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聖女巡礼の旅
聖女巡礼(エドワード)
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到着したのは目的地である魔塔の敷地内部。
少し主塔から離れただ所に位置している場所だ。
昔、魔塔内の犯罪行為を行った者を閉じ込めていた場所であり、現在使われていない一部廃墟となっている建物だ。
「どうだ?」
「あぁ、多分、この地下だ。」
お互いに確認し合い、さて…
木陰から建物を確認していたら、数人の黒ずくめの者達が入って行った。
入り口付近に結界を張りめぐさせて、カモフラージュも行っているようだ。
「さて、では計画通りに…」
ネズミどもを逃がさないように人材を配置して…
さて…と思った所で、精霊達が騒ぎ出した。
異常なほどに集まり怒りをあらわにしているように感じる。
と言う事は、中でもしや…
サヤカの妹であるユウリは精霊達に愛される体質のようだと報告があった。
なら、これは…
すると、今度は獣人女性がふらつきながら姿を現せた。
気配を感じきれなかったが、いつのまに…
「お願い…ユウリ様…助けて…この地下…」
地面を指し示して姿が消えた。
彼女は確か…
直ぐに部下達を散らして…
ゆらりと指し示した場所に立つのは、あの男だ。
何やら緊急性を感じることがあったのであろう。
竜人族あり、騎士でもある男が急に苛立ち始め、力を集めて地面に向けて爆撃を喰らわせた。
数発喰らわせ、最後に巨大な光の玉を作り、投げつけるように落とす。
大きな爆発音と共に、建物は崩壊。
地下に作られた空間まで一気に大穴を開けた。
周りに土埃が立ちこむ。
怒りを露わに飛び交っていた妖精達も一気に傾れ込むように入っていく。
そして、血に濡れ繋がれている女性の姿を確認すると、一気に害しようとする者を弾き飛ばした。
壁にめり込んだ男や、他の黒ずくめの男達を次々と吹き飛ばしていく。
かなりの怒りで暴走状態か?
最悪の場合はこの男を叩きのめしてでも止めないといけないのか?
何とも言えない気持ちでため息を吐く。
理解はできるが…
壁に叩きのめさた男が、プルプルと首を振り、私達を見つめる。
それを無視して、助けるべき女性。そう、ユウリの手や足の拘束を解いていく。
やや力技ではあったが、彼女が無事なら…それに、あの男がどんな状況下でも自分の愛しい者を傷つける事はない。
自分のマントを背後から包み込むようにかけて、そっと抱きしめて抱き上げていた。
「それは私のだ!!!」
バカな男は、飛びかかり奪い返そうと手を伸ばす。
竜人族の男を片手で制して、吹き飛ばしたのは当然か。
「先に彼女を!!」
いつまでもこんな場所に居させるわけにも行かないし、手当も必要だろうと声をかける。
こちらに向き頷き返され、彼女の顔色を確認して…
いきなりぐったりした彼女をさらに抱き込み、もう一発魔力球で破壊して走り出す。
私は他の者に指示を出し、捕撲できる者全てを捕撲させて退避させた。
もう、かなり崩壊して危険だ。
向こうで倒れている獣人女性を抱き上げてその場を去った。
地上に出ると、魔塔の者達が集まってきていたが、魔塔主にはあらかじめ了承を得ておいたから、直ぐに対応してもらえた。
獣人女性の治療を頼んだが、すでに事切れた状態であり、首を横に振られた。
陽炎のように姿を現せて見せた女性であり、例の行方不明の侍女。
診察した魔塔の者は、精神を破壊する魔法陣跡を刻まれているとも言っていた。
傀儡の状態で、命尽きる寸前に、ユウリを守ろうとしたのだろう。
そっと抱き上げて、シュタルク領に連れ帰る事にした。
「後の事は、こちらで…」
そう言ってもらえて、私は取り敢えずその場を後にし、メンバーと愛しい者の元に戻ることにした。
