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34人生最高の日
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イスベルクが動かなくなるとすぐにイゴール様がやってきて龍からヒトの姿へと戻してくれた。初めて龍化したから眠っているだけだと。心配いらないと言われ安心した。しばらくはイスベルクに抱きついていたが、なにかオレにも出来ることはないかと考えてみた。だって、これ以上挙式を伸ばしたくない。
「シーヴル居るのでしょ?」
「はい。ルミエール様お呼びですか?」
すっと音もなくシーヴルは現れた。もう驚かないよ。なんとなくもうわかった。シーヴルもヒトじゃない。それもユージナルよりも、もっとイゴール陛下に近い気がする。
「この城に温室はある?」
「はい。ございます」
「僕をそこに連れて行ってくれる?」
「かしこまりました」
温室には城を飾る花々が育てられていた。良かった、これならできるかもしれない。吹雪と共に極寒になる地だ。温室のひとつやふたつあるはずだと思っていたんだ。
「鉢植えで育ててるのが多いんだね」
「はい。土が少ないので」
「うん。そのほうが動かせやすいから良いよ」
「動かすのですか?」
「うん。ちょっと試してみたい事があるんだ」
オレの案を聞いてシーヴルが悪戯っぽく笑った。
「ふふふ。それは楽しそうですね」
「そこの瓦礫は外に運び出しなさい。ああ。今から挙式の延期を発表するには間に合わない!」
グラソンが指示を出しながらばたばたと駆けずりまわっている。かなりの損傷がでたのだろう。特に城の入り口からオレらがいた部屋まで一直線に穴が開いてやけ焦げている。アグニの野郎!最短の動線で動いたんだな。まあそのせいで他の箇所の被害は少ない。
「グラソンっ。壁の修復具合はどう?」
「ルミエール様?まだ半分も済んでおりません!」
「では残りはまかせて!」
「へ?何をされるおつもりですか?」
オレは崩れ落ちた壁の傍に鉢植えを置いた。薔薇によく似た綺麗な花。
「君はとても綺麗だね。そのまま枝を伸ばしてこの壁にそって花を咲かせてくれる?」
オレの言葉を理解したように天井を支えるように枝が編み込みのように伸びていく。枝と枝の隙間につぼみが膨らみ綺麗な花が咲いていった。
「これは……なんという事だ」
「この植物達が城を支えてくれる。さあ他の場所にも行くよ」
「は、はい。次にひどい場所はあちらです」
あれ?グラソンが素直に言う事を聞いてくれる。ちょっとはオレの事認めてくれたの?
修復の合間にイスベルクの容態を診に行く。ひとめを忍んで口づけをするとオレの中にチカラが流れ込んでくる気がする。ネージュ皇后が言っていたイスベルクのチカラが大きいのでオレが受け取る事が出来るってこういうことなのかな?今は龍のチカラが安定してないそうだから、少しもらうね。
「早く目が覚めますように。このままだと眠り姫じゃなく眠り皇太子になっちゃうよ」
明日までに目覚めなければ強制的に起こすから案ずるなとイゴール陛下が言っていた。あの方は嘘をつくようなことはしない。あまり表に出さないけれど息子の事を誰よりも心配してるような気がするから。だって番が生んだ子供だもの。可愛くないはずがない。
徹夜で準備と修復をつづけ、なんとか挙式に間に合いそうだ。よかった。
「まあ!いつのまにこの城ってイメチェンしたのよ!素敵じゃないの!」
キャンベルが朝いちばんに衣装を仕上げてくれた。ありがたい。数日前から城に泊まり込みで作業をしてくれていた。色とりどりの花で飾られた城の壁や部屋を見てきゃあきゃあと騒いでくれている。やるだけやったかいがあったかな?
