竜の恋人

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異世界生活スタートです。

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それからいく日か過ぎた。
毎朝、いつもと同じように食事をとり(膝の上に座らされるのを断固拒否したいのに、叶わず)、仕事の日は護衛としてついてきてもらいながら、徒歩で薬草研究所に出勤だ。
いっその事、ここに部屋を借りて住みたいと思った。
ここの職員の一部はこの研究所に自室をもらっていると聞いたんだ。
食堂も休日関係なく朝食から夕食まで準備してくれるし、自分で持ち込んだ食材を使って作っても良いようになっていた。個々の食材をおいても良い場所も片隅に準備されていた。
大きくはないけれどね。
そんな情報なども考慮して考えて相談してみたんだけど、速攻却下されていた。

専属侍女のエルザさんはじめ三人の侍女ズには泣きつかれ、護衛のアルには、はがいじめのように抱き込まれた。
ジャディールさんには、『やめといた方がいい。アルホンスに監禁されるぞ』って脅された。
なんで?そこに住み込んだ方が護衛しやすいと思うんだけど。移動しないから、護衛範囲が凄く減ると思うのよね。それに、自分である程度できるから、世話しないで済む。そうなると、他の仕事に時間かけられるし、私も気持ち的にも楽だし………

そう言って抗議してみたけれど、エルザさん達からは、『私達のお世話の仕方が悪かったのですか?』といわれ、泣き崩れるし、暴れてるし…
アルからは、『番』を他の男がいる所に居させるわけにはいかない。仕事は仕方ないとして、見守るが、それ以外は却下』とされ、今にも薬草研究所を破壊しに行きそうな勢いだった。
ジャディールさんは、『仕事が増えるから、辞めてくれ!!』と懇願された。
カオスだ…


もう少しで、研究所に行く事自体も禁止されそうになって諦めた。
はぁ…………
あの時は疲れたよ…

屋敷にいる他の侍従や侍女などの従業員?屋敷の者達は、顔色悪くして控えていたっけ…
威圧のせいか、倒れてた人もいたよね…
御免なさい。

歩いて行くのが嫌ならと、アルに横抱きで連れて行かれそうになったのには、かなり暴れてみた。
あくまで自分感覚だけど。
見た目は…しっかり抱き込まれて、いつもと変わらない感じだったみたいだ。
解せぬ…
恐るべし、竜人族。

「ユウリ、今日も楽しそうだ。今回は何を作るんだ?昨日は『低級ポーション』だったよな」
「ん?今日は確か『中級』とか言ってたと思うよ。上級は材料も今は少ないから、次入荷したらって。ここに植えられている物でも作れるらしいんだけど、少なくなってきていて、他所から仕入れてるの待つらしいの。瘴気問題で素材が少し不足気味なんだとか。本当は沢山必要らしいんだよね。ここより先にある森の中とか、国境沿いの森の中とかにも樹生してるらしいんだけど、一人で行ってはダメだって言ってたんだよね。魔物が出たりするからって。可愛いと思っても、近づいたらダメなんだって。このごろ少し凶暴化してるとか。瘴気がどうとか言ってた」

ここでも瘴気問題か~
私と姉がこの世界に連れて来られた理由がこの瘴気問題だものね。
増え過ぎたら魔獣が増えて、どっかの『扉』が開くとか。
世界の終わりに近い、混沌の世界になったら…って言ってたよね。

元気にしてるかなぁ…
姉には私の事、どう説明してるんだろうか…
もう、『巡礼の旅』とかに行き出したのだろうか…

各国から精鋭揃いで護衛に殉じて行動してくれるらしいけど…
ここでは多分聞けない。
極秘になっているだろう。
特に私の存在が…
姉との繋がりがバレたら大変な事になるかも知れない。
『聖女』はただ一人。その姿、黒髪黒い瞳の女性はこの世界でただ一人の『聖女』のみ。
これが、この世界での常識だ…

屋敷に戻ってから、姉に関して教えてもらえれるように、お願いしても良いだろうか…
屋敷の当主か、もしくは竜人族の二人に。

そうしよう…

「どうした?」

私の顔を覗き込むようにして声かけてきた。

「表情がコロコロ変わって可愛らしいけれど、何かあったのか?」

そう言いながら、頬を撫でてきた。

「ちっ…ちょっと、恥ずかしいから」
「恥ずかしがるのも良いな。だけど、他の者にはその顔は見せれないから、帰るか」
「いゃ、帰らないから。仕事で行かないといけないから!」

そんな事をを話していたのが聞こえたのか、研究所のドアが開いて

「どうした?今日も仲良しだな。うん。良い事だ」
「しっ、所長。おっ、おはようございます」
「うん。おはよう。今日も元気だね。良い事だ。頑張りたまえ」

そう言って、そのまま出て行った。
何か用事でもあるのだろうか?

と言うか、しっかりやり取り見られたし、聞かれたよ。
恥ずかしい~~~
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