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4くんかしすぎて気絶しました

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チチチチ、チッ、チーン。

小鳥の囀りに目を開ける。
殆ど起きてたけど、毎朝これを聞かないと目を開ける気になれないのだ。

「……早起きだな。昨日も6時ぴったりに起きていた」

椅子に座って緑茶を飲んでいたクロフォード様がわたしに笑いかけた。
そしてベッドのサイドテーブルに紙袋を置いて、わたしの頬を撫でた。

「珈琲だ。まだ温かいぞ。飲めるか?」

あぁ。
異世界転生、ばんざい。

「ありがとうございます……飲み、ます」

掠れた声を返す。
わたしは先週からクロフォード様と、半同棲生活を送っている。
公式ではクロフォード様は水か酒しか飲まないのに、何故かわたしが作った緑茶を気に入ってくれて、朝はよく飲んでいる。
そして毎朝珈琲を買ってきてくれる。
使い捨ての紙コップのやつだ。
これ、砂糖もミルクも入っててお高いのに。
でも凄く美味しいんだよね。

「……今日も美味しい、です」
「君は珈琲が好きだな。酒は苦いと言って飲まないのに」
「珈琲は……香りが好きなんです。でも砂糖とミルクがないと苦くて飲めなくて」

ちらりとクロフォード様を見る。緑茶を飲みきり、出掛けるため身支度をしている。
長い銀髪に見え隠れする背中の筋肉やばい。
腕も太くて、逞しい。
触ると程よく柔らかくて、ずっと撫で撫でしていたくなる。
本当に、香り立つ程にいい男だ。
でも火傷したら怖いから、絶対に声なんてかけれなかった。遠くからその存在を眺めて、意識して、あれこれ妄想して、立ち去る。ただそれだけだったのに。

「今日はギルドへ行くのか?」
「はい。ゆっくり用意して、お昼前くらいに」
「では昼は一緒に摂ろう。私の執務室にメグ専用の椅子を用意しておいた。これからギルドに行った日は必ず立ち寄るように」
「は、はい…………く、クロフォード様は、甘過ぎます」
「そうか?」

クロフォード様がシャツのボタンをとめながらニヤリと笑った。
俯いて珈琲を飲む。
ゴクンと音を立ててしまって、その反動で足の間から熱いものが垂れそうになって、思わず肛門を締めた。

「っ、」

朝起きたら、体もシーツも枕カバーも綺麗になっているのに。
クロフォード様は、ここだけは洗浄してくれない。する前は、お願いしたら全部洗浄してくれるのに……。

「真っ赤だな。珈琲が熱かったか?」
「っ、……い、いえ」

クロフォード様が近づいてきて、ベッドに片手をついてわたしの顔を覗き込んできた。ギシッと音が鳴って、心臓がばくばくする。このギシッは、昨夜何度も聞いた。それを思い出してしまった。
だって凄くギッシギシさせるんだもん。
もうそろそろスプリング替えないとやばいんじゃない、ってくらい鳴らすんだから……!

「く、クロフォード様は苦いお酒は好きなのに、珈琲は飲みませんね?」
「……そうだな。どちらかというと珈琲や紅茶は貴族が飲むものだろう? 君はどちらも自ら淹れて飲んでいたな。平民にしてはとても珍しいことだが」
「そうなんですか?」
「ああ。……それと、確かに私は酒は好きだが、酔えないと解っていたら飲まない。手は出さない。それでも先日は、勿体なくて大事に取っておいたものについ手を伸ばしてしまったが……今後が楽しみなほど、とてもいい塩梅になっていた」
「……と、とくに好むのは赤ワインと、あとシガレットの木で作った樽で二年以上熟成させたブランデーですよね?」
「ああ。香りがいいからな。ワインも程よく寝かせたものを好む」

