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計画立案(LINK:primeira desejo86)

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「驚いた。予算にまで踏み込んだ提案になってるんだね。うん、適正だと思う。内容も良いね」

 骨子ではあるけれど、完成度は高く大きな修正が必要な部分はない。これを基に肉付けをして提案書を作ろう。

「担当の方もひとりの人間だから。見方次第で感じる価値は変わる。がんちゃんのアイデアが、姫田と阿波それぞれの担当にとって、値千金のものに見えるように仕上げるよ!」

 妹がこれだけのものを作り上げたのだ。
 姉の私がそれを引き上げなくてどうする。

 早速資料を整える。

 阿波ゼルコーバのファン感謝イベントは毎年の恒例行事だ。

 父を経由して紹介してもらった姫田の担当者は安達あだちさんという三十代前半の男性だ。
 アポイントの連絡をさせてもらった際に趣旨や意図などは伝えてあった。
 安達さんも協力的で過去のイベント内容はある程度入手している。
 それは、どうせ提案を受けるならより的を得たものになっていた方が良く、それは良い内容であれば受け入れてもらえることを表してもいる。義理でお付き合いしてくれているのではないのだ。

 その他動画としてあげられているものも確認できる限りは閲覧してある。

 毎年大体の構成は似通ったものだった。

 奇を衒う必要はない。
 全体的な構成はだいたい決まっている。この流れに、私たちのパフォーマンスをどう組み込むか。

 がんちゃんが作った骨子は選手を巻き込むと言うもの。
 ファンは阿波ゼルコーバやその選手を観に来てるのだ。あくまでも主役は選手であるべきだから、がんちゃんの着眼点は正しい。

 流れは自然に。
 流れに沿って盛り上がるように。

 イベント全体を司るわけではないので、全体の流れも意識する。

 さて、どう組み込むか。

 できれ後半からエンディングが良いが、後半は大体選手のパフォーマンスコーナーで、その内訳は生演奏によるカラオケが多い。
 これはずらせないだろう。

 となると、中盤から後半に差し掛かるところを担い、その後のパフォーマンスコーナーの賑やかしとしてメンバーを一部残す構成にする。
 サンバ隊のパフォーマンスは全体の真ん中あたりにあるゼルコーバのチアチーム、『ゼルコーバチアーズ』のパフォーマンスがある。
 これは選手を交えないパフォーマンスだ。

 使えるな、と思った。

 選手は登場しない一方、このイベントにおけるきちんとしたショーでもある。
 選手不在ながら盛り上がるはずのコンテンツだ。
 その流れを引き継がせてもらおう。
 いきなり私たちのパフォーマンスを披露するのは違和感があるけど、選手不在のパフォーマンス後なら。
 そしてそれは、次の選手主体のイベントの前座的な扱いなら。
 サンバ隊のみで、サンバをメインとしたパフォーマンスを披露しても違和感はないだろう。

 一曲まわして、そのまま選手のパフォーマンスコーナーに以降する。
 ただし、最初に出るのはダンス自慢の選手だ。
 二曲目は選手のダンスを披露する体裁で、サンバ隊もサンバを披露する。
 三曲目はお調子者選手コーナーにしようか。お調子者と大騒ぎするのもサンバは得意だ。
 四曲目はエンディング的な感じにして、全員全面に出つつ退場。
 入場もパレードで入らせてもらえれば、結構がっつりとサンバをやれる場になりそうだ。

 構成的にも無理はなく、選手の魅力を引き出せ、観客を盛り上がらせることもイメージさせやすいと思えた。

 流れをひとつひとつ一枚のスライドにまとめ、スライドごとに、それによってもたらされる効果を端的な表と言葉で記載する。
 わかりやすさに特化したシンプルなパワーポイントが出来上がった。

 データを『TA+d』のメンバーに共有する。
 今回のプロジェクトのために組んだグループを開き、ご意見を伺いたい旨のお願いをメッセージで入れた。
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