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未来のために

未来のために

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「やっぱり残ったね…」

そっと上掛けから出した右手を見る。
そこにはあの時絡まってきた蔓の様な跡…いゃ、もう痣と言った方が良いのだろうか?
しっかりと残されていた。
少しだけ薄れている気もするけれど…

「この呪いの痕はこれ以上は薄くできなかった。私も、魔塔の者達にもどうにか出来ないかと試してみたが…解除できなかった。できらのは、少しだけ薄くしたぐらいか。このぐらいなら、薄手の服でも分かりにくいであろうぐらいに…」

エドワードが何とも言えない表情でそっと撫でて、唇をよこした。

「ちっ…ちょっと~」

恥ずかしさで手をすっこめようと動かすも、しっかりと取られており…

「君たちのおかげでこの世界の脅威は一旦さった。残念ながら全て去ったわけではないが…それでも、ありがとう。心より感謝する。」

そう言って、感謝の意を表せてくれた。
うん、そうだ。あの神は取り逃したんだ。
それはわかっていた。
残念ながら、今回では無理なことも十分理解はしていたんだ。
それでも。それでもこの結末を選んだのは私だ。
この後の未来も…
分岐点は沢山あった。
私自身が選べれない未来も実は…

だからと言って…

「そうだ。あの子は?優里は?妹はどうなった?今どこに?そうそう、ここはいったい??」

そう言いながら、身体を起こした。
エドワードが仕方ないなという表情で、背もたれ様にクッションを敷き詰めていった。
うん、過保護だ。

「あぁ、ユウリは彼の国に共に帰ったよ。彼女も倒れたからね。急いで転移を二人だけ。他の者達もだ。ディアブロはどこに行ったかわからない。挨拶はしてくれたんだけどね。また会いに来るとは言っていたが…すぐでは無さそうだ。何年誤解何十年後って感じだった。」

「そうなんだ…」

「ついさっき、伝達魔法陣跡で、ユウリが目覚めた事も、体調が大丈夫な事も伝えてきたから、大丈夫だろう。こちらからも随時送っておいたからね。」

「ありがとう。そっか…で、ここは?」
「ここは、我が国の皇太子妃の部屋だ。隣は私の部屋。」
「えっと??」

「ん?私の妃になってくれるんだろ?もう既に各国にも知らせておいた。君が目覚めて体調が整い次第婚姻式だ。まぁ、既に…」
「既に何??」
「えっと…怒らない?」
「怒る様なことしたの?」

思わず声が低くなる。この男、何かしたのか??

「仮の婚姻の書状は…提出した。」
「えっと??」

どういう事?
確かに、自分は彼となら婚姻しても良いと思っているし、それなりの事も…
でも、サインはしてなかったよね?
書状自体知らないし。
向こうの世界の婚姻届みたいなもんだと思うのよね。
二人の名前を書いて届ける…
でも、書いてない…

「私のサインと、君の義理弟になるアルホンス•セイクリオンのサインと、特別に『ヒト族の国』ロザリアン神聖国 皇太子フェリックス•ロザリアンのサインを頂いた。アリホンス殿は既にユウリと婚姻しているからもう君の身内。親族扱いだ。しかも高位貴族で公爵家の当主。そして、ロザリアン神聖国は君達をこの世界に召喚した筆頭国。その皇太子であるフェリックス•ロザリアンは浄化巡礼などに関しても全て任されているからね。彼らのサインがあれば仮婚姻届は受理される。」

「えっと…」

「うん、君が想像している婚姻と同じ感じかな。だが、私は君を愛している。もう逃がしもしないし、奪われるつもりもない。それがたとえ君でもだ。もう諦めて?」

最後は可愛らしく微笑まれて…撃沈した。
うん、既に外堀をしっかりと埋められているのね…

「このまま君が眠りにつく様だったら、わたしが君に手をとって書かせるつもりだった。そこに血判を押せば仮でなくなるからね…」

「あ~~~…………、わかった。わかりました。もう、サインでも何でもするわ。その代わり…どんな運命を選び取っても守ってね。側に…出来たらいて欲しい…」
「うん、わかった。どんな事でも全力で守るよ。この呪いのせいでどうなるのかは…全ての文献を調べ上げて、神に願って出来たら啓示をいただくよ。」
「うん、お願い…」

そこまで言ったら、いきなり唇を奪われて、むさぼられた。

そう、食べられそうな勢いだ。
でも…うん、彼となら幸せになれる気がして、そのまま身体を許した。
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