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第二話 生まれました

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「……ふふ、すやすや眠ってるわね」
「あぁ、気持ちよさそうによく寝ている。それにしても、我が子ながら惚れ惚れするほどの美しさだ」
「えぇ、私達の子とは思えないほど綺麗なお顔。まるで生ける天使のようね」
「お互いのいいとこ取りというやつだな。ほら、この鼻の高さや綺麗なバターブロンドの髪はメルルそっくりだ」
「そんなことを言ったら、このふっくらとした唇はオスカーそっくりよ。睫毛の長さも貴方に似てとっても長いし、肌の色もまるで人形のように美しいわ」

 (誰だろう……? 誰かの話し声が聞こえる)

 頭上から聞こえてくる声に反応して、私がぱちりと目を開けるとそこは知らない場所だった。
 先程まであった光景とは違い、とても穏やかで暑さも痛みも何もなく、嘲笑される声もない。

 (あれ、私……処刑されて、火あぶりの刑で死んだはずじゃ……!?)

 混乱しつつぼんやりとする視界の中、身動きを取ろうにも身体は重く、何かを喋ろうと口を開くも出てきた言葉は意味をなさない音。
 だが、その声で気づいたらしい二人が私の顔を覗き込むように大きな顔を近づけた。

「あら、クラリスが起きたわ」
「おや、本当だ。あぁ、やはり大きくてつぶらな瞳はメルルそっくりだ」
「瞳の色はオスカーよ? 綺麗に澄んだ青空のような瞳」

 何やら二人が話しているのが聞こえる。
 私の顔をじーっと見つめて、ニコニコと微笑む彼らを私も見つめ返した。

「まぁ、こっちをじっと見ているわ」
「本当だ。あぁ、なんと愛らしい! クラリス~、僕がキミの父さんだよ~」
「私が母さんよ~」

 そして彼らはあやすように手を振ったあと、私の身体を持ち上げ、私をギュッと抱きしめた。

 (温かい)

 あの身を焦がした炎なんかとは比べものにならないほど心地よく、私は思いっきり声を上げて泣いたのだった。
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