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第五十六話 友達
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「え、と……じゃあ、お友達から、で。よろしくお願いします」
「ありがとう、クラリス!」
ガバッとまた抱きしめられる。
一応先程に比べて優しい力で抱きしめられたため、痛みはさほどなかったものの、それでもやっぱりちょっと苦しい。
というか、さっきまでのしょんぼりしてたのはどこに行った? というくらいの変わり身の速さだ。
「え、と。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ! あ、でも友達になったんだから敬語はナシだよ? もっとフランクに話してね」
「えぇ!? えっと、わかりまし……じゃなかった。わかったわ」
(……もしかして私、謀られたのかしら?)
そんなことを思いながらも、例えそうだとしても拒絶できなかった自分がいけないのだし、そもそも勝手に苦手意識があるだけで交流すれば彼のいいところとかが見えてくるかもしれないものね、と気持ちを切り替えることにした。
「そういえば、アイザックは大丈夫だったのかしら。エディオンは知ってる?」
「ん、あー……大丈夫だよ。特に彼自身はオーガに何かされたわけじゃないし」
「うん? そう。無事ならいいんだけど……」
怪我をしてないなら良かったとホッとしつつも、随分と引っかかる言い方だなぁと感じる。
でも、エディオンは「これ以上聞かないでくれ」オーラを出していて、それ以上は聞くに聞けなかった。
そのため、別の気になっていたことを口にすることにした。
「でも、そもそも何で校舎にオーガなんかいたのかしら……」
率直な疑問だった。
入学してまだ日が浅いとはいえ、学生がいる校舎にあのような怪物がいるというのはどうなのだろうか。
今回私は死ななかったとはいえ、下手したら食べられていたかもしれないと思うと、生徒を危険に晒すのはいかがなものかと今更ながらちょっと腹が立ってくる。
「あぁ、そのことだけど、あのオーガは生態などの調査で飼われていた個体のようだね。元々あんなに暴走するようには躾けてないらしいから、なぜあんなことになったのかはわからないらしい」
「そうなのね」
「そもそもあそこの地下は一般生徒が入らないように隠匿術で見えないようにしていて、結界までかけてたらしい。だけど、あのときはなぜか破られていたんだって。どういった理由かは不明だけど、それで先生達も調査やら何やらでバタバタしてるみたいだ」
なるほど。それでシーラさんは私が起きて早々に色々質問してきたのか、と思い至る。
(そういえば、あの少女は一体誰だったんだろう。そもそもなぜ私をあそこに? オーガも意図的に操ってたってこと?)
謎が多い今回の事件だが、私が考えても何もわからなかった。というか、考えようとしてもモヤがかかって何も考えられなくなってくるのだ。
でも先生達が動いているというし、きっと先生達が解決してくれるであろう。
とにかく生きててよかった、と話を聞いて改めて思った。
「エディオン、今回は助けてくれて本当にありがとう。エディオンは命の恩人だわ」
「そんな……っ! 僕は当然のことをしたまでだよ。本当にクラリスを守れてよかった。今後もずっと一緒にいてキミを守るからね!」
「ず、ずっとは一緒じゃなくてもいいわ。ほら、寮も違うし」
「それなら僕が転寮を……っ!」
「さ、さすがにそこまでしてもらう理由はないから! 私も魔法をしっかり勉強して、自分の身は自分で守れるようにするし」
「そうかい? でも、クラリスを守りたいというのは本当だから、遠慮なく僕を頼ってね」
「う、うん。ありがとう」
やはりまだこのグイグイくる感じちょっと苦手だなぁ、と思いながら私はエディオンをどうにかあしらうのだった。
「ありがとう、クラリス!」
ガバッとまた抱きしめられる。
一応先程に比べて優しい力で抱きしめられたため、痛みはさほどなかったものの、それでもやっぱりちょっと苦しい。
というか、さっきまでのしょんぼりしてたのはどこに行った? というくらいの変わり身の速さだ。
「え、と。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ! あ、でも友達になったんだから敬語はナシだよ? もっとフランクに話してね」
「えぇ!? えっと、わかりまし……じゃなかった。わかったわ」
(……もしかして私、謀られたのかしら?)
そんなことを思いながらも、例えそうだとしても拒絶できなかった自分がいけないのだし、そもそも勝手に苦手意識があるだけで交流すれば彼のいいところとかが見えてくるかもしれないものね、と気持ちを切り替えることにした。
「そういえば、アイザックは大丈夫だったのかしら。エディオンは知ってる?」
「ん、あー……大丈夫だよ。特に彼自身はオーガに何かされたわけじゃないし」
「うん? そう。無事ならいいんだけど……」
怪我をしてないなら良かったとホッとしつつも、随分と引っかかる言い方だなぁと感じる。
でも、エディオンは「これ以上聞かないでくれ」オーラを出していて、それ以上は聞くに聞けなかった。
そのため、別の気になっていたことを口にすることにした。
「でも、そもそも何で校舎にオーガなんかいたのかしら……」
率直な疑問だった。
入学してまだ日が浅いとはいえ、学生がいる校舎にあのような怪物がいるというのはどうなのだろうか。
今回私は死ななかったとはいえ、下手したら食べられていたかもしれないと思うと、生徒を危険に晒すのはいかがなものかと今更ながらちょっと腹が立ってくる。
「あぁ、そのことだけど、あのオーガは生態などの調査で飼われていた個体のようだね。元々あんなに暴走するようには躾けてないらしいから、なぜあんなことになったのかはわからないらしい」
「そうなのね」
「そもそもあそこの地下は一般生徒が入らないように隠匿術で見えないようにしていて、結界までかけてたらしい。だけど、あのときはなぜか破られていたんだって。どういった理由かは不明だけど、それで先生達も調査やら何やらでバタバタしてるみたいだ」
なるほど。それでシーラさんは私が起きて早々に色々質問してきたのか、と思い至る。
(そういえば、あの少女は一体誰だったんだろう。そもそもなぜ私をあそこに? オーガも意図的に操ってたってこと?)
謎が多い今回の事件だが、私が考えても何もわからなかった。というか、考えようとしてもモヤがかかって何も考えられなくなってくるのだ。
でも先生達が動いているというし、きっと先生達が解決してくれるであろう。
とにかく生きててよかった、と話を聞いて改めて思った。
「エディオン、今回は助けてくれて本当にありがとう。エディオンは命の恩人だわ」
「そんな……っ! 僕は当然のことをしたまでだよ。本当にクラリスを守れてよかった。今後もずっと一緒にいてキミを守るからね!」
「ず、ずっとは一緒じゃなくてもいいわ。ほら、寮も違うし」
「それなら僕が転寮を……っ!」
「さ、さすがにそこまでしてもらう理由はないから! 私も魔法をしっかり勉強して、自分の身は自分で守れるようにするし」
「そうかい? でも、クラリスを守りたいというのは本当だから、遠慮なく僕を頼ってね」
「う、うん。ありがとう」
やはりまだこのグイグイくる感じちょっと苦手だなぁ、と思いながら私はエディオンをどうにかあしらうのだった。
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