22 / 41
21護衛がついた
しおりを挟む
連れて来られた部屋は清潔感がある明るい部屋だった。氷の国の城って言うから全部氷でできているのかと思っていたがちゃんと人が住める普通のお城なんだな。入口はローブをかぶっていて良く見えなかったが人の気配が多かったから厳重に警戒されていたのだろう。それに大広間に居た時ユージナルは存在を消していてどこに居るかさえわからなかった。いつの間にかイスベルクの後ろにいた。どうやったらそんな風にできるのだろう。やっぱり鍛錬かな?
あれからオレには護衛兼侍従と言うのが付いた。
「シーヴル。午後からは鍛錬につきあってくれる?」
「かまいませんがくれぐれも無理だけはしないようにしてくださいね」
苦笑しながらもつきあってくれるのがありがたい。実は初日の晩餐会でオレは旅の疲れが出たのか食べるだけ食べてその場で寝落ちしてしまったのだ。だってどれもこれも見たことがない美味しいものばっかりで嬉しかったんだ。何やら挨拶にいろんな人が来ていたがオレは食べ物に夢中で何を話したかほとんど覚えてない。顔だけは覚えておいた。その後はイスベルクが膝の上で抱きかかえていてくれたらしい。旅の間はそれが普通だったのでついやってしまったようだ。だがそのせいでオレが溺愛されていると噂になってしまった。とっても恥ずかしい。グラソンからは王族教育と言うのを毎日指導されることになってしまった。
シーヴルは片眼鏡の紳士だ。年齢不詳だけど立ち姿や身のこなしがただ者ではない。きっと凄い人なのだろうな。教え方も上手で俺はちょっとした護身術なら出来るようになっていた。
「なかなか筋がいい。指摘したところはすぐに直してくるし教えがいがあります」
「本当?やったあ!熱だして寝込んでばかりじゃイスベルクに心配かけちゃうからね。身体を鍛えて元気にならないと。ついでに自分の身ぐらいは自分で守れるようにならないとだめだしね」
「とても良い心がけです」
ニコニコと褒めてくれるところもとっても良い。ふっふっふ。習った基本は影で練習してムッキムキになってやるんだ。めざせ肉体改造。
「今日はこの辺にしておきましょう。そろそろおいでになるかと」
城に戻ってからイスベルクは溜まっている公務の片付けで忙しいらしく前ほど一緒にはいられない。でも必ず一日に一度以上は会いに来てくれる。今日は昼食を一緒に取れなかったのでお茶の時間に来てくれた。
「少しはこの城に慣れたか?」
「うん。シーヴルがよくしてくれるんだ」
「ありがたきお言葉。いたみいります」
そう言いながらシーヴルがカップにお茶を注ぐ。ユージナルは戸口で立ったままだ。壁になっている。
「何か足らない者や欲しいものはないか?」
「ご飯もちゃんと出してもらえているしあったかい服もあるし大丈夫だよ」
「そんなのは当たり前だ。もっと俺にして欲しいことはないか?」
して欲しい事かぁ。そうだ!
「じゃあ魔法の訓練をして!前に訓練してくれるって言ってくれいてたでしょ?」
「そういえばそうだったな。ルミエールは自分がどの属性が使えるか判定はしたのか?」
「判定? わからない。炎の国では火属性魔法が出来ないと相手にされなかったから」
「やはりな。いい機会だ。ちょうど母上にも会わそうと思っていた。明日午前の時間を空けてもらおう」
「母上って皇后さま?」
「そうだ母上は魔法判定ができる。俺も久しぶりにお会いすることになるな」
うぉ。緊張する。だって普段はあまり女性陣を城の中では見かけないんだ。女性が少ないのかと思ったけどどうやら客人の前には現れないらしい。と言う事はオレはまだこの城では認められてないのかな?ちょっと凹むなあ。
次の日はシーヴルが気合いを入れてくれた。髪も綺麗に整えられオイルでつやつやだし、こんなに女官さんが居たのかと思う程駆けつけてくれた。白いフリルのついたシャツに黒いブリーチズ。上からふわふわの白い毛皮のコートをきせられた。皇后さまに会うのって大変なんだね。
「ルミエール様って可愛い方だったのですね?」
「炎の国の方だって言うから私たちてっきり……」
「ええ。こんなに話しやすい方とは思わなくて」
はは~ん。どうやら筋肉バカが来たと思われていたんだな。まあ仕方ないか。実際オレも格闘技好きだしな。
「これからよろしくお願いしますね」
「ええ。もちろんですとも。お妃修行もなさるのでしょう?」
「へ?……そうなのかな?」
ん~、まあ細かい作業は嫌いではないけど。オレに出来るのか?
「さあ行こうか……綺麗だ。可愛い……」
イスベルクが来てくれた!わあカッコいい!正装じゃん。金銀の肩から胸の前まで飾りひもが垂れ下がっている。白い軍服って素敵だあ。また耳が赤いよ。きっとこれは照れている?
「イスベルク様。早くいかないと陛下に叱られますよ」
「ああ。そうだった」
「ふふ。今日もイスベルクはカッコイイね」
「ぐふ……」
あれ?なんか変な声がイスベルクから聞こえたような?
