42 / 125
【幕間】 祷の空白2
しおりを挟む(祷と願子)
祷には願子という妹が在った。
以前はその読み方にコンプレックスを抱いていた願子は、「まだマシ」という理由で読み方そのままの「がんこ」や、がんこありきの愛称「がんちゃん」と友人に呼ばれていた。
姉の祷も普段は「がんこ」「がんちゃん」と呼んでいる。
同じく姉にもコンプレックスを持っていた願子。それを故としてしばらくの間は姉妹仲にはぎくしゃくとしたものが流れていたが、いまでは願子のコンプレックスの緩やかな解消に伴い、姉妹仲も良好なものになっていた。
そのきっかけとなったものが、「サンバ」だった。
祷は妹の願子がサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』(メンバーや関係者は『ソルエス』と略すことが多い)に所属したのを機に、妹に対し過剰な興味と愛情を持っていた祷は、妹と同じ趣味に没頭したい、妹の近くで妹の様子を見ていたい、と同じチームに所属した。
『ソルエス』の代表は東風治樹という三十代半ばの男性で、先代からチームを引き継ぐ形で代表となった。
彼は『東風クリニック』という地域密着型の病院の院長でもあり、こちらもまた、父親でもある前院長より引継いでいた。尚、前代表は演者として現役でチームに所属しており、前院長もまた『ソルエス』のメンバーであり現役の演者であり、クリニックの方も一医者として現役を続けている。
元気の良い先代たちに囲まれて、四苦八苦しながらも二足の草鞋を丁寧に掃きこなしている彼を、祷は尊敬していた。
院長である医師と縁ができ、立地もサンバの練習で訪れるエリアでもあり、生活圏から然程遠くない『東風クリニック』が、以降祷にとっての掛かりつけ医となった。
大学生である祷は、学業の他サークルや実行委員、家庭教師やアプリの開発などの仕事、高校生時代のブラスバンド部経験を活かした動画配信チャンネルでの活動など、忙しく充実した日々を送っていた。
そこにサンバの活動が加わる。
サンバも一参加者としてだけでなく、イベントをつくる側の立場や、チーム運営、サンバという文化振興に関する活動などにも興味を持ち、活動内容に加えていく。これまでの取り組みを削ることなく。
無理がたたったのか、ある日電車移動中に車内で倒れてしまった祷は、治樹の強い勧め(というよりも指示)で検査を受けた。
簡易的な検査や問診では異常無しとの所見だったが、念のため心電図を専門医に見せたところ、再度の検査を求める封書が祷に届いた。
2
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
『旧統一教会への解散命令』
すずりはさくらの本棚
現代文学
---
タイトル:『旧統一教会への解散命令』
見出し:「日本は、韓国にひとつ。お金を納めなさい。」
この言葉は信じ難いものかもしれませんが、実際に国会で提出された参考資料の一部です。この発言に対して、七回にわたって清和会に答弁を求めましたが、きちんとした返答が得られたのか疑問が残ります。もしかすると、大臣クラスがこの内容を誤って解釈したのではないかと考える方もいるでしょう。もしそうであれば、なぜそのような誤解が生じたのか、深く追求する必要があります。
安倍元首相の交代後、自民党は派閥争いをどう整理していくのか、これからの展開を見守る必要があります。
解散後の宗教団体と犯罪行為
まず、解散した宗教法人に対して、その活動の是非を問うことはもはや不可能です。解散した時点で宗教法人としての存在は消滅しているため、法律的な対応も制限されます。また、韓国などの影響を受けた集団による犯罪行為についても、それが犯罪行為であったとしても、処罰することは難しい状況にあります。
旧統一教会に関して、大臣はそのような認識を示しましたが、この回答に対して異議を唱える討論が、七回にわたり行われました。具体的には、森喜朗元首相が「院政を制して対処する」との回答を示し、当時の文部科学大臣であった下村博文氏にも同様の質問が行われました。しかし、彼はその後、突然公の場から姿を消しました。なぜ彼が突然姿を消したのか、その理由を追求する必要があります。
塩谷立元大臣への質問と清和会の対応
さらに、塩谷立元文部科学大臣に対しても、七回にわたる質問が行われました。この際に使用された費用は、党側および清和会からの支援によるものでしたが、返答はまだ得られていません。この点についても、再度返答を求める必要があります。
合同結婚式や「マジョリティ」に関する返答もありましたが、その詳細については依然として不明瞭です。特に、メシアと呼ばれる人物が神であるのかどうか、その背景を明確にする必要があります。
見出しの変更とさらなる追求
見出しを変更し、日本だけでなく、韓国、イギリスへと逃げ延びた組織との関連性と金銭の授受についても、今後の議論の焦点にすべきです。これを断つために国民は寝る間も惜しんで働いてきたわけですから、この点は非常に重要です。
政府献金やその預貯金の有無についても、犯罪が発生した際には速やかな対処が求められます。問題の根本原因を断ち切るためには、韓国やイギリスなど、他国にまで迷惑をかけている状況を明確にしなければなりません。 つづく・・・。
涙が幸せの泉にかわるまで
寿佳穏 kotobuki kanon
現代文学
この世に鏤められた愛と生命の尊さ。不思議な「えにし」で再び出会えた二人はたどり着けなかった幸せを追い続けていた。切なく険しい道のりの果てたどり着いたその場所は。出会いは必然でそのひとつひとつに意味があった。多種多様の人生・愛だからこそそれは何にも代えがたい宝。悲しみと切なさに暮れた涙はいつしか大きな幸せの泉に変わる。さかのぼる時代を生きた人たちを回顧し思いをはせつつ真剣にいまを生きる人たちに齎された奇跡とも言える出会いと愛の人間模様。
冷たい桜
七三 一二十
現代文学
春の夜、桜舞う公園を彷徨う兄妹。彼らが求めるものは…?
※本作には近親相姦要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※本作は小説家になろう様にも掲載しております。
優しいあなたは、残酷な嘘をつく。
新実 キノ
現代文学
「いじめられる方にも問題がある」
そんな戯言は、いじめるクズが自分を正当化するための見苦しい言い訳だ。
あるいは、どんな正論も否定したがる無責任な傍観者の的外れな中傷だ。
現に、私は一年以上も理不尽にいじめられている。
同級生にも担任にも見捨てられ、なんの合理性も生産性もない陰湿ないじめによって苦しめられている。
耐え切れなくなった私は、自殺を図って無意識に迷い込んだ樹海の中でスクールカウンセラーの青年、春原大晴と出会った。
彼に身の上を話したことで、もうちょっとだけ生きる力を取り戻した私は、気づけば毎日彼に会いに行っていた。
彼との他愛のない雑談や、いじめていた奴の不可解な事故死によって、私は徐々に絶望の淵から這い上がり、将来の夢や尊敬する人を見つけることができた。
しかし――ようやく手にした平穏が、憧れが……ある日突然、消え去った。
ずっと続いて欲しいと願った日常を失い、私が選んだ道は…………。
地獄から私を救った偶然の出会いと、切ない別れの物語。
エイプリルフール
湯神和音
現代文学
野菜と戯れる話です。
そら豆がぴょんぴょんと飛び跳ねたり、ニンジンに枕元に立たれたりします。
エイプリルフールの日に思いついた話で、エイプリルフールというタイトルにしました。
※小説家になろうにも1話分が掲載されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる