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聖女巡礼の旅

聖地巡礼

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天候も落ち着いて、目的地に進んで行く。
前回と同じように、馬車で近くまで行き、そこから徒歩だ。
服装も、前回と同じような感じだ。
漫画とかの聖女の格好と違うのは、下がスカートみたいな感じではなく、ズボンだと言う事。
上の羽織っているのは聖女らしい物で、色は汚れが目立つ白なんだけどね。
でも、汚れないようにと、防護の兼ね合いもあり、衣服にも魔法が施されているのはこの世界に来ての驚きだった。
森の中を進むに連れて途中、ぬかるんだ場所があり、足を滑らせ転びそうになったが、その都度誰か彼かに支えられた。

奥に進むに連れてやはり独特の臭いと空気の重さを感じる。
近づくに連れて、今回は体調不良者が出始め、途中休憩し医療班に癒しやポーションなどで対応していった。

「サヤカ、大丈夫ですか?」

「ん…大丈夫…痛っ」

かく言う私も右足首を痛めて赤く腫れ熱を持ってしまった。
誤魔化していたんだけど、エドワードにはすぐにバレてしまい、治療できる場所までおぶられてしまったんだ。
恥ずかしいと思ったけれど、こればかりは…
いくら『重いから降ろして』と言っても聞いてもらえなかったのよね。

エレンさんにも、『大人しくおぶられてください!』と強く言われてしまったし…

エドワードは私をおぶったままでも安定した歩行を披露した。
ある時は、ひらりと岩を飛び乗ったり飛び降りたりもして見せたんだよね。
ディオルグぐらいの筋肉質なら何となく納得して見せるんだけど、あの人竜人族の戦士だしね。
でも、魔人族だけど、魔術師・魔導士のエドワードがこんなに力持ちだとは思わなかったんだ。
それを言ったら苦笑いされたけどね。
一応鍛えてるって言われた。スリムマッチョなのかも知れないね。
しなやかな筋肉持ちって感じかな。

「この辺りで良いでしょう」

少し開けた場所で岩の上に座らされ、そっと優しく靴を脱がされ、ポーションをゆっくりとかけられた。
かけた後、布にもポーションを浸して湿布のようにして冷やされる。
痛みは徐々に引いていき、十分程度で腫れが引いた。
ほんと、このポーションって凄いよね。
マンガや小説などの世界の物で、あの時は『ふ~ん』程度の実感だったけど、こんなに効くとは驚きだ。
本当に魔法の薬って感じでここでも『ファンタジーの世界だ』って思ってしまった。

そういえば、このぐらいの怪我のような緊急性がない場合は、初級のそう、低級というランクのポーションで直すのが普通らしい。
中級や上級はいざという時に使うからと言っていた。
いざってあれだよね。超危険な状態ってやつだ。なるほどね…

他の人達も、治癒魔法をかけられたり、ポーションをかけたりして治していた。
治癒魔法は特殊魔法であるから、皆んなが皆んな使用できるわけでないらしい。
行使する方も自分の魔力を使用するらしいからね。
納得だ。

そのまま軽く食事も摂ろうと言うことになり、アイテムボックスやアイテムバックからパンと飲み物を取り出して配り出した。
オズバンとディオルグはさっさと食事を終えて、先に偵察に行くと言って元気に駆けて行った。
また魔獣をある程度刈り取っていくのだろうか…
相変わらずすごいな…


「サヤカ、大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫、心配かけて御免なさい。もう行くの?」
「そうですね、そろそろ行きましょうか」

そう言うと、皆んなに号令をかけてまた移動を開始する。

途中から鳥の声も聴こえなくなり、何とも言えない雰囲気だ。
おどろおどろしい…

切り開かれた道の端には倒れた木や血の跡。
魔獣の遺体は今のところ見えていない。
草陰に魔石らしき物が転がっており、数名の騎士達が拾い集めていた。
先行した二人が刈り取って行ったのだろう。相変わらず本当にすごい腕前だ。

「あそこですね…」

見えて来たのは、大きな木の根元あたりにぽっかりと開いた穴。
洞窟?何だろう??
じっと見つめると、そこから黒いモノがここから見えた。

カキーンカーンキーン。

金属音の音が飛び交う。
二人が熊のような魔獣と狼のような魔獣と交戦中だ。
相変わらず大きい…

洞窟からは、獣のような魔獣だよね?が、這い出ていた。
しかも、あんなに??

「後!!」

黒い大きな蜥蜴がいきなり口を開けて火を吹いた。
前衛にいた騎士が火に包まれ、急いで水魔法をかけられている。

「こちらは自分達が抑えるので、サヤカは向こうを!!」

そう大きな声で叫ばれる。

「行きましょう!」

エドワードが魔法攻撃と保護魔法で私を守りながら洞窟の側に行く。
さらに瘴気が濃くなり、エドワードの膝がガクンと折れた。
冷や汗をかき、眉間に皺がよって、苦しそうだ…

私は…大丈夫。
何故なんだろう。聖女だから??
いゃ、今はそれどころではない。急がないと…

膝をつきながらも私を守ろうとする皆んなのために、震える足を叱咤して、黒くてどろりとした小さな沼の様なものに手を突っ込んだ。
触れたところから光が溢れて、一気に浄化されていく。
周りに溢れていた魔獣も一瞬で黒煙となって消えて行った。
コロンと魔石が転がっていく。

「終わった…」

ほっとして力が抜けて、ヘナヘナとヘタリ込む。
エドワードは、また私が魔力枯渇を起こしたのではと慌てて近づいてくれた。
急ぎポーションを取り出して、私を抱き込み飲ませようとする。
自分が先に飲めば良いのにと思ったけれど、ありがたく好意を受け、『ありがとう。もう、大丈夫。エドワードも飲んで』と声をかけた。
エドワードも一気飲みをするように瓶の中の液体を煽り飲む。

他のみんなは…
みんなも無事なようだ。
エレンや他の者達がポーションを配り飲んでいたりしていた。

「今回も数名残して戻りましょう」

そう言われて指示された通りにみんなで元来た道をゆっくりと戻って行った。
これでここも無事に終わったと思うよ。

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