135 / 215
ビオラの構成
しおりを挟む
ビオラが考えている構成の曲目は、企画の趣旨と意図を汲んでくれている内容だった。特に意図については深く理解されていると感じた。
企画を創り上げるとき、がんちゃんは当初あくまでもサッカーとサッカー選手が主体で、サンバはあくまでも脇役の盛り上げ役。観客が見たいもの、盛り上がれるものを主軸にすると考えたときに、誰もが知っているJ-POPのヒットソングをサンバで使用するという構成も頭をよぎったという。
それはとても正しく、企画としても通しやすいものになるはずだったが、がんちゃんは敢えて、サンバの楽曲を使うことにした。
ターゲットがぶれたわけではない。
目的も変わっていない。
最短ならばやはり当初の案が適している。
それでもがんちゃんは、サンバの楽曲で、その目的を果たしたいと考えたのだ。
それはエゴではある。拘泥でもある。しかし、矜持でもあった。
経費を払うスポンサーにも、チケット代を払う観客にもあまり関係のない要素。
要はイベントが盛り上げれば良いし、要は楽しめれば良いのだ。サンバの楽曲にこだわる必要は無いし、サンバがそこに無くてはならないわけでもない。
それでも、サンバ隊としてその場に居るのであれば、サンバの魅力にて、目的を果たしたい。
安易な方向に行きたくないというのは自己満足かもしれないが、大事な気持ちだ。それが足腰を靭くする。そんながんちゃんの在り方に、私は感心するとともに心強く思ったものだ。
更に視野を広く持つなら、サンバを目当てにしていない、おそらくサンバを知らない人が多いであろう大勢の観客たちに、サンバの楽曲に触れる機会を与え、サンバで盛り上がる体験を与えることは、サンバを周知させる小さな一歩になれば。盛り上がった観客の中から、サンバに興味を持つひとがひとりでも現れてくれたら。
そういう積み重ねが、サンバの振興に繋がると思っている。
私はそこまで効果を見据えたいと考えていた。
今回の楽曲の構成は、がんちゃんが企画に込めた想いも、私が秘かに敷いている狙いもカバーしている。
一曲目はサンバのみだ。
『Peguei Um Ita No Norte (salgueiro1993)』
とにかく勢いと盛り上がり重視。でありながら、サンバの魅力がふんだんに詰まった曲。
とはいえ、安易にJ-POPに逃げなかった理由でもあるのだが、サンバの楽曲自体、サンバ奏者の贔屓目を抜きにしても、日本人にとって違和感なくなじみ、何なら結構格好良いのではないかと思っている。
だから、盛り上がる系の楽曲なら大抵適していると言えた。
二曲目はより「格好良い」に振った曲。
『Caciqueando』
一曲目と同様勢いがあり盛り上がる曲だが、途中に見せ場を作りやすい部分がある。
見せ場ポイントで格好良い人気選手を引き立てる。
盛り上がりも大事だが感嘆や感激の間があっても良い。
三曲目は格好良さもありながら、演者が暴れられる曲。
『É Hoje 』
コミカル担当の選手を、曲の抑揚をうまく使い格好良く見せながら、最も盛り上がるサビの場面では選手も一緒になって舞台上を所狭しと踊る。ステップなんて適当で良い。とにかく楽しく大暴れしてもらうのだ。
四曲目はクローズのための曲だ。
『Aquarela do Brasil』
ステージと客席一体となって、一緒に手を振りながら選手とサンバ隊は捌けていく。
『ソルエス』のステージでもエンディングやアンコールでよくつかうAquarela do Brasil。日本ではビールのCMで使用されたこともある曲で、一般的な知名度も高い。ラストの曲として最適だ。
企画を創り上げるとき、がんちゃんは当初あくまでもサッカーとサッカー選手が主体で、サンバはあくまでも脇役の盛り上げ役。観客が見たいもの、盛り上がれるものを主軸にすると考えたときに、誰もが知っているJ-POPのヒットソングをサンバで使用するという構成も頭をよぎったという。
それはとても正しく、企画としても通しやすいものになるはずだったが、がんちゃんは敢えて、サンバの楽曲を使うことにした。
ターゲットがぶれたわけではない。
目的も変わっていない。
最短ならばやはり当初の案が適している。
それでもがんちゃんは、サンバの楽曲で、その目的を果たしたいと考えたのだ。
それはエゴではある。拘泥でもある。しかし、矜持でもあった。
経費を払うスポンサーにも、チケット代を払う観客にもあまり関係のない要素。
要はイベントが盛り上げれば良いし、要は楽しめれば良いのだ。サンバの楽曲にこだわる必要は無いし、サンバがそこに無くてはならないわけでもない。
それでも、サンバ隊としてその場に居るのであれば、サンバの魅力にて、目的を果たしたい。
安易な方向に行きたくないというのは自己満足かもしれないが、大事な気持ちだ。それが足腰を靭くする。そんながんちゃんの在り方に、私は感心するとともに心強く思ったものだ。
更に視野を広く持つなら、サンバを目当てにしていない、おそらくサンバを知らない人が多いであろう大勢の観客たちに、サンバの楽曲に触れる機会を与え、サンバで盛り上がる体験を与えることは、サンバを周知させる小さな一歩になれば。盛り上がった観客の中から、サンバに興味を持つひとがひとりでも現れてくれたら。
そういう積み重ねが、サンバの振興に繋がると思っている。
私はそこまで効果を見据えたいと考えていた。
今回の楽曲の構成は、がんちゃんが企画に込めた想いも、私が秘かに敷いている狙いもカバーしている。
一曲目はサンバのみだ。
『Peguei Um Ita No Norte (salgueiro1993)』
とにかく勢いと盛り上がり重視。でありながら、サンバの魅力がふんだんに詰まった曲。
