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第三十九話 女子会

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 消灯時間になり、アイザックと別れると自室へと戻る。

 すると早速、私に聞きたいことがあるとずっとウズウズとしていたらしいハーパーとオリビアの二人にベッドの端に追いやられた。
 なぜかその後ろにいるマリアンヌも、「私も混ぜてちょうだいな」と満面の笑みを浮かべている。

「ねぇねぇ、クラリスちゃん! 一体どういうことよー!」
「そうよそうよ。エディオンさまといい感じになったと思ってたら、アイザック・ノースと仲良くしてるだなんて!」
「しかも、さっき見た感じだとすごくいい感じだったじゃない~! いつ急接近したの!?」

 ハーパーとオリビアはきゃいきゃいといつものノリだが、マリアンヌはいつもよりも食い気味で聞いてくる。
 その瞳はかなり真剣で、私は思わず後ずさった。

「えっと……、エディオンから助けてもらったりマリアンヌのことを相談したりしてたら、結構気が合って……」
「そうだったのね! あー、クラリスとクラスが一緒じゃなかったのが悔やまれる! 二人が仲良くなる過程が見たかった……!!」

(たまにマリアンヌが怖いことを言っているような気がするのだが、気のせいだろうか)

 私も大概マリアンヌのことは好きだが、それ以上にマリアンヌが私のことを好いてくれているような気もする。
 ありがたいことではあるのだが、ちょっとだけ怖い。

「べ、別に大したことないと思うわ。ただ勉強を教えてるだけだし」
「えー!! アイザック・ノースに勉強を教えてるの、クラリスちゃん!」
「魔法統括大臣の子息に魔法教えるって結構凄いことよね……可愛くて秀才で魔法力も高いってクラリスちゃん凄すぎない!?」
「いや、そんなことはないと思うけど……」

 だが、言われてみたら確かにそうだ。
 すっかり忘れていたが、アイザックは魔法能力が最も高いと言われている人の息子であったことを思い出す。

(そのわりには勉強も魔法もからっきしだと言っていたし、実際その通りだったけど、一体どういうことだろうか?)

 勉強も魔法も苦手そうだったけど、教えたら教えたぶんだけ覚えていたし、魔法も別に程々には使えていたように思う。
 多少魔法を使っているときに違和感があったが、それも体調の問題か単なる気のせいだろう。

 そもそもNMAは優れた魔法使いが入学資格を得られるのだし、NMAはコネ入学等がまるっきりないというのだから、アイザックにだってここに入学できるほどの優れたところが色々とあるはずだ。

 とはいえ、今までの覚え方が悪かったのか、それとも勉強をまるっきりしてこなかったのか全体的にからっきしであったが。

 何となくエディオンも普段とは違ってトゲのある言い方をしてたし、アイザック自身もファミリーネームも嫌っていたし、何かしらアイザックにも悩みがあるのかもしれない。

「クラリス?」
「え? あ、ごめん。ちょっと考えごとしてた」
「もう~。それで、アイザック・ノースもだけど、エディオンさまとはどうなったの?」
「ずっとクラリスのこと追いかけてたわよね、見てたわよ」
「結構、他のクラスでも噂になってるわよね」
「そ、そんなに……?」

 まさか他のクラスにまで噂が広がっているなんて、と青ざめる。
 それと同時に、そりゃそんな勘違いをみんなからされるほどに接触していたら婚約者が怒るのも無理はないと思った。
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