281 / 437
4章【外交編・サハリ国】
80 証拠
しおりを挟む
「【だから何度も言わせるな!!?連れ去ったはずの彼女がここにいるではないか!!】」
「【ですから、私に言われましても……!!ただ、姫は回収したと言われた通りに伝えただけでして……!】」
「【つべこべ言わずに誰か説明しろ!捕らえた姫は本物なのか偽物なのか!そもそもなぜここにいるんだ!】」
「【で、ですから、そう言われましてもですね……】」
「【えぇい、言い訳ばかり!このままでは何のために計画を練ったのか……】」
「【あ、貴方……!】」
「【一体、なんの計画でしょうか……父さん?】」
「【ぶ、ブランシェ……!】」
あまりにヒートアップし過ぎて、気付くのが遅くなったのだろう。あまりの大声に、彼らの言葉は近づくにつれてダダ漏れだった。
(というか、先程の話、まさか……)
「【連れ去った姫、というのはどういうことでしょうか?】」
「【いや、別に……ブランシェには関係ない話だ。あぁ、結婚式おめでとう。では私は用事があるのでこれで……】」
「【待て!!】」
ブランシェが冷たく重い声で言う。初めて聞く、王の声だった。
「【我が友人が1人、見当たらないのですが……ご存知ありませんか?】」
「【さぁ、一体何のことだか……】」
「【ね、ねぇ、貴方。もしや、人違いをしてしまったのでは……。では、やはりこちらが本物……】」
「【ドゥラ!!】」
前国王が前王妃の名を呼んだときには、時既に遅しだった。聞こえてしまった彼女の言葉は、彼らが何かしらに加担したことを表す証拠であった。
「【彼女を!マーラをどこにやった!?】」
凄い剣幕で問い詰めるブランシェ。大きな怒声に、一気に会場が鎮まりかえる。初めて我が息子の怒声を浴びた前国王は青ざめ、顔を強張らせながらも笑っていた。
「【……娘ならもう船へと向かっている。今追いかけても遅いだろう。彼らは私の指示を待たずにゴードジューズ帝国へと向かえと言ってある】」
「【!!!】」
今度はブランシェが青ざめる。まさかマーラが私の代わりに連れ去られるなど思わず、私も反応が遅れてしまいそうになるが、バンっと彼の背を思い切り叩いた。
「ブランシェ!マーラ様を連れ戻してきなさい!」
「!ステラ、だが……!」
「こういうときは王子……今は国王か。そういう人が行ったほうがカッコつくのよ!とにかく、早く行って!この場は私がどうにかするから!!」
「……っすまない!頼んだ!!」
ブランシェが脇目も振らずに一気に走り出す。会場にいる人々も、状況が読めたようで段々と蜘蛛の子散らすように離れていく。
(任されたからには、しょうがないわね。って私が嗾けたけど)
「【ブランシェがいないのならば、今からでも遅くない!私がこの手で捕まえてみせよう!】」
「【おあいにくさま。耄碌ジジイに捕まるほど、私はヤワじゃないわよ!】」
啖呵をきる。口が悪いのはご愛敬だ。
「ケリー様!」
「リーシェ!!」
言葉はわからぬとも場の雰囲気を察したクエリーシェルが、こちらに寄ってくる。彼らも数少ない味方の兵を召集させていた。
「【ふん、我が国で散々大きな顔をしよりおって……!今までの怨み含めて、はらさせてくれる……!!】」
「【のぞむところよ!ブランシェによって変わったこの国、私が守ってみせるわ!!】」
「【ですから、私に言われましても……!!ただ、姫は回収したと言われた通りに伝えただけでして……!】」
「【つべこべ言わずに誰か説明しろ!捕らえた姫は本物なのか偽物なのか!そもそもなぜここにいるんだ!】」
「【で、ですから、そう言われましてもですね……】」
「【えぇい、言い訳ばかり!このままでは何のために計画を練ったのか……】」
「【あ、貴方……!】」
「【一体、なんの計画でしょうか……父さん?】」
「【ぶ、ブランシェ……!】」
あまりにヒートアップし過ぎて、気付くのが遅くなったのだろう。あまりの大声に、彼らの言葉は近づくにつれてダダ漏れだった。
(というか、先程の話、まさか……)
「【連れ去った姫、というのはどういうことでしょうか?】」
「【いや、別に……ブランシェには関係ない話だ。あぁ、結婚式おめでとう。では私は用事があるのでこれで……】」
「【待て!!】」
ブランシェが冷たく重い声で言う。初めて聞く、王の声だった。
「【我が友人が1人、見当たらないのですが……ご存知ありませんか?】」
「【さぁ、一体何のことだか……】」
「【ね、ねぇ、貴方。もしや、人違いをしてしまったのでは……。では、やはりこちらが本物……】」
「【ドゥラ!!】」
前国王が前王妃の名を呼んだときには、時既に遅しだった。聞こえてしまった彼女の言葉は、彼らが何かしらに加担したことを表す証拠であった。
「【彼女を!マーラをどこにやった!?】」
凄い剣幕で問い詰めるブランシェ。大きな怒声に、一気に会場が鎮まりかえる。初めて我が息子の怒声を浴びた前国王は青ざめ、顔を強張らせながらも笑っていた。
「【……娘ならもう船へと向かっている。今追いかけても遅いだろう。彼らは私の指示を待たずにゴードジューズ帝国へと向かえと言ってある】」
「【!!!】」
今度はブランシェが青ざめる。まさかマーラが私の代わりに連れ去られるなど思わず、私も反応が遅れてしまいそうになるが、バンっと彼の背を思い切り叩いた。
「ブランシェ!マーラ様を連れ戻してきなさい!」
「!ステラ、だが……!」
「こういうときは王子……今は国王か。そういう人が行ったほうがカッコつくのよ!とにかく、早く行って!この場は私がどうにかするから!!」
「……っすまない!頼んだ!!」
ブランシェが脇目も振らずに一気に走り出す。会場にいる人々も、状況が読めたようで段々と蜘蛛の子散らすように離れていく。
(任されたからには、しょうがないわね。って私が嗾けたけど)
「【ブランシェがいないのならば、今からでも遅くない!私がこの手で捕まえてみせよう!】」
「【おあいにくさま。耄碌ジジイに捕まるほど、私はヤワじゃないわよ!】」
啖呵をきる。口が悪いのはご愛敬だ。
「ケリー様!」
「リーシェ!!」
言葉はわからぬとも場の雰囲気を察したクエリーシェルが、こちらに寄ってくる。彼らも数少ない味方の兵を召集させていた。
「【ふん、我が国で散々大きな顔をしよりおって……!今までの怨み含めて、はらさせてくれる……!!】」
「【のぞむところよ!ブランシェによって変わったこの国、私が守ってみせるわ!!】」
0
お気に入りに追加
1,924
あなたにおすすめの小説
お嬢様は、今日も戦ってます~武闘派ですから狙った獲物は逃がしません~
高瀬 八鳳
恋愛
強い女性が書いてみたくて、初めて連載?的なものに挑戦しています。
お読み頂けると大変嬉しく存じます。宜しくお願いいたします。
他サイトにも重複投稿しております。
この作品にはもしかしたら一部、15歳未満の方に不適切な描写が含まれる、かもしれません。ご注意下さいませ。表紙画のみAIで生成したものを使っています。
【あらすじ】
武闘系アラフォーが、気づくと中世ヨーロッパのような時代の公爵令嬢になっていた。
どうやら、異世界転生というやつらしい。
わがままな悪役令嬢予備軍といわれていても、10歳ならまだまだ未来はこれからだ!!と勉強と武道修行に励んだ令嬢は、過去に例をみない心身共に逞しい頼れる女性へと成長する。
王国、公国内の様々な事件・トラブル解決に尽力していくうちに、いつも傍で助けてくれる従者へ恋心が芽生え……。「憧れのラブラブ生活を体験したい! 絶対ハッピーエンドに持ちこんでみせますわ!」
すいません、恋愛事は後半になりそうです。ビジネスウンチクをちょいちょいはさんでます。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる