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4章【外交編・サハリ国】
91 感謝
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医務室に入って数日後、粗方回復したあとブランシェもゴタゴタが落ち着いたのか内政復帰したようで、ブランシェの私室に招かれた。そして入るやいなや、周りに誰もいない状態で深々と頭を下げられる。
「先日は本当に申し訳なかった。そして改めて礼をさせてくれ。本当にどうもありがとう。感謝してもしきれないくらいだ」
今までにないくらいに丁重に謙るように感謝するブランシェ。まぁ、私もそれなりに治ったとはいえ、一応女である私がこのような仕打ちを受けたことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいのようだった。
「気にするな、って言うのは難しいかもしれないけど、気にしないで。私は私で勝手にやったことだから」
「そうは言っても……こうしてキミが治るまで時間がかかってしまったし、多少……いやだいぶというべきか、まだ傷が残っているではないか」
指摘された顔の傷。思いのほか装飾品のせいで深く抉れてしまったようで、まだ完治とは言えずに傷が残っている状態だ。
顎辺りなので多少目につきやすいところではあるものの、一応傷としてはそこまで大きくないので少し安心はしている。
化膿さえしなければこのまま大人しくしていれば治るらしいが、もしかしたら傷痕は残るかもしれないらしい。
これに関してはなぜか私よりもクエリーシェルやマーラのほうがショックを受けていたが。
「まぁ、これも含めて。今後コルジール国に還元してくれればいいわ。あぁ、あともちろん情報提供もよろしく」
「あぁ、それはもちろんだ。出来る限りの協力をすると誓おう」
情報が確保できたのは心強いことである。コルジール国との縁がある国でサハリほど強い情報網はないだろう。そういう部分では私の頑張りは意味があったということである。
「ところで、前国王夫妻はどうしたの?」
あまり聞くことではないことだろうが、こればかりは大事なことなので聞かざるをえない。万が一ブランシェの気が変わって釈放などされてしまった場合、またこちらに火の粉が降りかかるかもしれないからだ。
ブランシェは言いにくそうにはしていたものの、その辺りの政治判断に関しては心得ているので、ゆっくりと重い口を開いた。
「彼らは地下牢で幽閉している。今回協力していた彼らの一派含めてな。そして、今後一切出す予定はない」
「そう。……妥当な判断ね」
「本来なら極刑が好ましいのだろうが、やはり……どうしても、その判断はできなくてな」
王として最大限の譲歩だろう。彼の苦悩がうかがえた。実際、自分の親を罪人だからといって死をもたらすというのは、普通の子であれば耐えられないことである。
だからこそ、極刑ではないものの、今後一切地下牢で一生を過ごさせるという彼の判断は正しいとは言えないかもしれないが、間違っているとは言えないだろう。
「それでいいと思うわ。彼らも生きているということがブランシェの情けだということがわかる日がくると思うわ」
「そうだといいがな……」
どこか遠い目をしながら、話すブランシェ。その瞳には一体何が映っているかはあえて訊ねなかった。
「さて、先日の一件についてはここまでにして。私が欲しいものをいただけるかしら」
気分を変えるために、パチンと明るく手を叩く。そこで一度空気をリセットするために。ブランシェも察したのか、サッと表情が変わった。
「あぁ、そうだな。では、早速本題に入らせていただく」
「えぇ、お願い」
そう言うとお互い席につく。そして、今後の我々の進路や帝国のこと、各国の現状について聞くのだった。
「先日は本当に申し訳なかった。そして改めて礼をさせてくれ。本当にどうもありがとう。感謝してもしきれないくらいだ」
今までにないくらいに丁重に謙るように感謝するブランシェ。まぁ、私もそれなりに治ったとはいえ、一応女である私がこのような仕打ちを受けたことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいのようだった。
「気にするな、って言うのは難しいかもしれないけど、気にしないで。私は私で勝手にやったことだから」
「そうは言っても……こうしてキミが治るまで時間がかかってしまったし、多少……いやだいぶというべきか、まだ傷が残っているではないか」
指摘された顔の傷。思いのほか装飾品のせいで深く抉れてしまったようで、まだ完治とは言えずに傷が残っている状態だ。
顎辺りなので多少目につきやすいところではあるものの、一応傷としてはそこまで大きくないので少し安心はしている。
化膿さえしなければこのまま大人しくしていれば治るらしいが、もしかしたら傷痕は残るかもしれないらしい。
これに関してはなぜか私よりもクエリーシェルやマーラのほうがショックを受けていたが。
「まぁ、これも含めて。今後コルジール国に還元してくれればいいわ。あぁ、あともちろん情報提供もよろしく」
「あぁ、それはもちろんだ。出来る限りの協力をすると誓おう」
情報が確保できたのは心強いことである。コルジール国との縁がある国でサハリほど強い情報網はないだろう。そういう部分では私の頑張りは意味があったということである。
「ところで、前国王夫妻はどうしたの?」
あまり聞くことではないことだろうが、こればかりは大事なことなので聞かざるをえない。万が一ブランシェの気が変わって釈放などされてしまった場合、またこちらに火の粉が降りかかるかもしれないからだ。
ブランシェは言いにくそうにはしていたものの、その辺りの政治判断に関しては心得ているので、ゆっくりと重い口を開いた。
「彼らは地下牢で幽閉している。今回協力していた彼らの一派含めてな。そして、今後一切出す予定はない」
「そう。……妥当な判断ね」
「本来なら極刑が好ましいのだろうが、やはり……どうしても、その判断はできなくてな」
王として最大限の譲歩だろう。彼の苦悩がうかがえた。実際、自分の親を罪人だからといって死をもたらすというのは、普通の子であれば耐えられないことである。
だからこそ、極刑ではないものの、今後一切地下牢で一生を過ごさせるという彼の判断は正しいとは言えないかもしれないが、間違っているとは言えないだろう。
「それでいいと思うわ。彼らも生きているということがブランシェの情けだということがわかる日がくると思うわ」
「そうだといいがな……」
どこか遠い目をしながら、話すブランシェ。その瞳には一体何が映っているかはあえて訊ねなかった。
「さて、先日の一件についてはここまでにして。私が欲しいものをいただけるかしら」
気分を変えるために、パチンと明るく手を叩く。そこで一度空気をリセットするために。ブランシェも察したのか、サッと表情が変わった。
「あぁ、そうだな。では、早速本題に入らせていただく」
「えぇ、お願い」
そう言うとお互い席につく。そして、今後の我々の進路や帝国のこと、各国の現状について聞くのだった。
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