異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

未来のために

決着

聖女一行を放置して、私達はそれぞれ計画通りの位置に移動する。

「ちょっと！何なのよ！！」

暴れる愛を、巡礼メンバーが宥めている。
スレインとルディウスにはジャディール殿下が念話で説明したみたいだ。
二人が頷き合っている。

あれ？他のメンバーにも共有できるようにスレインが魔法展開して情報共有してるみたい。やるわねあの子。
聖女である愛は、なぜか拒否しているのか？共有がうまく出来ていないようだ。

「アイはここから祈って。僕達がフォローするから。」
「そうそう、もうやばそうだ！」

そう言って、愛に祈りを捧げるように促していた。
愛も渋々と言った感じで膝を降り祈りを捧げ始めた。
その姿は聖女らしい。だけど…
背後に揺らぎを感じる。あれは？？

すると、仄かに彼女を中心に光り輝き出した。
私達も祈り聖女の力を発動。夫達も各々の武器を構えたりして…

ギギギギ～

古びた金属の擦れたような音が鳴り響き、少しずつ開かれた扉を掴んで出ようと腕が伸びて…

聖女達の力がそれを拒むように向こうに押し込む。

「あの時と同じ、小悪魔は出てくるな！」
「あぁ、そうだな！」

夫達が無双し出す。
向こうのメンバー達もだ。
カルは…

「マスター、もう少しだけお待ちください。」
「あぁ、わかっている…」

ディアブロにそっと抑えられて、胸元に潜ませている短剣をそ服の上から撫でている。
あの時の見せてくれた短剣だろう。シルバーが渡した物と同じ魔石が嵌められた感じだった。
妹から紹介されたシルバーもここについてきているから…
あれ？いつの間にか、男性体。聖騎士の格好になっていた。
確か女性だったはずなのに？？
今はそれよりも…

小悪魔達は洞窟内を飛び交い、交戦中。
そして、初めに扉から出てこようとした悪魔が扉の向こうに押しやられたと思ったら、今度は別の腕が…
さっきの腕は爪が尖り、筋肉質の…そう、向こうの世界で描かれる鬼の様な感じだった。
だが今度のは…

しなやかな筋肉がついた様な腕。
しかも、まるで人と同じ様な…

そう思ったら、シャキンと爪が伸びた。
爪を、掴んでいる扉に食い込ませて身体をそこから出そうとしている様だ。

ヌ～っと現れたのは…
黒髪に黒の瞳。赤い瞳孔の…

思わず膝を降り、首を垂れそうになるぐらいの神々しさをも放つ異形。
その姿が現れた途端、こちら側にも異変が起こった。