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未来のために

決着

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驚きの真実を聞かされて、呆然としてしまうが、話はまだ続くようだ。

「神ラミアの神玉の核の部分はそなたが持っている物。そうそれじゃ。」

カルロスがそっとペンダントに触れ、次に短剣に嵌め込まれた魔石に触れるとそう言われた。
どっちの事だろう?

「短剣の方は神ラミアの神力が凝縮されたモノじゃ。そなたの胸元のが神玉の核。それは奪われてはならぬからな。神力の方は、いざという時には、まぁ、またどうにでもなるが、核の方はの…この世界に渡って来た聖女達にはそれ以外のカケラを持っていた。そのカケラを通して、向こうの神の助力もありこの世界に召喚されて来たのじぁ。召喚されれば、そのカケラは徐々に核の元に戻ってくる。目には見えぬがの。聖女の力は、向こうの神とこの世界の二神からのギフトじゃ。そしてラミアのカケラも多少関与してはいるが…カケラが聖女から無くなっても、それは大して変わらぬ。


「それでは、僕が持つこのネックレスは奪われないようにしたら良いのですね。で、扉の鍵となるとこちらは鍵穴に刺しても大丈夫だと?」

「あぁ、そう言うことじゃ。」

なら、今のうちに扉に近づいて閉めてしまったらいい。
あの子一人ではあの重厚感あふれる扉を閉め切る事は難しいであろうし、ひょっと扉から小悪魔が出てきたり、強力な魔力や神力を持つモノが出てきたら…だから、尚更一緒に行動した方がいい。

「ディ!」
「あぁ。」

カルロスが言わんとすることをすぐさま理解して、一緒に駆けて行くと思ったのだけれども…
だけど実際は、繋いだ手を引き寄せて、そのまま抱き上げられていた。
ジャディール殿下の左手に座らせるようにして抱き上げらて、扉まで駆けて行った。

彼は竜人族。ここまで過保護とは…
はぁ~~~~~~~。
ため息が大きくなる。
妹の方もそう考えたのであろう。
さすが双子だとも思った。

「これを閉めれば良い。」
「すぐ閉まるかなぁ…」
「あぁ、あの神バルマスのおかげか、悪魔や小悪魔達は押さえ込まれて出てこれない状態だから大丈夫そうだ。」

そう言って、『ふん!!』と息を吐き、ギギギギッと何とも言えない音を響かせながら少しづつ閉めて行く。
彼の筋肉が遠目から見ても、結構パンパンになりそうな感じだと伺えた。
結構重いのだろうなぁ~。

カルロスが一緒に扉を閉めようとしたようで。

「扉を閉める時、魔力が扉の方に抜けて行く感じがするから、今は触らない方がいい。鍵を刺す時にも魔力が必要かもしれないからな。」

そんな感じ?前回はどうだった??
そう言われてしまえば、見守って応援するしかないよね。
私達もここから応援するよ。応援してる!頑張れ!!

ガチャンと大きな音が洞窟内に響き渡って…

「カル!」
「わかった!」

直ぐに短剣を胸元から出して、鍵穴と思われる場所に差し込んだ。
剣先が鍵穴に触れるとスルスルと入って行みたいだ。まるで吸い込まれて行く感じで。


「はぁ…………、やったよ。」

かなりの小声で呟いていた。多分本人は口にしたことに気づいていないだろう。

ホッとした。そして周りを確認する。
夫は私を腕の中に閉じ込める。
妹は、背後から抱きしめられて…。
息子達は立ち尽くし、聖女達の方に視線が行くと…

「私がする事だったのに…」

そう呟いているのがわかった。
だが、その声は、『代わりにしてもらって申し訳ない…』そんなふうに聞こえてきた。
彼女の本心だろう。
あのような行動は、多分シルメールのせい。

元々の彼女は、カルロスを道具のように使った、あの時の彼女とは違うのだろう。
アレは多分、あの神のせい…

鍵閉まると、扉が徐々に霞んでいくように消えて行った。

「終わった?」
「あぁ、終わったな…」

鍵を閉める時、あの子の胸元にある石と剣に嵌め込まれていた石が共鳴しあい、同調するように輝いていた。
今は…
扉があった場所に…は何も残っていなかったのだろう。
あったら拾ってくるだろうし…

だから、鍵である短剣と共に、あの石も向こうの世界に行ってしまったのかもしれない。
わからないけれど…
あの子の胸元にある石は…少しだけ輝きが増した気がした。
そして、優しい魔力が私にも理解できた。
カルロスは、そっと撫でてまた胸元に戻している。
その方がいい。出したままは良くない気がしたのだ。


さて、今後のことだが、みんなでひとまずロザリアン神聖国に戻り報告。褒賞を授与されて、聖女達の今後を会議して決めるのだろう。
勿論、本人の意思が重要だけれどね。



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