異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

未来のために

そして…

身体を拘束するように抱きしめて眠っている夫の顔をそっと胸元から覗く。
うん、相変わらずの美丈夫…いゃ、そうではなくて…


久しぶりに延々と貪られ、魔力も提供された。
一体いつまでとも思える感じだった。

嫌ではないけれど…でもね…

そっと抜け出そうと身体を捩るも…

「何処に行こうとしている？」

いつの間にか起きたのか、起き掛けから色香をただよせそうな声色で声をかけられた。
同時にぎゅっと逃がさないと言わんばかりに抱きしめられる。

いつの間にかお揃いのこの世界での寝衣を着せられていた。
向こうの世界ではパジャマで寝ていたんだけれどもね。この世界は少しゆとりのあるワンピースのような、またはガウンのような感じが主流だ。

それを器用にたくし上げられそうになって、寝巻きの裾を足で挟んで抵抗する。
手も使いたかったんだけど、それはこの男に器用に拒まれた。


「まだ魔力が完全じゃない。刻印が消えた後の後遺症がどう出るのかもわからないしね。だから私が許可するまでこの部屋にいてもらうよ。」
「それって…」
「ん？そうだね。必要不可欠な監禁とも言えるかな。この部屋なら自由にしても良い。浴室もトイレや洗面台もあるし、少しくつろげる部屋もあるだろう？ちょっとした書物も置いてある。だからね…」

ここまで言わせてしまえば、逆らうのは無理だろう。
何年も夫婦生活してきたし、子供も大きくなっている。
とりあえずの扉の脅威も去ったのだから…

「わかった。でも…」
「でも？」
「妹の方に手紙というか、伝達魔法陣送っても？」
「ん～、それはまだダメ。君は魔力が枯渇寸前だったんだ。かなり危険な状態。今は僕の魔力が君の中で循環しているけれど、まだ十分とは言えないからね。そうだなぁ、一週間ぐらいはそれは許可できない。」

そこまで危険だったの？
前回の事もあるし…逆らうともっと怖いから…

「わかった。言う通りにする。」
「そうだね。それよりも、お腹空いていない？食事を持って来させよう。」

そう言うと、何やら念じて…
あぁ、念話で指示を出しているのね。

しかたない。
ゆっくりと起き上がり、ベットからとりあえず出ようとしたら…

「あれ？？」

まるで子鹿のように立ち上がれなかった。
すかさず夫が支えてはくれたけれども…

はぁ…………これは、どうしたものでしょうね…