とはいえ、安易にJ-POPに逃げなかった理由でもあるのだが、サンバの楽曲自体、サンバ奏者の贔屓目を抜きにしても、日本人にとって違和感なくなじみ、何なら結構格好良いのではないかと思っている。
だから、盛り上がる系の楽曲なら大抵適していると言えた。
二曲目はより「格好良い」に振った曲。
『Caciqueando』
一曲目と同様勢いがあり盛り上がる曲だが、途中に見せ場を作りやすい部分がある。
見せ場ポイントで格好良い人気選手を引き立てる。
盛り上がりも大事だが感嘆や感激の間があっても良い。
三曲目は格好良さもありながら、演者が暴れられる曲。
『É Hoje 』
コミカル担当の選手を、曲の抑揚をうまく使い格好良く見せながら、最も盛り上がるサビの場面では選手も一緒になって舞台上を所狭しと踊る。ステップなんて適当で良い。とにかく楽しく大暴れしてもらうのだ。
四曲目はクローズのための曲だ。
『Aquarela do Brasil』
ステージと客席一体となって、一緒に手を振りながら選手とサンバ隊は捌けていく。
『ソルエス』のステージでもエンディングやアンコールでよくつかうAquarela do Brasil。日本ではビールのCMで使用されたこともある曲で、一般的な知名度も高い。ラストの曲として最適だ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
太陽と星のバンデイラ
桜のはなびら
現代文学
〜メウコラソン〜
心のままに。
新駅の開業が計画されているベッドタウンでのできごと。
新駅の開業予定地周辺には開発の手が入り始め、にわかに騒がしくなる一方、旧駅周辺の商店街は取り残されたような状態で少しずつ衰退していた。
商店街のパン屋の娘である弧峰慈杏(こみねじあん)は、店を畳むという父に代わり、店を継ぐ決意をしていた。それは、やりがいを感じていた広告代理店の仕事を、尊敬していた上司を、かわいがっていたチームメンバーを捨てる選択でもある。
葛藤の中、相談に乗ってくれていた恋人との会話から、父がお店を継続する状況を作り出す案が生まれた。
かつて商店街が振興のために立ち上げたサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』と商店街主催のお祭りを使って、父の翻意を促すことができないか。
慈杏と恋人、仕事のメンバーに父自身を加え、計画を進めていく。
慈杏たちの計画に立ちはだかるのは、都市開発に携わる二人の男だった。二人はこの街に憎しみにも似た感情を持っていた。
二人は新駅周辺の開発を進める傍ら、商店街エリアの衰退を促進させるべく、裏社会とも通じ治安を悪化させる施策を進めていた。
※表紙はaiで作成しました。
サンバ大辞典
桜のはなびら
エッセイ・ノンフィクション
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』の案内係、ジルによるサンバの解説。
サンバ。なんとなくのイメージはあるけど実態はよく知られていないサンバ。
誤解や誤って伝わっている色々なイメージは、実際のサンバとは程遠いものも多い。
本当のサンバや、サンバの奥深さなど、用語の解説を中心にお伝えします!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ポエヂア・ヂ・マランドロ 風の中の篝火
桜のはなびら
現代文学
マランドロはジェントルマンである!
サンバといえば、華やかな羽飾りのついたビキニのような露出度の高い衣装の女性ダンサーのイメージが一般的だろう。
サンバには男性のダンサーもいる。
男性ダンサーの中でも、パナマハットを粋に被り、白いスーツとシューズでキメた伊達男スタイルのダンサーを『マランドロ』と言う。
サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』には、三人のマランドロがいた。
マランドロのフィロソフィーを体現すべく、ダンスだけでなく、マランドロのイズムをその身に宿して日常を送る三人は、一人の少年と出会う。
少年が抱えているもの。
放課後子供教室を運営する女性の過去。
暗躍する裏社会の住人。
マランドロたちは、マランドラージェンを駆使して艱難辛苦に立ち向かう。
その時、彼らは何を得て何を失うのか。
※表紙はaiで作成しました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
千紫万紅のパシスタ 累なる色編
桜のはなびら
現代文学
文樹瑠衣(あやきるい)は、サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』の立ち上げメンバーのひとりを祖父に持ち、母の茉瑠(マル、サンバネームは「マルガ」)とともに、ダンサーとして幼い頃から活躍していた。
周囲からもてはやされていたこともあり、レベルの高いダンサーとしての自覚と自負と自信を持っていた瑠衣。
しかし成長するに従い、「子どもなのに上手」と言うその付加価値が薄れていくことを自覚し始め、大人になってしまえば単なる歴の長いダンサーのひとりとなってしまいそうな未来予想に焦りを覚えていた。
そこで、名実ともに特別な存在である、各チームに一人しか存在が許されていないトップダンサーの称号、「ハイーニャ・ダ・バテリア」を目指す。
二十歳になるまで残り六年を、ハイーニャになるための六年とし、ロードマップを計画した瑠衣。
いざ、その道を進み始めた瑠衣だったが......。
※表紙はaiで作成しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる