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パレードの後は少し間をおいてステージでのショーが行われた。
柊はロックダンスのような激しさも取り入れた振付のダンスを踊るユニットや、大勢の羽根の付いたダンサーによるフォーメーションが美しいステージ、ソロで踊るパートなどもあって見応えがあった。
他のダンサーたちも美しく激しく格好良く、魅入ってしまった。
サンバってなんとなく元気で激しいイメージだったが、歌が思いのほかメロディアスで声も美しく、それに合わせて踊るダンサーは華やかだった。
それだけ視覚と聴覚に美しさを印象付けるサンバだったが、ここでもわたしの心を捉えたのは、メロディーも歌もダンスもない、打楽器隊だけの演奏だった。
後程柊に聞いたところ、『バツカーダ』というらしい。
打楽器だけ。
要はリズムだけの演奏でありながら、迫力は勿論のこと、多数のバリエーションがあり、音に動きがあり、打楽器隊自体にも躍動感があり、観ていて、聴いていて鳥肌が立った。
サンバに初めて触れた日は、サンバの持ついろいろな側面に触れた日となった。
人によっては奇異な目で見られることを理解していながらも、自信を持って勧めた柊の気持ちはよく理解できた。
今のわたしの気持ちは、なんて表現したら良いのだろうか。
興奮? そうだと言えばそうなのかもしれない。でも、それだけではない気がする。
高揚感はある。でも妙に冷静でもあった。柊と話したかった。
感動を早く伝えたいという興奮もあるが、どちらかと言えばいろいろと訊きたかった。
パレードが通った公道には屋台が並んでいて、その近くに公園がある。
夜の部のステージが終わり、そろそろお祭り自体も終わりそうだ。
公園で待っていたら、柊が走ってやってきた。着替えているがメイクは落としていない。瞼にラメみたいなものもつけたままだ。夜だし別に良いのだそうだ。
お祭りも終わりに近づき、屋台は売り切るために残り個数を煽ったり、安くしたりしている。
パレードとショーの合間の時も、柊と同じダンサーで柊のお姉さんの穂積さん、それと何人かの同世代のダンサーに混ざって屋台で買い食いをしたが、パレードの興奮も冷めやらぬ中、次のステージにも備えなくてはならず、ダンサー同士の会話にうまく交ざることができず、柊のカバンについていたドナルドのキーホルダーと、穂積さんのカバンについていたデイジーのキーホルダーに気付き、やっぱり仲良いんだな、とか、ドナルドの方を柊がつけてるの、なんかこの姉妹っぽいな、とか考えていた。
パレードの時にノリの良いお姉さんダンサーたちと観客を盛り上げてたアイドルみたいでプロっぽくて可愛かった子も一緒で、話してみたかったが緊張して話せなかった。その子も舞台裏では普通の女の子って感じだった。この子はミッキーのキーホルダーつけていて、ディズニー人気の高さを実感した。
あまり周囲と話せていなかったのを気遣われたのか、穂積さんがわたしの相手をしてくれて、嬉しかったが少し申し訳なく思った。
今回は柊だけだ。他のメンバーは一部帰って、残りは打ち上げ会場に行っているらしい。
柊だけなら気楽だし直接話せると思っていたが、打ち上げまであまり時間は無いらしく、お祭りももうすぐ終わってしまうので、じっくり話せる雰囲気ではないかなと思っていたら、柊から打ち上げも出ようよと誘われた。
確かに、このお祭りのことを話されたとき、打ち上げにも出ようと言っていた気がしたが、本気とは思わなかった。
さすがに部外者が打ち上げに出るのもおかしいし、もし本気だったとしても辞退する気でいたが、気付いたらわたしは誘いに乗っていた。
あの時に掴まれた心臓は、まだ掴まれたままだったのかもしれない。
柊はロックダンスのような激しさも取り入れた振付のダンスを踊るユニットや、大勢の羽根の付いたダンサーによるフォーメーションが美しいステージ、ソロで踊るパートなどもあって見応えがあった。
他のダンサーたちも美しく激しく格好良く、魅入ってしまった。
サンバってなんとなく元気で激しいイメージだったが、歌が思いのほかメロディアスで声も美しく、それに合わせて踊るダンサーは華やかだった。
それだけ視覚と聴覚に美しさを印象付けるサンバだったが、ここでもわたしの心を捉えたのは、メロディーも歌もダンスもない、打楽器隊だけの演奏だった。
後程柊に聞いたところ、『バツカーダ』というらしい。
打楽器だけ。
要はリズムだけの演奏でありながら、迫力は勿論のこと、多数のバリエーションがあり、音に動きがあり、打楽器隊自体にも躍動感があり、観ていて、聴いていて鳥肌が立った。
サンバに初めて触れた日は、サンバの持ついろいろな側面に触れた日となった。
人によっては奇異な目で見られることを理解していながらも、自信を持って勧めた柊の気持ちはよく理解できた。
今のわたしの気持ちは、なんて表現したら良いのだろうか。
興奮? そうだと言えばそうなのかもしれない。でも、それだけではない気がする。
高揚感はある。でも妙に冷静でもあった。柊と話したかった。
感動を早く伝えたいという興奮もあるが、どちらかと言えばいろいろと訊きたかった。
パレードが通った公道には屋台が並んでいて、その近くに公園がある。
夜の部のステージが終わり、そろそろお祭り自体も終わりそうだ。
公園で待っていたら、柊が走ってやってきた。着替えているがメイクは落としていない。瞼にラメみたいなものもつけたままだ。夜だし別に良いのだそうだ。
お祭りも終わりに近づき、屋台は売り切るために残り個数を煽ったり、安くしたりしている。
パレードとショーの合間の時も、柊と同じダンサーで柊のお姉さんの穂積さん、それと何人かの同世代のダンサーに混ざって屋台で買い食いをしたが、パレードの興奮も冷めやらぬ中、次のステージにも備えなくてはならず、ダンサー同士の会話にうまく交ざることができず、柊のカバンについていたドナルドのキーホルダーと、穂積さんのカバンについていたデイジーのキーホルダーに気付き、やっぱり仲良いんだな、とか、ドナルドの方を柊がつけてるの、なんかこの姉妹っぽいな、とか考えていた。
パレードの時にノリの良いお姉さんダンサーたちと観客を盛り上げてたアイドルみたいでプロっぽくて可愛かった子も一緒で、話してみたかったが緊張して話せなかった。その子も舞台裏では普通の女の子って感じだった。この子はミッキーのキーホルダーつけていて、ディズニー人気の高さを実感した。
あまり周囲と話せていなかったのを気遣われたのか、穂積さんがわたしの相手をしてくれて、嬉しかったが少し申し訳なく思った。
今回は柊だけだ。他のメンバーは一部帰って、残りは打ち上げ会場に行っているらしい。
柊だけなら気楽だし直接話せると思っていたが、打ち上げまであまり時間は無いらしく、お祭りももうすぐ終わってしまうので、じっくり話せる雰囲気ではないかなと思っていたら、柊から打ち上げも出ようよと誘われた。
確かに、このお祭りのことを話されたとき、打ち上げにも出ようと言っていた気がしたが、本気とは思わなかった。
さすがに部外者が打ち上げに出るのもおかしいし、もし本気だったとしても辞退する気でいたが、気付いたらわたしは誘いに乗っていた。
あの時に掴まれた心臓は、まだ掴まれたままだったのかもしれない。
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