徐に延びてきた手が珈琲を掴んで、飲むのかなと見ていると、口付けされた。ぺろりと舌を掠めて、下唇を吸われた

「ん、この珈琲なら悪くない」
「っ、」

そう言って珈琲を返された。

「では行ってくる」
「は、はい。気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ」

玄関まで見送りたいけど、今は腰が立たない。
外套を手に、ばさっと肩にかけたクロフォード様かっこ良。ドアを開けた時に振り返って見せた笑顔に尻がもじもじしてしまう。

あぁ。
異世界転生、万々歳。
今のとこ家主の孫娘による寝取りの心配もない。
ギルドではクロフォード様が言った通り、わたしがクロフォード様の恋人として周知されていた。

外ではすれ違いざまに美女が「こんな地味娘が冗談でしょ!」とか、モデル級の上級冒険者が「いやあ!チビでまな板の短足が好みだなんて、勝てる要素がないじゃない!」とか、通りすがりの男性陣からは「趣味悪ッ!」とか聞こえてくるけど、そのような声は全てわたしの鼓膜を素通りしている。

愛されすぎて、現実が聞こえてこないよ。
なんて都合のいい耳なんだろう。

昨夜はホワイトシチューを煮てチーズパンを焼いたら残さず食べてくれて、「いつかはこれを私だけじゃなく子供も食べるのか。少し妬けてしまうな」と真面目な顔で結婚秒読みみたいな発言までされて、そのあとベッドに引き摺りこまれて更に頭はふわっふわだった。もう針で刺せば一瞬でパン!する風船だよ。浮力しかない。なのに溺れてる。沼だよ。息が出来ない。

でも、勘違いをしてはいけない!
恐らく……そこそこな回復薬が作れる薬師だから気にかけてもらえてるだけで。その一番の理由が独立機関であるギルドに唯一関与して金を引っ張ってる王侯貴族、クロムヒル一族が正体不明の薬師であるわたしを狙ってるから。

わたしは何をしたらいいんだろう。
このまま回復薬を作って売り続けて、クロムヒル一族を焦らせ、税金を引き下げさせたらいいのだろうか?
レシピを公開することも出来ない似非薬師がギルドに貢献するとしたら、それくらいしかない。だってクロムヒル一族は世に優秀な薬師の卵が現れただけでもすぐに手を回して消したりする、血も涙もない一族だから。誰かの足を引っ張るより、更にいい物を作ってマウントとればいいのに。そんなことばっかしてるからラスボスに誘拐されるんだよ。

とにかく、わたしの存在はギルドがクロムヒル一族と交渉することになった場合でも、いい材料になるだろう。こちらは優秀な薬師を抱えてるんだから、そちらが税金を下げないとレシピ公開しちゃうぞ? みたいなカマをかけるとかさ。
ここにいる薬師達の取り分が増えたら、商業ギルドはもっと栄えるだろう。研究機関だって作られるかもしれない。
今は値上げされた税金のせいで冒険者にとってはお高い回復薬も、薬師にお金が入るようになれば、値下げも可能になる筈だ。冒険者の生存率も上がって、それを統括するクロフォード様の評判も爆上がり必須!

「…………でもわたし、用が済んだら要らなくなるのかな?」

自分で言っといて絶望感半端ない。
でもそれまでは縋りつくけどね。間違っても自分から身を引くなんて善行はしない。モブは愚考なのだ。だからこそモブなのだ。頭がよければ、モブには生まれていない。
だから……愚かでいいんだ。



身支度を済ませてから珈琲を淹れて、それを洗った使い捨ての紙コップに注いでギルドに持参した。

「ん~、いい香り」

この前クロフォード様がわたしにとわざわざ買ってきてくれた豆。砂糖は無しで、ミルクだけはたっぷりと入れた。どこの銘柄だろう。とても美味しい。

それにしても冒険者ギルドと商業ギルドは人が多いなぁ。ぶつからないように歩こう。

「やあ、メグ……」

呼ばれて振り返るとソーヤさんがいた。
目が合った瞬間、何故か一歩退かれた。

「どうしたんですか?」
「……その、最近忙しそうだなって思って。朝も来てないみたいだし」
「あ、朝は色々ありまして。今から行こうと思ってたんです」
「そう……いつもの回復薬?」
「はい。ふた瓶あります」
「よかった。ちょうど欲しいって注文が来てたんだ」

ソーヤさんと話しながら薬師ギルドへ足を運ぶ。
でもなんだか今日は口数が少ない。物理的にも距離を置かれている気がする。
どうしたんだろう? 眠いのかな?


