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第4幕 学園の国

第3話 英雄王の誕生?~寝違えたのかただの肩こりか判断が難しい~

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「で、やっぱりこうなる訳ね」

手を鎖で繋がれて柵のような前に立っているなう。
いやー、すごいね。ミレイはこれに耐えてたんだなぁ

「被告人グレイ。この度、異世界の来賓カズキの拉致、殺害未遂という大罪を企てたと言われているが…真実か?」

前には裁判官らしき人と皇帝が上の方にいる
…なんかこのパターン飽きたなぁ

「いいえ。しておりません。
ただ、やられたからやり返しただけですわ?」

にっこりと令嬢時代に鍛えた笑顔で対応する

「嘘つくなんて!!カズキがあんなにボロボロで!
誰が見ても明白よ!」

イレーネが私に向かって叫ぶ
あれ?アーク様いねーじゃん?

「そうよ!本当平民のくせに、異世界からの使者に手を出すなんて!!」

シンシアも叫ぶ

「最低ですぅ~」

ムーアも追撃してくる
あれ?何でセレスいないの?
クズのカズキはそこにいるから大丈夫だとは思うけど…
何も反応ないから居ないだけかな?
ってか部外者うるさいし、皆なんで止めないの?
関係ないよね、この人

「…俺が、セレスさんと仲良くしたいって言ったら…即攻撃してきて…」

カズキの言葉を聞いて私は大きくため息をついた

「発言、よろしいでしょうか?」
「ふむ、許可しよう」

皇帝の言葉に大きく息を吸って、1度目を閉じた後
その場でカツンと踵を鳴らし空気を変える

「まず、大前提に。
私のような平民に害されるなど、能力等たかが知れておりますね?
異世界から来たというのに思わぬ能力の低さですわ。
初期値のままとか呆れますわ。女の子を侍らすのに必死で能力あげ忘れたのかしら?お盛んなことね?
そして、周りの方々も高貴な方なのでしょう?
はしたないのではなくて?1人の男に尻尾振って…あら?怒るのね?真実だったのかしら?
あと、《魅了チャーム》使ってるわよね?
私にセレスがなびかないことに詰め寄ってきて、キャンセルされたことに気づくならわざとということでしょう?
魅了系の魔法は禁止されていますわよ?

下半身男ごときが私に勝とうなんて100億年早いのよ」

にっこりと返事をしてあげた。
周りはポカーンとしている
皇帝とその周辺の人達は私が誰だか知ってるので青ざめているが…まぁいい

「な、な、な!!そんなのは狂言だ!!」

カズキが叫んできた

「図星をさされたからと大きな声を出さないでくださいませ。
うるさいですわ」
「俺は魅了なんて使ってない!嘘をつくな!!」
「あらぁ?ふふふっ。そう言うと思っていたのですよ?ありがとうございます。」

ポケットから1つの水晶を出す
少し魔力を流した

〔で、本当は何の用なんです?
…防音、幻覚魔法を使ってまで。〕
〔…お前みたいな平凡な女に、キャンセルされるなんてな〕
〔ふぅん?本性って訳??〕
〔だってそうだろ?お前の横にいたセレスさんが俺に惚れないわけないだろ?
お前がキャンセルしたからだ。〕
〔よく分かりましたね〕
〔お前の方から音がした。〕
〔へぇ?〕
〔で?何の用?〕
〔セレスさんをよこせ〕
〔わぁー!傲慢だねぇー周りに女侍らせておいてまだセレスまで欲しいの??〕
〔世の中の美女は俺のモノだ〕

「これ、録音機能がある水晶なんですよねー最近開発した。
これを持ってるのはもちろん皇帝も知ってるので虚言ではありません。」
「な、なんでお父様があんたの持ち物なんて知ってるのよ!!」
「え?」

チラッと見ると皇帝はため息をついて頷いた

「私は…「フフフ…あはははははっ!!!」

…おい、邪魔すんな
カズキが突然笑いだした

「か、カズキ様…?」
「あーぁ。お前のことだったんだな…アイツ・・・が言ってた奴は…」

アイツ…?

「あぁ…でもまぁ、いい時間潰しにはなったよ。」
「時間潰し?」

その言葉に首を傾げた。しかし直ぐに異変に気づいた

「っ!!クズ野郎!この学園都市に魔物を誘発しやがったな!!」

思わず叫ぶ
探知サーチ》でこの周辺に魔物が集まってきているのに気づいた

「《魅了チャーム》…お前のは使い分け出来るんだな!チッ!」
「俺のものにならないなら潰してしまえばいい!!これは全部俺のための世界なんだからな!」

私は思わずクズ野郎を殴りつけた

「ゲームや小説と勘違いするんじゃない!!
お前もここで生きてるんだ!!
お前ごときの能力じゃ巻き込まれて死ぬぞ!!」
「俺は神に選ばれた男だからな!!お前らとは違う!!」
「…もういい。」

何を言っても通じないなら時間の無駄だ
無駄だけど…

「《拘束バインド》」

クズ野郎を見えない紐で拘束した
もがいて叫んでるけど気にしない
鎖を魔法で解除して腕を回した

「んー。あそこか。」

私は座標を確認した

「おっと!陛下ー!これお願いしますねー!その辺の女の子にふりまいてくださーい!」

私は香水のような瓶を投げた
近くにいた騎士が受け取った

「さーて、お仕事しますかね
転移テレポート》」

次に見えたのは塀の上の景色

「やっほー!セレス!」
「あ、お帰りー!」

指でちょいちょいとしながら小爆発をさせているセレスを見た
爆発源はうじゃうじゃと魔物が居る

「うっへー!多いな今回はー」
「水素爆発させてるんだけど減らないのよねぇ」

嫌だわーとため息をつくセレスだけど、本気では言ってないね

「お?あれはアークの側近じゃない?」
「そうそうー!彼の見せ場作らないとねー」

なるほど、魔法だけでなく剣や武術の有用性のための小爆発ね

「主役がそろそろ来るよー」
「おっけー!なら私らも飛びますか」

トンッと軽い音と共に一瞬で飛ぶ


********************


「囲まれましたね、殿下」
「あぁ。でも、私はここでは負けられない」

背中合わせになるアークと側近のディック

「殿下、ここは俺が退路を開きます。お逃げください」
「いや、ここで私が逃げた所でこいつらは都市に向かうだろう。
それでは意味が無い。
私は、この国の王族だからな。
今答えずにいつ民の期待に答えるんだ」

剣を構え直すアークに呆れたように笑うディック

「まぁ、それでこそ、アークだよな」

ニカッと笑うディックに雰囲気だけ感じ取ったアークも笑った

「何がなんでも都市には行かせない。
それが王族の務めだ!!」
「殿下のおっしゃる通りに」

ディックとアークは走り出した
斬り伏せたり魔法を出したりしながら、倒していくが、一向に減らず
2人に疲れが見え始めた

「うぉ!?」
「ディック!《火球ファイアーボール》!!」

足を滑らせたディックの背後に迫っていた魔物にアークが魔法を当てた

「アークッ!!」
「ッ!?」

アーク自身の後ろに来ていた魔物に気づかなかった
魔物の鋭い爪がアークに振り下ろされようとしていた

ザシュッ

それは一瞬の事だった
魔物が横薙ぎに切られて飛ばされた
そこにいたのは白いローブを深く被った人物

「よー!よく頑張ったな!!」

いきなり現れた人物に警戒するディック
聞き覚えのある声にポカーンとするアーク

「あとは、私たちに…あ、まって、アーク様を英雄にしようか!!」

ディックやアークの後ろから現れたのは黒いローブを被った人物

「雑魚は私たちに任せとけ☆」
「アーク様!あれあれ!この前覚えた魔法陣!!」
「殿下?この者達は?」
「え、あ、ん?」

混乱しているアークに2人はフードを外した
現れたのはもちろんセレスとグレイである

「学友を忘れるなんて酷いなー!」
「もうー!覚えといてよね!」
「さーて、あとは引き受けるからアークは塀の方へ行って、魔法陣書いて発動させてー」
「いや、私では…もう魔力が足り ングっ!?」

問答無用で瓶をアークの口に突っ込むグレイ
ディックがグレイを睨んでいる
むしろ斬り掛かる2秒前である

「!?」

パァァァ!と緑の光がアークを包んだ

「魔力回復液~」
「それでいけるー?」

ニコニコと尋ねるセレスに、驚きつつも頷くアーク

「さーて!塀の上まで送るから急いで張れよー!」
「いっくよー!《転移テレポート》!!」

ディックとアークをセレスがまとめて送った

「それまでは私らで何とかしますか!」

グレイの言葉にセレスは頷いて弓を取り出した






「殿下…あの者達は…?」
「私の学友だそうだ」

呆れたような、嬉しそうな、何とも言えない笑みを浮かべるアークにディックはホッとする
この方にも安心出来る場所があったのかと

「ここまでお膳立てされたなら、やるしかないな。」

そういうと利き手を上に大きく上げて魔力を込めるアーク

「この魔法陣は…?」
「あの学友たちが作ったんだ」

ふわっと笑い魔法陣を発動させるアーク
その瞬間に学園都市全体に大きくシールドが貼られて、すぐ無数のファイアーボールが飛んでいく
周りの魔物を燃やしていく

「うっわー…」
「…実際やってみるとすごいな」

呆然とする2人
魔物は全て鎮圧された…

*************************


「いやー!すごいね!流石時期皇帝だよねぇー!」
「自分を省みずに民のために…くぅー!カッコイイー!アークリッドさまぁぁぁぁ!!」
「やめてくれ。本当にやめてくれ…そして、あれを止めてくれ!!」

アークか指さしたのは空に映し出された映像。
先程の魔物を退けた戦いをスクリーンみたいにセレスが映し出してる
いやー闇魔法って便利ダナー

「なんだよー!支持率上がっていいでしょー??」
「総選挙みたいね」

みんなに見えるようにしたから学園都市の人達から歓声が上がってる

「…カズキだが…」
「消えたんでしょ?」
「あぁ…『アイツらはいつか倒される!』って不気味に笑いながら…」

倒される…ねぇ…?
やっぱりバックに誰かいるみたいだね。前回といい、今回といい…

「ま、妹とか元に戻ったんだよね?」
「そうなんだが…婚約は破棄されたから新しく婚約者を探し直さないと…」
「セレスはあげないからな?」
「私が王妃?無理無理ー!」

ケラケラと2人で笑い合う
困ったように笑うアークだけど、言われてんだろうねぇ

「さてと、私たちはいくね」

にこりとセレスが笑った

「そうか…寂しくなるな」
「ここでの仕事終わったからねぇ…」

眉を下げるアークと苦笑するセレス
ちなみにディックは少し離れた位置で待機してる

「でも、友達だからね。またすぐ会えるよ!」

私が笑いながら言うとふわりとアークが笑った

「はー!女の子なら嫁にしたかった!!」
「え!?グレイ浮気!?」
「浮気ってー!」

へらりへらりと笑う私たちに思わずアークも笑った

「次はアークの戴冠式かなー?」
「いや、それより早く会いに来そうだよね」
「たしかにー!」
「じゃ、またね!」

私たちはそう言って馬車に乗り込んだのだった
また一緒に会いに来ような!セレス!
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