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6章【外交編・ブライエ国】
23 進軍開始
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「[では、第一軍進行する!!]」
早朝。号令と共にシグバール国王とデュオン率いる第一軍から進軍を始める。
「[ご武運を!]」
「[あぁ、そちらもな!]」
まるで齢60近くとは思えないほどの貫禄と出で立ちで騎馬に乗り出陣するシグバール国王。私達も次世代を担う者としてしっかりせねばと気合いが入る。
「[ステラ! 行くぞ!]」
「[えぇ、今行く!!]」
シオンに呼ばれて私も用意された騎馬に乗る。一応私用の甲冑なども用意されたが、慣れないものを身につけるよりも身軽なほうが動きやすいため、私は軽装のままだ。
「〈ステラ!!〉」
不意に遠くで小さな声に呼ばれているような気がしてキョロキョロと見回すと、そこにいたのはメリッサだった。兵が周りにいてなかなか上手く進めなさそうにしているが、どうにか近くまでやってくる。
「〈こんなところまでどうしたの!?〉」
「〈ご挨拶と……ずっと渡すか悩んでたんだけど、これ〉」
そう言って渡されたのはクシャクシャでボロボロになった紙だった。
「〈これは?〉」
「〈じーちゃんからの手紙。ローグ国王への〉」
「〈え?〉」
ローグ国王とはつまり、師匠の息子でありメリッサの実父だ。メリッサにとって仇であり、肉親であり、複雑な感情を抱いている人物であるだろう。
「〈ずっと前から渡されてたの。何かあったらこれをあいつに渡せって。でも、あたし……渡したくなくて。これがじーちゃんからもらった最後のものだから〉」
「〈メリッサ……〉」
師匠亡き今、形見はほとんどないと言っても過言ではないだろう。だからこそ、メリッサがこの手紙を手放したくなかった気持ちは理解できた。
「〈でも、じーちゃんはきっとこれをあの人に渡してもらいたいと思うから、だからステラお願い〉」
「〈いいの?〉」
「〈うん。きっと、じーちゃんもそれを望んでるし……〉」
「〈そう。偉いわね、メリッサ〉」
馬から降りて、メリッサの頭を撫でる。まだ小さい頭。自分の背丈よりも遥かに小さいそれを抱き締めて、「〈ありがとう〉」とそう囁くとメリッサは涙を流して抱きしめ返してくれた。
「〈絶対、帰ってきてね〉」
「〈もちろん。必ず帰ってくると約束するわ!それとヒューベルトさんをお願いね!〉」
「〈うん、わかった!約束!!〉」
メリッサに誓いの祈りを捧げたあと、再び騎乗する。
「[ステラー、もういいかー?言っておくけど、お前待ちだぞー]」
シオンに指摘されて「[ごめんなさい!もう大丈夫!!]」と答えると「[第二軍、進行開始!!]」と号令がかかった。
ぞろぞろと山のように進軍する第二軍。先陣部隊はシオンが隊長を務め、後方の部隊は私とクエリーシェルが指揮する部隊の2部構成である。
騎馬隊がこうも大勢いるのは、見ているだけでも迫力があった。
「リーシェ。あまり前に出過ぎるなよ」
「わかってますよ。私はあくまで支援に徹します」
「[ステラ!後方は任せたからな!何かあればすぐに言えよー!!]」
「[はいはーい!シオンも先頭はよろしくねー!!]」
まだ何もないがドキドキする。いつ襲われるか、遭遇するかもわからないというのは、やはり慣れないことで緊張してしまう。
「今から緊張してると身体が持たないぞ?耳や目だけはしっかり研ぎ澄まして、あとはなるべく力を抜くんだ」
「頑張ります」
「あぁ、頑張ってくれ」
近くにクエリーシェルがついていてくれる。それだけで頼もしく、以前モットー国にいたときよりも頑張れる気がした。
早朝。号令と共にシグバール国王とデュオン率いる第一軍から進軍を始める。
「[ご武運を!]」
「[あぁ、そちらもな!]」
まるで齢60近くとは思えないほどの貫禄と出で立ちで騎馬に乗り出陣するシグバール国王。私達も次世代を担う者としてしっかりせねばと気合いが入る。
「[ステラ! 行くぞ!]」
「[えぇ、今行く!!]」
シオンに呼ばれて私も用意された騎馬に乗る。一応私用の甲冑なども用意されたが、慣れないものを身につけるよりも身軽なほうが動きやすいため、私は軽装のままだ。
「〈ステラ!!〉」
不意に遠くで小さな声に呼ばれているような気がしてキョロキョロと見回すと、そこにいたのはメリッサだった。兵が周りにいてなかなか上手く進めなさそうにしているが、どうにか近くまでやってくる。
「〈こんなところまでどうしたの!?〉」
「〈ご挨拶と……ずっと渡すか悩んでたんだけど、これ〉」
そう言って渡されたのはクシャクシャでボロボロになった紙だった。
「〈これは?〉」
「〈じーちゃんからの手紙。ローグ国王への〉」
「〈え?〉」
ローグ国王とはつまり、師匠の息子でありメリッサの実父だ。メリッサにとって仇であり、肉親であり、複雑な感情を抱いている人物であるだろう。
「〈ずっと前から渡されてたの。何かあったらこれをあいつに渡せって。でも、あたし……渡したくなくて。これがじーちゃんからもらった最後のものだから〉」
「〈メリッサ……〉」
師匠亡き今、形見はほとんどないと言っても過言ではないだろう。だからこそ、メリッサがこの手紙を手放したくなかった気持ちは理解できた。
「〈でも、じーちゃんはきっとこれをあの人に渡してもらいたいと思うから、だからステラお願い〉」
「〈いいの?〉」
「〈うん。きっと、じーちゃんもそれを望んでるし……〉」
「〈そう。偉いわね、メリッサ〉」
馬から降りて、メリッサの頭を撫でる。まだ小さい頭。自分の背丈よりも遥かに小さいそれを抱き締めて、「〈ありがとう〉」とそう囁くとメリッサは涙を流して抱きしめ返してくれた。
「〈絶対、帰ってきてね〉」
「〈もちろん。必ず帰ってくると約束するわ!それとヒューベルトさんをお願いね!〉」
「〈うん、わかった!約束!!〉」
メリッサに誓いの祈りを捧げたあと、再び騎乗する。
「[ステラー、もういいかー?言っておくけど、お前待ちだぞー]」
シオンに指摘されて「[ごめんなさい!もう大丈夫!!]」と答えると「[第二軍、進行開始!!]」と号令がかかった。
ぞろぞろと山のように進軍する第二軍。先陣部隊はシオンが隊長を務め、後方の部隊は私とクエリーシェルが指揮する部隊の2部構成である。
騎馬隊がこうも大勢いるのは、見ているだけでも迫力があった。
「リーシェ。あまり前に出過ぎるなよ」
「わかってますよ。私はあくまで支援に徹します」
「[ステラ!後方は任せたからな!何かあればすぐに言えよー!!]」
「[はいはーい!シオンも先頭はよろしくねー!!]」
まだ何もないがドキドキする。いつ襲われるか、遭遇するかもわからないというのは、やはり慣れないことで緊張してしまう。
「今から緊張してると身体が持たないぞ?耳や目だけはしっかり研ぎ澄まして、あとはなるべく力を抜くんだ」
「頑張ります」
「あぁ、頑張ってくれ」
近くにクエリーシェルがついていてくれる。それだけで頼もしく、以前モットー国にいたときよりも頑張れる気がした。
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