あれからオレには護衛兼侍従と言うのが付いた。
「シーヴル。午後からは鍛錬につきあってくれる?」
「かまいませんがくれぐれも無理だけはしないようにしてくださいね」
苦笑しながらもつきあってくれるのがありがたい。実は初日の晩餐会でオレは旅の疲れが出たのか食べるだけ食べてその場で寝落ちしてしまったのだ。だってどれもこれも見たことがない美味しいものばっかりで嬉しかったんだ。何やら挨拶にいろんな人が来ていたがオレは食べ物に夢中で何を話したかほとんど覚えてない。顔だけは覚えておいた。その後はイスベルクが膝の上で抱きかかえていてくれたらしい。旅の間はそれが普通だったのでついやってしまったようだ。だがそのせいでオレが溺愛されていると噂になってしまった。とっても恥ずかしい。グラソンからは王族教育と言うのを毎日指導されることになってしまった。
シーヴルは片眼鏡の紳士だ。年齢不詳だけど立ち姿や身のこなしがただ者ではない。きっと凄い人なのだろうな。教え方も上手で俺はちょっとした護身術なら出来るようになっていた。
「なかなか筋がいい。指摘したところはすぐに直してくるし教えがいがあります」
「本当?やったあ!熱だして寝込んでばかりじゃイスベルクに心配かけちゃうからね。身体を鍛えて元気にならないと。ついでに自分の身ぐらいは自分で守れるようにならないとだめだしね」
「とても良い心がけです」
ニコニコと褒めてくれるところもとっても良い。ふっふっふ。習った基本は影で練習してムッキムキになってやるんだ。めざせ肉体改造。
「今日はこの辺にしておきましょう。そろそろおいでになるかと」
城に戻ってからイスベルクは溜まっている公務の片付けで忙しいらしく前ほど一緒にはいられない。でも必ず一日に一度以上は会いに来てくれる。今日は昼食を一緒に取れなかったのでお茶の時間に来てくれた。
「少しはこの城に慣れたか?」
「うん。シーヴルがよくしてくれるんだ」
「ありがたきお言葉。いたみいります」
そう言いながらシーヴルがカップにお茶を注ぐ。ユージナルは戸口で立ったままだ。壁になっている。
「何か足らない者や欲しいものはないか?」
「ご飯もちゃんと出してもらえているしあったかい服もあるし大丈夫だよ」
「そんなのは当たり前だ。もっと俺にして欲しいことはないか?」
して欲しい事かぁ。そうだ!
「じゃあ魔法の訓練をして!前に訓練してくれるって言ってくれいてたでしょ?」
「そういえばそうだったな。ルミエールは自分がどの属性が使えるか判定はしたのか?」
「判定? わからない。炎の国では火属性魔法が出来ないと相手にされなかったから」
「やはりな。いい機会だ。ちょうど母上にも会わそうと思っていた。明日午前の時間を空けてもらおう」
「母上って皇后さま?」
「そうだ母上は魔法判定ができる。俺も久しぶりにお会いすることになるな」
うぉ。緊張する。だって普段はあまり女性陣を城の中では見かけないんだ。女性が少ないのかと思ったけどどうやら客人の前には現れないらしい。と言う事はオレはまだこの城では認められてないのかな?ちょっと凹むなあ。
次の日はシーヴルが気合いを入れてくれた。髪も綺麗に整えられオイルでつやつやだし、こんなに女官さんが居たのかと思う程駆けつけてくれた。白いフリルのついたシャツに黒いブリーチズ。上からふわふわの白い毛皮のコートをきせられた。皇后さまに会うのって大変なんだね。
「ルミエール様って可愛い方だったのですね?」
「炎の国の方だって言うから私たちてっきり……」
「ええ。こんなに話しやすい方とは思わなくて」
はは~ん。どうやら筋肉バカが来たと思われていたんだな。まあ仕方ないか。実際オレも格闘技好きだしな。
「これからよろしくお願いしますね」
「ええ。もちろんですとも。お妃修行もなさるのでしょう?」
「へ?……そうなのかな?」
ん~、まあ細かい作業は嫌いではないけど。オレに出来るのか?
「さあ行こうか……綺麗だ。可愛い……」
イスベルクが来てくれた!わあカッコいい!正装じゃん。金銀の肩から胸の前まで飾りひもが垂れ下がっている。白い軍服って素敵だあ。また耳が赤いよ。きっとこれは照れている?
「イスベルク様。早くいかないと陛下に叱られますよ」
「ああ。そうだった」
「ふふ。今日もイスベルクはカッコイイね」
「ぐふ……」
あれ?なんか変な声がイスベルクから聞こえたような?
34
お気に入りに追加
205
あなたにおすすめの小説
腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います
たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました
綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜
【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】
*真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息
「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」
婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。
(……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!)
悪役令息、ダリル・コッドは知っている。
この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。
ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。
最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。
そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。
そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。
(もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!)
学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。
そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……――
元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。
竜人息子の溺愛!
神谷レイン
BL
コールソン書店の店主レイ(三十七歳)は、十八歳になったばかりの育て子である超美形の竜人騎士であるルークに結婚を迫られていた。
勿論レイは必死に断るがルークは全然諦めてくれず……。
だが、そんな中で竜国から使者がやってくる。
そしてルークはある事実を知らされ、レイはそれに巻き込まれてしまうのだが……。
超美形竜人息子×自称おじさん
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる