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46 好条件
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ついに、社交の場へとデビューしたルリ、いや、アメイズ子爵家ご令嬢、リフィーナ。
毎日、昼も夜も、お茶会だの舞踏会だのへと、連れられていた。
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
(あぁもう、今日だけで何回自己紹介したかしら……。
しかも、何で全員名前が長いのよ。絶対覚えきれないわ……)
リフィーナ、いやルリは、人の顔を覚える事はそこまで苦手としていない。
しかし、カタカナは苦手だった……。
それでも……。
ルリは上機嫌だった。
理由は簡単だ。
(異世界だから? それとも貴族ってのはこういう人種なの……?
何で、全員イケメンなの……?)
寄ってくる男子が、漏らす事なく若くて美形だった。
目の前に広がる景色は、アイドルが集まるイベントかのような光景だ。
貴族の世界。それはサラブレッドと同種である。
何代にもわたり、優秀な血統を守るために、見た目のいい貴族同士が結婚し、子孫を残してきた。
結果、日本であれば確実にどこかの事務所からスカウトされる様な男子が、……美男のみが、社交場に足を踏み入れ、女性に声を掛ける事になる。
「私と、踊ってくれませんか?」
映画やドラマでしか見た事のないセリフを真顔で言われて、ドキッとしない訳がない。
顔を赤くしながらドギマギしているルリに、セイラが話しかけてくる。
「リフィーナ……面白過ぎ……。なに可愛い顔してるのよ?」
「え、だって……。恥かしいじゃない……。
セイラは余裕ありそうで、すごいわね。同い年とは思えないわ……」
可憐な身のこなしで社交場をいなす様子に、リフィーナは感動していた。
実年齢がむしろ年上な事は、もはや棚に置かれている。
「こんなの慣れよ。
貴方は好条件だから、変なのに捕まらないように注意してね」
「好条件?」
「相変わらず頭がお花畑ね。気付いた方が良いわよ。
所領持ちの子爵家の一人娘。おまけに武術も魔術も堪能で器量よし。
そんな娘が、誰にも唾を付けられずに今まで残ってたなんて、社交会でも稀にみる人材でしょ?」
「あああ、確かに……」
(あのイケメンたちは、身分目当てで寄って来てるだけか……。
毎日が合コンみたいで楽しかったけど……。
まぁそうよね。一瞬でモテ期到来、令嬢になって主人公属性かと思っちゃったわよ……)
現実を突きつけられ、乙女ゲームの主人公にはなれそうにない事に気付くと、社交会という場があまりにも詰まらない場に思えてくる。
一気に、熱は冷めてしまった……。
「今年の社交シーズンで顔は売れただろうから、十分でしょう。
来年以降は断っても平気でしょうから、今のうちに味方を増やしておくことね。私もそうするつもりだし」
「社交会って、断れるものなの?」
「まぁ、ミリアがね、上手くやってくれるわ」
セイラは多くは語らなかったが、国家権力、何とでもなるのだろうと、ルリは納得することにした。
最初は浮かれていたルリも、途中からは作業のように社交をこなす様になった。
何とか乗り越え、ついに社交シーズン最終日。
王宮で開催される舞踏会は、とにかく盛大だった。
社交シーズンの最後を締める催しには、王国内のほぼすべての貴族家が揃う。
「ルリさん、いえ、リフィーナさん。
あなたがアメイズ子爵家の一人娘だなんて、驚きましたわ」
話しかけてきたのは、第2学園で絡んできたドリル縦巻きの侯爵家ご令嬢、グレイシーだ。
「いろいろと事情がありまして、隠していて申し訳ございません」
「よろしいのですわ。盗賊とひと悶着あったとか。大変でしたわね。
今日はマリーナル家から両親も来ておりますの。ご紹介してもよろしいかしら?」
学園での数か月の生活で、グレイシーともそれなりには仲良くなっていた。
もちろん、「ミリアーヌ様の隣はわたくしですわ」などで揉めるのは日常茶飯事ではあるが。
マリーナル侯爵領は王都の南。海がある領だ。
この世界の海を見たことが無いルリは、海に行きたいとずっと思っていた。
侯爵家と仲良くしていれば、海に行けるかもしれない。
そう思ってワクワクしていた。
舞踏会も終盤。
ひと通りの貴族家と挨拶を交わしたルリは、王族の近くで会話を楽しんでいた。
あくまで社交辞令としてであるが……。
「ミリアーヌ様、本日はお招きありがとうございます」
「リフィーナさん、今宵は楽しんでくださいね」
ミリアと棒読みに会話を交わす。
近くで控えているセイラも、感情の無い世間話をしている。
定型句のような挨拶を終えた3人。
コッソリ視線を合わせて、頷いた。
「「「じゃ、学園で会おうね」」」
こうして、リフィーナの社交デビューは、華々しく幕を閉じる。
ただし、途中で幻滅してしまったリフィーナの心を射止めたものは、もちろん居ない。
それからしばらくして。
王国では、アメイズ子爵家ジョルジュ卿の急死が発表される。
悪行の事は伏せられ、子爵家での領主殺害事件も、盗賊の犯行として隠蔽された。
その発表には、父の死亡に伴い、子爵家令嬢リフィーナの後見人に、国王レドワルドがつく事が付け加えられていた。
実質的に、国王がリフィーナの保護者として名乗り出た状態である。
正式な場でリフィーナを誘おうとする場合、王宮にも話を通す必要が出てしまう。
リフィーナとの婚約を画策していた貴族たちは、突然ハードルが高くなったことに意気消沈するのであった。
一方のリフィーナは、国王の思惑などつゆ知らず、……あたふたしていた。
---
社交会シーズンが終わり、落ち着きを取り戻したある日。
学園の授業開始まで、まだ1週間ある。
ここはゆっくりして、と言うべき時間なのであるが、ルリは精力的に動いていた。
(あんな、毎日毎日……舞踏会行って、どれだけお金かかってるのかしら。
新しいドレスも何着買ったかわからないし、アクセサリーもそう。
それに、いつも持たされてたお土産だって、結構な金額のはずよね)
実際は、メルヴィン商会の完全バックアップによって、ほとんど実費はかかっていない。
商会長のメルヴィンにとって、ルリはまさに『金のなる木』。
本物の子爵家令嬢とわかり、その価値は爆上がりだ。逃す訳がない。
そんな思惑に気付きもせず、ルリは、お金を稼がねばと必死になっていた。
(お小遣いって範囲は絶対超えてるわよね。
しかも、元手は領の税収って事でしょ。ちゃんと返さなきゃ……)
日本人的思考であった……。
ルリには、実は勝算があった。
この世界で暮らしてて、不便を感じたもの。
その解決策を、解決する商品を知っていて、身近な素材で作れるもの。
(こういうのを知識チートって呼ぶのよね。
でも、歴史を変えちゃうようなものでなければ、便利さに自重はいらないわ!)
歴史を変えるような発明は、目立ちたくないルリとしては控えたい。
手頃な家庭用品程度ならいいだろうと、気楽に考えていた。
時すでに遅し。
既に目立ちまくっているのだが、そんな事は頭から消えている……。
--と言う訳で。
今は、メルヴィン商会で打ち合わせ中である。
試作品を作り、ルリは集まった担当者に新商品のプレゼンを行っている。
「まずは、歯ブラシと言う物です。
棒の先に硬めの魔物の毛を付けます。
これで歯を磨くと、細かい隙間まで磨けるんです」
「おお」
「次に、タワシです。
ギザギザな魔物の皮を丸く縫っただけなのですが、食器の汚れ落ちが劇的に変わります。
これも、誰でも作れる簡単な商品ですけど、アイデア勝負です!」
「「おお」」
「これは、折りたたみエコバッグ。
普通の鞄なのですが、あら不思議。
折りたたむとこんなに小さくなるのですよ!
買い物の時、便利でしょ!」
「「おお」」
「これは、傘。
雨を避ける道具です。
開け閉めにはもう少し工夫が必要ですが、いちいちマントを羽織るよりも簡単に雨を避けられます」
「「「おおお」」」
「次は、……。
紹介の前に、男性の方は出てってください!」
部屋の中に女性スタッフだけ残ってもらう。
「胸の下着なのですがね。
ここにワイヤーが入って、カップも立体に作ることで、ほら、綺麗に大きく見えるでしょ!」
「「「「おおおお」」」」
試作品と言っても、手元にあった素材で簡単に作っただけのもの。
実際に量産するとしても、そう難しいものではないだろう。
商業ギルドへの登録と、利益の一部を回してもらう事をお願いする。
また、より使いやすい素材があるかもしれないので、それは商会で調整してくれる事になった。
また別の時間。
メルン亭でも、料理人たちがルリと新作を開発中だった。
試作しているのは、カップ麺。
冒険者の野営食として、絶対売れると考えたのだ。
鳥の味がする角ウサギのスープで、出来上がった麺を茹でる。
茹でた麺を一気に揚げる。それだけだ。
お湯で戻して食べてみると、食べられない程ではなかった。
もう一つ、チャレンジしているのが漬物。
(漬けた事は無いけど、保存食と言えばこれよね……)
売っている野菜を適当に塩に漬け、漬物づくりの実験をしているのだ。
フリーズドライ、と思って、氷の魔法と乾燥の魔法で固まらせたら、フリーズドライの保存食は出来た。しかし、これでは魔術師しか作れない。
冒険者や商人が、野営中でもまともな食事がとれるように。
新しい保存食を研究する。
料理人たちの眠れない日々が始まった。
毎日、昼も夜も、お茶会だの舞踏会だのへと、連れられていた。
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
「アメイズ子爵家の長女、リフィーナと申します……」
(あぁもう、今日だけで何回自己紹介したかしら……。
しかも、何で全員名前が長いのよ。絶対覚えきれないわ……)
リフィーナ、いやルリは、人の顔を覚える事はそこまで苦手としていない。
しかし、カタカナは苦手だった……。
それでも……。
ルリは上機嫌だった。
理由は簡単だ。
(異世界だから? それとも貴族ってのはこういう人種なの……?
何で、全員イケメンなの……?)
寄ってくる男子が、漏らす事なく若くて美形だった。
目の前に広がる景色は、アイドルが集まるイベントかのような光景だ。
貴族の世界。それはサラブレッドと同種である。
何代にもわたり、優秀な血統を守るために、見た目のいい貴族同士が結婚し、子孫を残してきた。
結果、日本であれば確実にどこかの事務所からスカウトされる様な男子が、……美男のみが、社交場に足を踏み入れ、女性に声を掛ける事になる。
「私と、踊ってくれませんか?」
映画やドラマでしか見た事のないセリフを真顔で言われて、ドキッとしない訳がない。
顔を赤くしながらドギマギしているルリに、セイラが話しかけてくる。
「リフィーナ……面白過ぎ……。なに可愛い顔してるのよ?」
「え、だって……。恥かしいじゃない……。
セイラは余裕ありそうで、すごいわね。同い年とは思えないわ……」
可憐な身のこなしで社交場をいなす様子に、リフィーナは感動していた。
実年齢がむしろ年上な事は、もはや棚に置かれている。
「こんなの慣れよ。
貴方は好条件だから、変なのに捕まらないように注意してね」
「好条件?」
「相変わらず頭がお花畑ね。気付いた方が良いわよ。
所領持ちの子爵家の一人娘。おまけに武術も魔術も堪能で器量よし。
そんな娘が、誰にも唾を付けられずに今まで残ってたなんて、社交会でも稀にみる人材でしょ?」
「あああ、確かに……」
(あのイケメンたちは、身分目当てで寄って来てるだけか……。
毎日が合コンみたいで楽しかったけど……。
まぁそうよね。一瞬でモテ期到来、令嬢になって主人公属性かと思っちゃったわよ……)
現実を突きつけられ、乙女ゲームの主人公にはなれそうにない事に気付くと、社交会という場があまりにも詰まらない場に思えてくる。
一気に、熱は冷めてしまった……。
「今年の社交シーズンで顔は売れただろうから、十分でしょう。
来年以降は断っても平気でしょうから、今のうちに味方を増やしておくことね。私もそうするつもりだし」
「社交会って、断れるものなの?」
「まぁ、ミリアがね、上手くやってくれるわ」
セイラは多くは語らなかったが、国家権力、何とでもなるのだろうと、ルリは納得することにした。
最初は浮かれていたルリも、途中からは作業のように社交をこなす様になった。
何とか乗り越え、ついに社交シーズン最終日。
王宮で開催される舞踏会は、とにかく盛大だった。
社交シーズンの最後を締める催しには、王国内のほぼすべての貴族家が揃う。
「ルリさん、いえ、リフィーナさん。
あなたがアメイズ子爵家の一人娘だなんて、驚きましたわ」
話しかけてきたのは、第2学園で絡んできたドリル縦巻きの侯爵家ご令嬢、グレイシーだ。
「いろいろと事情がありまして、隠していて申し訳ございません」
「よろしいのですわ。盗賊とひと悶着あったとか。大変でしたわね。
今日はマリーナル家から両親も来ておりますの。ご紹介してもよろしいかしら?」
学園での数か月の生活で、グレイシーともそれなりには仲良くなっていた。
もちろん、「ミリアーヌ様の隣はわたくしですわ」などで揉めるのは日常茶飯事ではあるが。
マリーナル侯爵領は王都の南。海がある領だ。
この世界の海を見たことが無いルリは、海に行きたいとずっと思っていた。
侯爵家と仲良くしていれば、海に行けるかもしれない。
そう思ってワクワクしていた。
舞踏会も終盤。
ひと通りの貴族家と挨拶を交わしたルリは、王族の近くで会話を楽しんでいた。
あくまで社交辞令としてであるが……。
「ミリアーヌ様、本日はお招きありがとうございます」
「リフィーナさん、今宵は楽しんでくださいね」
ミリアと棒読みに会話を交わす。
近くで控えているセイラも、感情の無い世間話をしている。
定型句のような挨拶を終えた3人。
コッソリ視線を合わせて、頷いた。
「「「じゃ、学園で会おうね」」」
こうして、リフィーナの社交デビューは、華々しく幕を閉じる。
ただし、途中で幻滅してしまったリフィーナの心を射止めたものは、もちろん居ない。
それからしばらくして。
王国では、アメイズ子爵家ジョルジュ卿の急死が発表される。
悪行の事は伏せられ、子爵家での領主殺害事件も、盗賊の犯行として隠蔽された。
その発表には、父の死亡に伴い、子爵家令嬢リフィーナの後見人に、国王レドワルドがつく事が付け加えられていた。
実質的に、国王がリフィーナの保護者として名乗り出た状態である。
正式な場でリフィーナを誘おうとする場合、王宮にも話を通す必要が出てしまう。
リフィーナとの婚約を画策していた貴族たちは、突然ハードルが高くなったことに意気消沈するのであった。
一方のリフィーナは、国王の思惑などつゆ知らず、……あたふたしていた。
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社交会シーズンが終わり、落ち着きを取り戻したある日。
学園の授業開始まで、まだ1週間ある。
ここはゆっくりして、と言うべき時間なのであるが、ルリは精力的に動いていた。
(あんな、毎日毎日……舞踏会行って、どれだけお金かかってるのかしら。
新しいドレスも何着買ったかわからないし、アクセサリーもそう。
それに、いつも持たされてたお土産だって、結構な金額のはずよね)
実際は、メルヴィン商会の完全バックアップによって、ほとんど実費はかかっていない。
商会長のメルヴィンにとって、ルリはまさに『金のなる木』。
本物の子爵家令嬢とわかり、その価値は爆上がりだ。逃す訳がない。
そんな思惑に気付きもせず、ルリは、お金を稼がねばと必死になっていた。
(お小遣いって範囲は絶対超えてるわよね。
しかも、元手は領の税収って事でしょ。ちゃんと返さなきゃ……)
日本人的思考であった……。
ルリには、実は勝算があった。
この世界で暮らしてて、不便を感じたもの。
その解決策を、解決する商品を知っていて、身近な素材で作れるもの。
(こういうのを知識チートって呼ぶのよね。
でも、歴史を変えちゃうようなものでなければ、便利さに自重はいらないわ!)
歴史を変えるような発明は、目立ちたくないルリとしては控えたい。
手頃な家庭用品程度ならいいだろうと、気楽に考えていた。
時すでに遅し。
既に目立ちまくっているのだが、そんな事は頭から消えている……。
--と言う訳で。
今は、メルヴィン商会で打ち合わせ中である。
試作品を作り、ルリは集まった担当者に新商品のプレゼンを行っている。
「まずは、歯ブラシと言う物です。
棒の先に硬めの魔物の毛を付けます。
これで歯を磨くと、細かい隙間まで磨けるんです」
「おお」
「次に、タワシです。
ギザギザな魔物の皮を丸く縫っただけなのですが、食器の汚れ落ちが劇的に変わります。
これも、誰でも作れる簡単な商品ですけど、アイデア勝負です!」
「「おお」」
「これは、折りたたみエコバッグ。
普通の鞄なのですが、あら不思議。
折りたたむとこんなに小さくなるのですよ!
買い物の時、便利でしょ!」
「「おお」」
「これは、傘。
雨を避ける道具です。
開け閉めにはもう少し工夫が必要ですが、いちいちマントを羽織るよりも簡単に雨を避けられます」
「「「おおお」」」
「次は、……。
紹介の前に、男性の方は出てってください!」
部屋の中に女性スタッフだけ残ってもらう。
「胸の下着なのですがね。
ここにワイヤーが入って、カップも立体に作ることで、ほら、綺麗に大きく見えるでしょ!」
「「「「おおおお」」」」
試作品と言っても、手元にあった素材で簡単に作っただけのもの。
実際に量産するとしても、そう難しいものではないだろう。
商業ギルドへの登録と、利益の一部を回してもらう事をお願いする。
また、より使いやすい素材があるかもしれないので、それは商会で調整してくれる事になった。
また別の時間。
メルン亭でも、料理人たちがルリと新作を開発中だった。
試作しているのは、カップ麺。
冒険者の野営食として、絶対売れると考えたのだ。
鳥の味がする角ウサギのスープで、出来上がった麺を茹でる。
茹でた麺を一気に揚げる。それだけだ。
お湯で戻して食べてみると、食べられない程ではなかった。
もう一つ、チャレンジしているのが漬物。
(漬けた事は無いけど、保存食と言えばこれよね……)
売っている野菜を適当に塩に漬け、漬物づくりの実験をしているのだ。
フリーズドライ、と思って、氷の魔法と乾燥の魔法で固まらせたら、フリーズドライの保存食は出来た。しかし、これでは魔術師しか作れない。
冒険者や商人が、野営中でもまともな食事がとれるように。
新しい保存食を研究する。
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