ソーヤさんから預り証を受け取り、そのあとクロフォード様の元に向かった。

今日は晩ごはん何作ろうかな。
クロフォード様が食べるお昼と被らないようにしなきゃ。

冒険者ギルドの最上階に、クロフォード様の執務室がある。
ここには先日……連れ込まれた。
足を踏み入れた今日は二度目。
いつの間にか顔パスになっていたけど、廊下に守衛が何人もいて、落ち着かない。
ドアの前にいた人が内開きの扉を開けてくれて、中へ入った。

「メグ。よく来た」
「ご、ごきげんよう。クロフォード様、っ」

書類を捌くクロフォード様かっこ良!

クロフォード様はぴたりと手を止め、羽ペンをスタンドに戻し、顔を上げた。そして腰をあげたかと思ったら、既に目の前にいた。
お、おおふ。

「こっちにおいで」

手をひかれて机に回り込む。
先ほど座っていた椅子に腰をおろしたクロフォード様はその上にわたしを座らせた。家でもよくこうされる。

「座り心地はどうだ?」
「え?」
「メグ専用の椅子を用意しておくと、今朝伝えただろう? 座り心地はどうだ?」
「……う、うん?」
「うん?」
「うん……悪く、な……恥ずかしいです」

クロフォード様がプッと笑った。

「また揶揄って! でも好き! 守りたい、そのほくそ笑んだ微笑の時だけちょっと見える犬歯も、とりあえず今夜のおかずは好評だったハンバーグですぅ!」
「ほう。わざわざ塊肉を細かく刻んで捏ねるやつか。驚くほど柔らかくてまた食べたいと思っていたところだ」
「ぅぅ……好きぃ」

もう目玉焼きベーコンに中からチーズが出てくるハンバーグもつけちゃう。
付け合わせはわ・た・し、とは間違っても言えないので服の裾を引っ張る。

「お、お昼を食べに行きましょう」
「何が食べたい?」
「……『泥棒猫』の海鮮包み焼きが食べたいです」
「また奇抜だな。わかった」

そんな看板の店は聞いたことがないのだけれど、ゲームの中にはある。表向きは飲食店で、実は裏稼業の店だ。前にもしかしてと思ってクロフォード様に頼んでみたら、そういった店は断られるかと思いきや普通に連れてってくれた。

先週は『白粉の城』というかなりレベルの高いスイーツ店で絶品パンケーキを食べた。裏では主に麻薬やモルヒネを製造している店だ。その店でバニラビーンズや粉糖も手に入って、クッキー作りが楽しくなった。

三日前は『つるぎ』というレーズンバターとパンが絶品のバーに行った。ここは裏では主に武器や火薬を売っている。ラム酒や固形蜂蜜、他にも香辛料を買うことが出来て、料理の幅が広がった。

そして『泥棒猫』は、海賊が卸した密輸品や強奪品を取り扱っている。飲食店だが、使われている食材も全て異国の密漁品だ。

「君は複雑な味がする店を好むな」
「そ、そうでしょうか?」

今から行く店にはカレー粉とチョコレートが売っている。だから絶対買うんだ! そしてクロフォード様の胃袋を掴んで、メロメロにしてやるんだから! それが叶えば……できるだけ長く一緒にいられる、はず。



2時間後。
はぁ。海鮮包み焼き美味しかった。
干した昆布も買えたし、寒天やフカヒレや干しアワビもあったのには驚いた。なによりカレー粉とチョコレートが手に入ったのが一番大きい。これだけは海を越えた異国にしかないから、大事に使おう。