「ありがとう。徹夜してくれたんでしょ?」
「あらやだ。わかる?目の下のクマが消せなかったのよ」
「キャンベルはそのままでも素敵だよ」
「まあなによ、急にイイ男になっちゃって!それに髪切ったのね。ん~。まあベールで隠せるからいいわ」
キャンベルは昨日、賊が入り込んだと聞き、兵士たちと一緒に炎の国の傭兵達を縛り上げてくれたらしい。さすがは元イスベルクの上司。めちゃくちゃ頼りになる。後でわかった事だがアグニは祝いの品として大きな箱の中に隠れて潜んでいたらしい。そんな祝いの品なんかいらない!傭兵達も商人などに変装して紛れ込んだらしい。誰の策で動いていたのかは知らないが後の采配は皇帝陛下にお任せした。
「ルミエール!」
バンッと扉を開けて入って来たのはイスベルクだ!無事に目が覚めたんだね。よかった挙式に間に合う。
「ああ。俺の番!愛している。俺から離れないでくれ」
抱きしめられて思わず涙が浮かんだ。眠っているだけだと。安心しろとは言われていたけどオレ不安だったんだな。ぎゅっと抱きしめ返すと目じりや頬にキスを繰り返してくれる。ふふ。くすぐったいよ。
「はいは~い。もう時間がないんだからね。イスベルク様も支度して!」
「イスベルク。あとでね。その。あとでいっぱいシテね」
もうオレはそれだけ言うだけで精一杯だった。イスベルクは無言で何度も頷いていたから通じたかな。
◇◆◇
ステンドグラスが輝く祭壇にはイゴール陛下がいた。この北の大地には特定の宗教がないため教会はない。すべては皇帝の元で行われるのだ。
「今日の良き日に3つの幸運が重なった。イスベルクの20歳の誕生日とルミエールとの挙式。そして成人の儀をつつがなく終えたことである。これ以後イスベルクはこの皇帝イゴールの後継となり、ルミエールは良き伴侶となりイスベルクを支えていくこととなるのだ!」
威厳のある声が城中に響き、オレは緊張のままキャンベルに手を引かれて祭壇へと向かう。そこにはすでにイスベルクが居てオレの手を受け取るとオレのベールを上げた。
「カッコいい……」
そこには真っ白な軍服に身を包んだ貴公子がいた。お伽話から抜け出てきたみたい。服の下の筋肉が布の皺の加減でよくわかる。腕と胸のあたりがぱつぱつしてて盛り上がっている。肋骨に沿ったように金の組みひもが装飾されていて威厳に満ちてカッコよすぎて胸が苦しい。
「可愛い過ぎる……」
イスベルクも固まってる?そっか。この服見るの初めてだもんね。
「歩くと足首が見えるんだよ」
オレは少し足を上げて見せた。
「だめだ。他のやつらに見せないでくれ」
「こほん。早く誓え。皆待っとるぞ」
「「この命果てる日まで。幾久しく番として共に歩んでまいります」」
「よし!ここに二人が伴侶となったことを宣言する!」
大きな拍手に包まれ、オレは周りに来賓客がいる事に気づいた。オレったらどんだけ緊張してたんだ?だってイスベルクの姿しかみえなかったんだ。
「シーヴル居るのでしょ?」
「はい。ルミエール様お呼びですか?」
すっと音もなくシーヴルは現れた。もう驚かないよ。なんとなくもうわかった。シーヴルもヒトじゃない。それもユージナルよりも、もっとイゴール陛下に近い気がする。
「この城に温室はある?」
「はい。ございます」
「僕をそこに連れて行ってくれる?」
「かしこまりました」
温室には城を飾る花々が育てられていた。良かった、これならできるかもしれない。吹雪と共に極寒になる地だ。温室のひとつやふたつあるはずだと思っていたんだ。
「鉢植えで育ててるのが多いんだね」
「はい。土が少ないので」
「うん。そのほうが動かせやすいから良いよ」
「動かすのですか?」
「うん。ちょっと試してみたい事があるんだ」
オレの案を聞いてシーヴルが悪戯っぽく笑った。
「ふふふ。それは楽しそうですね」
「そこの瓦礫は外に運び出しなさい。ああ。今から挙式の延期を発表するには間に合わない!」
グラソンが指示を出しながらばたばたと駆けずりまわっている。かなりの損傷がでたのだろう。特に城の入り口からオレらがいた部屋まで一直線に穴が開いてやけ焦げている。アグニの野郎!最短の動線で動いたんだな。まあそのせいで他の箇所の被害は少ない。
「グラソンっ。壁の修復具合はどう?」
「ルミエール様?まだ半分も済んでおりません!」
「では残りはまかせて!」
「へ?何をされるおつもりですか?」
オレは崩れ落ちた壁の傍に鉢植えを置いた。薔薇によく似た綺麗な花。
「君はとても綺麗だね。そのまま枝を伸ばしてこの壁にそって花を咲かせてくれる?」
オレの言葉を理解したように天井を支えるように枝が編み込みのように伸びていく。枝と枝の隙間につぼみが膨らみ綺麗な花が咲いていった。
「これは……なんという事だ」
「この植物達が城を支えてくれる。さあ他の場所にも行くよ」
「は、はい。次にひどい場所はあちらです」
あれ?グラソンが素直に言う事を聞いてくれる。ちょっとはオレの事認めてくれたの?
修復の合間にイスベルクの容態を診に行く。ひとめを忍んで口づけをするとオレの中にチカラが流れ込んでくる気がする。ネージュ皇后が言っていたイスベルクのチカラが大きいのでオレが受け取る事が出来るってこういうことなのかな?今は龍のチカラが安定してないそうだから、少しもらうね。
「早く目が覚めますように。このままだと眠り姫じゃなく眠り皇太子になっちゃうよ」
明日までに目覚めなければ強制的に起こすから案ずるなとイゴール陛下が言っていた。あの方は嘘をつくようなことはしない。あまり表に出さないけれど息子の事を誰よりも心配してるような気がするから。だって番が生んだ子供だもの。可愛くないはずがない。
徹夜で準備と修復をつづけ、なんとか挙式に間に合いそうだ。よかった。
「まあ!いつのまにこの城ってイメチェンしたのよ!素敵じゃないの!」
キャンベルが朝いちばんに衣装を仕上げてくれた。ありがたい。数日前から城に泊まり込みで作業をしてくれていた。色とりどりの花で飾られた城の壁や部屋を見てきゃあきゃあと騒いでくれている。やるだけやったかいがあったかな?
「ありがとう。徹夜してくれたんでしょ?」
「あらやだ。わかる?目の下のクマが消せなかったのよ」
「キャンベルはそのままでも素敵だよ」
「まあなによ、急にイイ男になっちゃって!それに髪切ったのね。ん~。まあベールで隠せるからいいわ」
キャンベルは昨日、賊が入り込んだと聞き、兵士たちと一緒に炎の国の傭兵達を縛り上げてくれたらしい。さすがは元イスベルクの上司。めちゃくちゃ頼りになる。後でわかった事だがアグニは祝いの品として大きな箱の中に隠れて潜んでいたらしい。そんな祝いの品なんかいらない!傭兵達も商人などに変装して紛れ込んだらしい。誰の策で動いていたのかは知らないが後の采配は皇帝陛下にお任せした。
「ルミエール!」
バンッと扉を開けて入って来たのはイスベルクだ!無事に目が覚めたんだね。よかった挙式に間に合う。
「ああ。俺の番!愛している。俺から離れないでくれ」
抱きしめられて思わず涙が浮かんだ。眠っているだけだと。安心しろとは言われていたけどオレ不安だったんだな。ぎゅっと抱きしめ返すと目じりや頬にキスを繰り返してくれる。ふふ。くすぐったいよ。
「はいは~い。もう時間がないんだからね。イスベルク様も支度して!」
「イスベルク。あとでね。その。あとでいっぱいシテね」
もうオレはそれだけ言うだけで精一杯だった。イスベルクは無言で何度も頷いていたから通じたかな。
◇◆◇
ステンドグラスが輝く祭壇にはイゴール陛下がいた。この北の大地には特定の宗教がないため教会はない。すべては皇帝の元で行われるのだ。
「今日の良き日に3つの幸運が重なった。イスベルクの20歳の誕生日とルミエールとの挙式。そして成人の儀をつつがなく終えたことである。これ以後イスベルクはこの皇帝イゴールの後継となり、ルミエールは良き伴侶となりイスベルクを支えていくこととなるのだ!」
威厳のある声が城中に響き、オレは緊張のままキャンベルに手を引かれて祭壇へと向かう。そこにはすでにイスベルクが居てオレの手を受け取るとオレのベールを上げた。
「カッコいい……」
そこには真っ白な軍服に身を包んだ貴公子がいた。お伽話から抜け出てきたみたい。服の下の筋肉が布の皺の加減でよくわかる。腕と胸のあたりがぱつぱつしてて盛り上がっている。肋骨に沿ったように金の組みひもが装飾されていて威厳に満ちてカッコよすぎて胸が苦しい。
「可愛い過ぎる……」
イスベルクも固まってる?そっか。この服見るの初めてだもんね。
「歩くと足首が見えるんだよ」
オレは少し足を上げて見せた。
「だめだ。他のやつらに見せないでくれ」
「こほん。早く誓え。皆待っとるぞ」
「「この命果てる日まで。幾久しく番として共に歩んでまいります」」
「よし!ここに二人が伴侶となったことを宣言する!」
大きな拍手に包まれ、オレは周りに来賓客がいる事に気づいた。オレったらどんだけ緊張してたんだ?だってイスベルクの姿しかみえなかったんだ。
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