今回の主犯格は数人の者を連れて逃げ切られてしまった。
だが、必ず捕まえてやる。
あの男もきっとそう思っているだろう。
少し主塔から離れただ所に位置している場所だ。
昔、魔塔内の犯罪行為を行った者を閉じ込めていた場所であり、現在使われていない一部廃墟となっている建物だ。
「どうだ?」
「あぁ、多分、この地下だ。」
お互いに確認し合い、さて…
木陰から建物を確認していたら、数人の黒ずくめの者達が入って行った。
入り口付近に結界を張りめぐさせて、カモフラージュも行っているようだ。
「さて、では計画通りに…」
ネズミどもを逃がさないように人材を配置して…
さて…と思った所で、精霊達が騒ぎ出した。
異常なほどに集まり怒りをあらわにしているように感じる。
と言う事は、中でもしや…
サヤカの妹であるユウリは精霊達に愛される体質のようだと報告があった。
なら、これは…
すると、今度は獣人女性がふらつきながら姿を現せた。
気配を感じきれなかったが、いつのまに…
「お願い…ユウリ様…助けて…この地下…」
地面を指し示して姿が消えた。
彼女は確か…
直ぐに部下達を散らして…
ゆらりと指し示した場所に立つのは、あの男だ。
何やら緊急性を感じることがあったのであろう。
竜人族あり、騎士でもある男が急に苛立ち始め、力を集めて地面に向けて爆撃を喰らわせた。
数発喰らわせ、最後に巨大な光の玉を作り、投げつけるように落とす。
大きな爆発音と共に、建物は崩壊。
地下に作られた空間まで一気に大穴を開けた。
周りに土埃が立ちこむ。
怒りを露わに飛び交っていた妖精達も一気に傾れ込むように入っていく。
そして、血に濡れ繋がれている女性の姿を確認すると、一気に害しようとする者を弾き飛ばした。
壁にめり込んだ男や、他の黒ずくめの男達を次々と吹き飛ばしていく。
かなりの怒りで暴走状態か?
最悪の場合はこの男を叩きのめしてでも止めないといけないのか?
何とも言えない気持ちでため息を吐く。
理解はできるが…
壁に叩きのめさた男が、プルプルと首を振り、私達を見つめる。
それを無視して、助けるべき女性。そう、ユウリの手や足の拘束を解いていく。
やや力技ではあったが、彼女が無事なら…それに、あの男がどんな状況下でも自分の愛しい者を傷つける事はない。
自分のマントを背後から包み込むようにかけて、そっと抱きしめて抱き上げていた。
「それは私のだ!!!」
バカな男は、飛びかかり奪い返そうと手を伸ばす。
竜人族の男を片手で制して、吹き飛ばしたのは当然か。
「先に彼女を!!」
いつまでもこんな場所に居させるわけにも行かないし、手当も必要だろうと声をかける。
こちらに向き頷き返され、彼女の顔色を確認して…
いきなりぐったりした彼女をさらに抱き込み、もう一発魔力球で破壊して走り出す。
私は他の者に指示を出し、捕撲できる者全てを捕撲させて退避させた。
もう、かなり崩壊して危険だ。
向こうで倒れている獣人女性を抱き上げてその場を去った。
地上に出ると、魔塔の者達が集まってきていたが、魔塔主にはあらかじめ了承を得ておいたから、直ぐに対応してもらえた。
獣人女性の治療を頼んだが、すでに事切れた状態であり、首を横に振られた。
陽炎のように姿を現せて見せた女性であり、例の行方不明の侍女。
診察した魔塔の者は、精神を破壊する魔法陣跡を刻まれているとも言っていた。
傀儡の状態で、命尽きる寸前に、ユウリを守ろうとしたのだろう。
そっと抱き上げて、シュタルク領に連れ帰る事にした。
「後の事は、こちらで…」
そう言ってもらえて、私は取り敢えずその場を後にし、メンバーと愛しい者の元に戻ることにした。
今回の主犯格は数人の者を連れて逃げ切られてしまった。
だが、必ず捕まえてやる。
あの男もきっとそう思っているだろう。
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