「随分とご機嫌だな」
「はいっ。美味しいお店に連れてってくれたクロフォード様には感謝しかありませんっ」
「帰ったらさっそく作るのか?」
「はいっ。どれも仕込みがいる食材なので」
「……通常、薬師は仕事以外で手を使う作業をとても嫌がる」
「え?」
「とくに利き手は商売道具だからな。感覚が鈍るからとペンを握るのを嫌がる薬師もいる程だ」
「そうなんですか? でも食事やお菓子を作っていると、手が器用になりますよ。とくに製菓は調薬と少し似てます。1グラムの差でパンやケーキが上手く膨らまなかったりするので。あと発酵時間も夏と冬では差が大きいですね。回復薬も分量を色々試してる内にどうやったら効果が大きくなるのか解ってきて、っ」

うんうんと頷きながらクロフォード様が優しい目をしている。
なんでわたし、こんなにぺちゃくちゃと一人で喋ってるんだろう。
相手はあのクロフォード様なのに。
さり気なく肩に手を添えられて、歩行までフォローされちゃって。普通ならこんなに喋りながら歩いてたらすぐに冒険者とぶつかっちゃうのに。

「失礼。ギルドマスター。我が主が少しお時間頂けないかと仰せです」

その声にびくりと肩が震えた。
いま一瞬、微かな魔力の圧が向けられた。
見るといかにも貴族のお仕着せな男性がいた。

「しつこいぞ。二時間も探っていただろう、今日はもう切り上げたらどうだ?」
「これでも楽しい時間を邪魔する気はなかったのですよ。ですがそろそろ頃合いかと」

会話が止まって、その隙を見て話し掛けてきたの? やっぱり冒険者とは違うなぁ。貴族って、みんなこんな感じなのかな。肩が凝りそう。

「レディ。これからご帰宅なのでしょうか? もしよろしければ、帰りはギルドマスターには劣りますが特級騎士を従えた馬車でお送りしますよ。間違っても、ええ、なんせギルドマスターの女人ですから、手厚く対応させて頂きますとも」

凄い。
とても丁寧な物腰なのに、わたしのことが眼中にないのがひしひしと伝わってくる。ええとも、邪魔者は消えますとも。それにクロフォード様は微妙に断りずらそうにしてる。仕事の依頼……ぽい? ならわたしが去らないと。

「……ありがとう存じます。ですがこのあとクロフォード様とお別れしてから寄るところがございまして、ご好意のみ受け取らせて頂きます。どうか、遜色無きよう」
「さようで……ではギルドマスター、」
「はぁ……夜には戻る」
「は、はい」

ばさっとクロフォード様が外套をわたしに羽織らせた。

こ、これは……さっきも食事中に少し席を離れる時、クロフォード様がわたしに被せてきた。

その時は、皺になったら大変だから椅子に掛けなおそうとしたら『泥棒猫』のおネエ店主に止められた。

『それ、俺のだから触るなって意味よ』
『え?』
『襟章でギルドマスターの外套ってバレバレだからね。つまり貴女に触れたら一貫の終わりってことっ。大事にされてるわねぇ』
『…………』
『あらあら真っ赤になっちゃって可愛い~』

お、おおっふ。
食事中のクロフォード様も心臓が止まりそうな程かっこよくて、しばし訪れた一人の時間にホッとしていたら、またドギマギさせられた。
外套の香りもね、やばいのよ。
下手に抱き締められるよりも体臭が濃くて近くてクラクラした。


帰宅して、思ったよりも早くご飯を作り終えて、そのあと窓の外に霧が見えたけど……珍しく気分じゃなかった。

だってクロフォード様の外套が、わたしを離してくれないの!
脇のとこめっちゃいい匂いする。やばい。襟元も香ばしい。激しく抱かれて首に縋る時とおんなじ匂いがする。これやばい。
あ、まずい。
そう思った時にはわたしは床に倒れていた。
ガチャと音がして、白い冷気が床を伝って漂ってくる。


「運命の人……迎えにきたよ」


なにこれ……霧?
あぁ。嗅ぎすぎて、意識、が……。

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