182 / 437
3章【外交編・カジェ国】
45 王妃の本音
しおりを挟む
なんだかんだと話が脱線することが多く、一旦今日の会談はここまで、と区切られ、また翌日に持ち越された。明日は航海ルートや物資補給についてを説明をしてくれるらしい。
「ちょっと待ちなさい」
アーシャとアジャ国王と別れ、ヒューベルトも王宮内の近場の別室を与えられたので、それぞれの部屋に戻ろうとしたときだった。
アーシャに呼び止められて、ここに留まるように言われる。
「何?」
「いいから。そうね、女子会しましょうよ、女子会」
「えー……じょしかいー?……うぷっ……っ」
私がわざとらしく、オウム返しをすれば「この減らず口」と頬を押さえられて唇を前に突き出すような顔をさせられる。
「ふふふ、ブサイクな顔だこと……」
「誰のせいだと……!!」
手を払いのけるが、そのまま腕を拘束されてズルズルと彼女の私室に引きづられていく。このやりとりは一体何度目だと思いながら、呆然とする男達に見送られながら、連行されるのだった。
「で、何の話よ」
「まぁまぁ、せっかちね、もう。なんだかんだで、もうすぐまたこの国を出ていくでしょ?それまでに話しておきたいことがあるのよ」
事前に頼んでおいたのか、侍女達がもの凄い手際の良さで軽食を用意してくれる。
東洋のお茶だろうか、見たことない容器にたっぷりとお湯を注がれると、ふわっといい香りが溢れると共に、容器の中でただの塊だった物体が花開いて、目が奪われる。
「何これ、すごい!」
「ふふ、知らなかったでしょう?工芸茶というものよ。まだ試作品のようだけど、結構いい出来でしょう?」
「素敵ね、流行りそう!」
「えぇ、流行らせるのよ」
こういうものを見つける観察眼は相変わらずだなぁ、と思いながら、注がれるお茶を眺める。いい色合いで、香りもいい。促されて口に含めば、ほんのりと甘さが感じられてとても美味しかった。
「美味しい……!」
「実はこれ、自白剤が入っているのよ」
「っごほ、ぐへっ……っ!ちょ、本当!?」
「……冗談よ。まぁ、洗いざらい話して欲しいのは本当だけど」
ふふふ、ととても楽しそうに笑うアーシャをジト目で睨む。よくもまぁ、ここまで人をからかえるな、と内心憤慨しながらも、引っ掛かる自分も情けなくて、あえて何も言わなかった。
「……ちょっとは落ち着いた?」
「何が?」
「色々話したから、戸惑ってるかと思って」
「あ、うん……そうね。確かに、それは、そうね……」
まさかアーシャに心配されてるとは思わなくて、ちょっとびっくりする。いつの間にか侍女達はいなくなり、部屋には私達だけしかいなかった。
「本音を話しておこうと思って」
「本音……?」
急に落ち着いたトーンで話し始めるアーシャに、自然と背筋が伸びる。ゆっくりとグラスを置くと、彼女の言葉に耳を傾けた。
「私はステラにこのまま旅を続けて欲しくない」
一瞬時が止まったかのような錯覚に陥る。
「え」
そんなことを言われると思わなくて、ただ口から溢れたのは何とも間抜けな言葉だった。理解するための処理能力が働かずに、ジッとアーシャを見てしまう。
「……私は、ステラに死んで欲しくないのよ」
畳み掛けるように言われた言葉は、少しだけ揺れていた。初めて見るアーシャの涙に思わず戸惑う。幼馴染として、もうかれこれ17年間の付き合いだが、こんな弱々しいアーシャを見るのは初めてだった。
「アーシャ……?」
「貴女は、何のために旅を続けるの?誰のために戦うの?どうして、こんな、危険な……っ!」
ぼたぼたと大粒の涙が落ちていく。そこにはカジェ国の王妃ではなく、ただのアーシャという幼馴染がいた。
