竜の恋人

異世界生活スタートです。

とりあえずは…

食事も済まし、さてどうしよう…

「少し散策されますか？」

そう声かけられ、それもそうかと同意する。
着替えさせてもらったのは、よくお城で着る設定のロングドレスではなくてありがたい。
そう、ワンピースに足元はブーツスタイルだ。
ここってお城の中よね？？

そんな事を思ったけど、別にこのスタイルでも良いようだ。
侍女の服装も、スカート丈長め、紺のワンピースに白いエプロン。
足元はブーツぽい。ショートブーツかもしれないけど、そこまではしっかり見えないなぁ…

という訳どう、とにかく、思ったより動きやすかった。

案内されながら廊下を歩き、外に出てみた。
うん。大きな建物だけど、お城イメージとちょっと…

「あのぉ～ここは昨日姉といた場所とは、少し違うような…」

召喚された場所は、教会みたいな雰囲気の場所だった。
だったんだけど、お城っぽい建物も見えていたのよね…
大きなお城の敷地内に教会がある感じのイメージだったんだけど、ここは…

「はい。こちらは王都から離れた離宮の一つですね。王家の避暑地の建物の一つです。」
「離れた？？」

少し申し訳なさそうに、エルザさんが答えた。

「こちらの都合で申し訳ないのですが、聖女様とは離れて暮らしていただく必要があるからと、お眠りになっている間にこちらに…」
「つまり、意識のないまま運ばれたと…」
「……」

そうなんだ。
あれだけ『邪魔者』とハッキリ言われたのだ。
姿が変わっても、何かで姉との関わりを他の者達に知られたくないのだろう…
なんか、ムカツク！！

「現在いるこの場所は、大きな大陸の大陸中央を位置する『ヒト族の国』の中心の王都と神を祀る神殿とかある神都市からやや南西側にあたるシュタルク領です。私達が住んでいる『ヒト族の国』の東側は『獣人の国』。西側は『妖精の国』。南側の『竜の国』。北側は『魔人の国』となっております。詳しいこの国のことや、他国のことなどの説明は、また後日講師をお呼びいたしておりますから、その時学んでいただきます。このシュタルク領は西側の『妖精の国』と、南側の『竜の国』に隣接した辺境地でもあります。」
「それって、結構遠いのでは…」
「そうですね。ですが、王家所持の魔法馬車を使用しましたので、それ程掛かっておりませんよ。」

ファンタジーだった…

「この領地は『妖精の国』に近いため、緑豊かな土地です。また、『竜の国』が近いため、『瘴気』が発生し、魔物の脅威に曝されたとしても、竜人族の方々が救援要請を受けて下さったりするんです。」
「という事は、とりあえず邪魔者は遠くにやってしまうけど、身の安全だけは保証してあげよう…って事ですね…」

少しは優しさがあったようだ…