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6章【外交編・ブライエ国】

19 作戦会議

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「[今朝、未明にセツナは発った。そのうち連絡が来るだろう]」
「[はい]」
「[ヤツから聞いているとは思うが、明日にはここを発つ。それまでにある程度の情報共有をしておこうと思うが、いいな?]」
「[はい、もちろんです]」

地図を机に広げる。端を置物で止めると、シグバール国王がそれぞれ指を差した。

「[現在セツナにはジャンスとアラナイを経由してそれぞれに送り込んだスパイから情報を得たのち、城に向かうように伝えてある。我々はまず、この2つの主要都市を攻めてから城へ向かおうと考えている]」
「[なるほど。確か、その2つはモットー国内の2トップの都市でしたもんね]」
「[あぁ、嬢ちゃんはジャンスには行ったんだったな。どうだった?]」

シグバール国王に聞かれて、自分なりの印象やギルデルに言われたことなどを総合して簡潔に話す。すると、ふむ、と頷いたあと静かになるシグバール国王。

「[なるほど、圧政といった感じのようだな。だが、それだけ壁は厚いということか。外から見たら歪んでいるように見えるものの、それで内部が機能しているというなら、なかなか陥すのは難しいかもしれないな]」
「[えぇ。恐らくですが、いざ攻めるとなると女子供も使っての戦闘になるかと。貧民街の子達はそれを含めて想定されていると思います]」
「[確か、ジャンスには協力者がいるんだったか?]」
「[えぇ、と言っても本当に協力してくれるかどうかは不明ですが、帝国のことに関して私が協力を求めれば応えてくれそうな人物に心当たりがあります]」
「[そうか、であれば申し訳ないが嬢ちゃんにはジャンス侵攻のほうに着いて行ってもらおう。そちらにはシオンが行くからシオンと話しておいてくれ]」
「[わかりました]」

チラッとクエリーシェルのほうを向けば、言葉がわからないなりにもなんとなくわかっているようではあった。私が通訳をするとふむふむ、と頷く。

「[ヴァンデッダ卿には嬢ちゃんのほうに行ってもらおう。デュオンにはワシがつく]」
「[え!?シグバール国王もお出になられるんですか!?]」
「[もちろんだ。これはワシとあやつのけじめでもある]」
「[けじめ……]」

きっとけじめとは師匠とのことだろう。シグバール国王は彼なりに仇としてではなく、王としてもこの戦いに決着をつけねばと思っているのかもしれない。

「[ステラもっと言ってやってくれよ、親父がいなくたって俺だけで十分だって]」
「[何を言ってるのよ、頑張ったら頑張ったぶんだけ勇姿を見てもらえるじゃない]」
「[こら、余計なことを言うんじゃねぇ]」
「[そうだな、デュオンにはしっかりと武勇を見せてもらわねばな]」

げんなりするデュオン。反対にシオンのほうはシグバール国王がいないぶん気が楽なのか、「[兄貴頑張れ~]」とまるで他人事のようだった。

「[言っておくけど、シオン。ジャンス攻略も結構大変だと思うからね]」
「[わかってるわかってる。おれだってそれなりにはやる男だぜ?]」
「[それなりに、ねぇ]」

訝しげな表情で見つめるも、私が見たところでケロっとしているシオン。実際やるときはやる兄弟だということはわかっているので、ここでしょうもないやりとりをしても時間の無駄なので、実戦に期待することにした。

「[というわけで、話は脱線したがそれぞれ明日の未明に出発後それぞれ分かれて攻める。いいな?]」
「[わかりました]」
「[今回の目標はモットー国の陥落だ。特に、現国王ローグ国王の打倒が第一目標である。いいな?]」
「[はい!]」
「[それと国民はなるべく傷つけないこと。帝国の介入もあって戦闘は激化するだろうが、心してかかれ。死ぬことは許さんぞ!]」

士気を高めるように放たれる言葉。その言葉に一気に皆の顔が引き締まる。

「[今日はしっかりと明日に備えて準備をするように、いいな。出遅れるんでないぞ!]」

呼応するように「[はい!]」と皆が声を上げた。

(いよいよ、明日……)

ギュッと胸が苦しくなる。初めての戦争だ。自分が立ち向かう戦争だ。これが私の帝国打倒への第一歩である。
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