての排除が必要だからだ…
お互いが忙しくて、特に私の方だがすれ違いで彼女に伝える暇はなさそうだった。
この領内の者数名と、自分。そして部下数名を連れて馬で駆けていく。
あれか…
小高い山を降りた川の近くに馬車が見えた。
皇族専用の馬車であるから、遠目でもよく見える。
派手な白色に金色の飾りが施されていた馬車。
本来は、もう少し色合いの馬車を用意するべきなのに、敢えてあれか…
あの馬車は、どう見ても式典用だ…
情報では、やはりもう少し落ち着いた馬車を勧めたらしいが、本人が断固として拒否したのだとか。
『自分はこの国の高貴な皇女であるから、それに相応しい物に乗るべきだ』と。しかも、この国、ロザリアン神聖国側室であり寵姫である母親が後押ししてそうなったのだとか。そして、皇王が許可をした。
皇太子である彼の抗議は聞きいれなかったらしい。
それもあって、あのように依頼したのか…
この国もつくづく大変だ思った。
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