「私は、ステラが生きていてくれて、とても嬉しかったのよ!私の1番の理解者はマーシャルとステラだけなんだから……!」
詰るような言葉に、一瞬息が止まる。アーシャの心からの叫びに、少しだけたじろぐ。
(アーシャ……)
「そうね、そうだったわね。ごめんなさい、ずっと伝えられなくて。言う方法すらなかった、って言うのが正しくはあるけど」
実際に、私が生きていることを知らせる手段など持ち合わせてはいなかった。そもそもこうして今ここに居られるのは、運良くクエリーシェルに拾ってもらったおかげだ。
アーシャはある意味孤独だった。両親は王家の正当後継者の血筋ゆえか、彼女を突き放して手厳しく教育していた。そのため、度々アーシャが愚痴っていたことを思い出す。
私達姉妹にしか見せない顔。それはきっと、両親だけでなく夫のアジャ国王にすら出せなかったものでもあるのだろう。
(ずっと気丈に振舞ってくれてたのね)
うっかり自分ももらい泣きしそうになって、つんと鼻の奥が痛むのを感じながら、すぅと鼻から一気に息を吸い込む。そしてゆっくりと息を吐き出すと、段々と気持ちが落ち着いてきた。
「さっきの答えだけど、……私は私のために戦うの。コルジールのため、ペンテレアのため、世界のためって大見得を切ってはいるけど、私は私の居場所をくれたクエリーシェルがいるコルジールを助けたい、そしてそのために、この世界を救いたいと思ってる。自分のワガママのために、私は戦うのよ」
「それで、ステラが死んだらどうするの?」
「私は死なないわ」
自信満々に言い放てば、険しい顔のアーシャがこちらを見ている。
「言っておくけど、ただの根拠のない自信とは違うわよ?私は姉様のお墨付きをもらってるんだから!」
「……マーシャルの?」
「えぇ、どんなものでも見通せる千里眼の持ち主である姉から、私が今よりももっと大人になった姿で、笑っているところが見えたと、ね」
嘘ではない。だから自信を持って言えた。私は死なない。絶対に死なない、と。
「何よ、それ。信じなきゃいけないじゃない」
「えぇ、姉様の千里眼は絶対なのだから」
ふふ、と私が笑えば、アーシャも私の様子に同調したのか口元を緩める。
「あぁ、もう……!泣くつもりなんかなかったのに!ステラのせいだからね!」
「え、それ酷くない!?」
急にいつもの調子に戻って、余計に調子が狂う。だが、それが彼女なりにまだ気を張っているということに気づいて、アーシャの手をゆっくり握った。
「ありがとう、アーシャ。気持ちはとても嬉しいわ」
「ふん……っ、もうこういう時だけ……!」
ぐすぐすと泣きながらも、あまり化粧が取れてないのはさすがだと思いながら、アーシャは侍女を呼びつけると目元を温めるためにホットタオルを頼んだ。
「ちょっと待ちなさい」
アーシャとアジャ国王と別れ、ヒューベルトも王宮内の近場の別室を与えられたので、それぞれの部屋に戻ろうとしたときだった。
アーシャに呼び止められて、ここに留まるように言われる。
「何?」
「いいから。そうね、女子会しましょうよ、女子会」
「えー……じょしかいー?……うぷっ……っ」
私がわざとらしく、オウム返しをすれば「この減らず口」と頬を押さえられて唇を前に突き出すような顔をさせられる。
「ふふふ、ブサイクな顔だこと……」
「誰のせいだと……!!」
手を払いのけるが、そのまま腕を拘束されてズルズルと彼女の私室に引きづられていく。このやりとりは一体何度目だと思いながら、呆然とする男達に見送られながら、連行されるのだった。
「で、何の話よ」
「まぁまぁ、せっかちね、もう。なんだかんだで、もうすぐまたこの国を出ていくでしょ?それまでに話しておきたいことがあるのよ」
事前に頼んでおいたのか、侍女達がもの凄い手際の良さで軽食を用意してくれる。
東洋のお茶だろうか、見たことない容器にたっぷりとお湯を注がれると、ふわっといい香りが溢れると共に、容器の中でただの塊だった物体が花開いて、目が奪われる。
「何これ、すごい!」
「ふふ、知らなかったでしょう?工芸茶というものよ。まだ試作品のようだけど、結構いい出来でしょう?」
「素敵ね、流行りそう!」
「えぇ、流行らせるのよ」
こういうものを見つける観察眼は相変わらずだなぁ、と思いながら、注がれるお茶を眺める。いい色合いで、香りもいい。促されて口に含めば、ほんのりと甘さが感じられてとても美味しかった。
「美味しい……!」
「実はこれ、自白剤が入っているのよ」
「っごほ、ぐへっ……っ!ちょ、本当!?」
「……冗談よ。まぁ、洗いざらい話して欲しいのは本当だけど」
ふふふ、ととても楽しそうに笑うアーシャをジト目で睨む。よくもまぁ、ここまで人をからかえるな、と内心憤慨しながらも、引っ掛かる自分も情けなくて、あえて何も言わなかった。
「……ちょっとは落ち着いた?」
「何が?」
「色々話したから、戸惑ってるかと思って」
「あ、うん……そうね。確かに、それは、そうね……」
まさかアーシャに心配されてるとは思わなくて、ちょっとびっくりする。いつの間にか侍女達はいなくなり、部屋には私達だけしかいなかった。
「本音を話しておこうと思って」
「本音……?」
急に落ち着いたトーンで話し始めるアーシャに、自然と背筋が伸びる。ゆっくりとグラスを置くと、彼女の言葉に耳を傾けた。
「私はステラにこのまま旅を続けて欲しくない」
一瞬時が止まったかのような錯覚に陥る。
「え」
そんなことを言われると思わなくて、ただ口から溢れたのは何とも間抜けな言葉だった。理解するための処理能力が働かずに、ジッとアーシャを見てしまう。
「……私は、ステラに死んで欲しくないのよ」
畳み掛けるように言われた言葉は、少しだけ揺れていた。初めて見るアーシャの涙に思わず戸惑う。幼馴染として、もうかれこれ17年間の付き合いだが、こんな弱々しいアーシャを見るのは初めてだった。
「アーシャ……?」
「貴女は、何のために旅を続けるの?誰のために戦うの?どうして、こんな、危険な……っ!」
ぼたぼたと大粒の涙が落ちていく。そこにはカジェ国の王妃ではなく、ただのアーシャという幼馴染がいた。
「私は、ステラが生きていてくれて、とても嬉しかったのよ!私の1番の理解者はマーシャルとステラだけなんだから……!」
詰るような言葉に、一瞬息が止まる。アーシャの心からの叫びに、少しだけたじろぐ。
(アーシャ……)
「そうね、そうだったわね。ごめんなさい、ずっと伝えられなくて。言う方法すらなかった、って言うのが正しくはあるけど」
実際に、私が生きていることを知らせる手段など持ち合わせてはいなかった。そもそもこうして今ここに居られるのは、運良くクエリーシェルに拾ってもらったおかげだ。
アーシャはある意味孤独だった。両親は王家の正当後継者の血筋ゆえか、彼女を突き放して手厳しく教育していた。そのため、度々アーシャが愚痴っていたことを思い出す。
私達姉妹にしか見せない顔。それはきっと、両親だけでなく夫のアジャ国王にすら出せなかったものでもあるのだろう。
(ずっと気丈に振舞ってくれてたのね)
うっかり自分ももらい泣きしそうになって、つんと鼻の奥が痛むのを感じながら、すぅと鼻から一気に息を吸い込む。そしてゆっくりと息を吐き出すと、段々と気持ちが落ち着いてきた。
「さっきの答えだけど、……私は私のために戦うの。コルジールのため、ペンテレアのため、世界のためって大見得を切ってはいるけど、私は私の居場所をくれたクエリーシェルがいるコルジールを助けたい、そしてそのために、この世界を救いたいと思ってる。自分のワガママのために、私は戦うのよ」
「それで、ステラが死んだらどうするの?」
「私は死なないわ」
自信満々に言い放てば、険しい顔のアーシャがこちらを見ている。
「言っておくけど、ただの根拠のない自信とは違うわよ?私は姉様のお墨付きをもらってるんだから!」
「……マーシャルの?」
「えぇ、どんなものでも見通せる千里眼の持ち主である姉から、私が今よりももっと大人になった姿で、笑っているところが見えたと、ね」
嘘ではない。だから自信を持って言えた。私は死なない。絶対に死なない、と。
「何よ、それ。信じなきゃいけないじゃない」
「えぇ、姉様の千里眼は絶対なのだから」
ふふ、と私が笑えば、アーシャも私の様子に同調したのか口元を緩める。
「あぁ、もう……!泣くつもりなんかなかったのに!ステラのせいだからね!」
「え、それ酷くない!?」
急にいつもの調子に戻って、余計に調子が狂う。だが、それが彼女なりにまだ気を張っているということに気づいて、アーシャの手をゆっくり握った。
「ありがとう、アーシャ。気持ちはとても嬉しいわ」
「ふん……っ、もうこういう時だけ……!」
ぐすぐすと泣きながらも、あまり化粧が取れてないのはさすがだと思いながら、アーシャは侍女を呼びつけると目元を温めるためにホットタオルを頼んだ。
0
お気に入りに追加
1,922
あなたにおすすめの小説
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
最強賢者、ヒヨコに転生する。~最弱種族に転生してもやっぱり最強~
深園 彩月
ファンタジー
最強の賢者として名を馳せていた男がいた。
魔法、魔道具などの研究を第一に生活していたその男はある日間抜けにも死んでしまう。
死んだ者は皆等しく転生する権利が与えられる。
その方法は転生ガチャ。
生まれてくる種族も転生先の世界も全てが運任せ。その転生ガチャを回した最強賢者。
転生先は見知らぬ世界。しかも種族がまさかの……
だがしかし、研究馬鹿な最強賢者は見知らぬ世界だろうと人間じゃなかろうとお構い無しに、常識をぶち壊す。
差別の荒波に揉まれたり陰謀に巻き込まれたりしてなかなか研究が進まないけれど、ブラコン拗らせながらも愉快な仲間に囲まれて成長していくお話。
※拙い作品ですが、誹謗中傷はご勘弁を……
只今加筆修正中。
他サイトでも投稿してます。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
悪役令嬢は安眠したい。
カギカッコ「」
恋愛
番外編が一個短編集に入ってます。時系列的に66話辺りの話になってます。
読んで下さる皆様ありがとうごぜえまーす!! V(>▽<)V
恋人に振られた夜、何の因果か異世界の悪役令嬢アイリスに転生してしまった美琴。
目覚めて早々裸のイケメンから媚薬を盛ったと凄まれ、自分が妹ニコルの婚約者ウィリアムを寝取った後だと知る。
これはまさに悪役令嬢の鑑いやいや横取りの手口!でも自分的には全く身に覚えはない!
記憶にございませんとなかったことにしようとしたものの、初めは怒っていたウィリアムは彼なりの事情があるようで、婚約者をアイリスに変更すると言ってきた。
更には美琴のこの世界でのNPCなる奴も登場し、そいつによればどうやら自分には死亡フラグが用意されているという。
右も左もわからない転生ライフはのっけから瀬戸際に。
果たして美琴は生き残れるのか!?……なちょっとある意味サバイバル~な悪役令嬢ラブコメをどうぞ。
第1部は62話「ああ、寝ても覚めても~」までです。
第2部は130話「新たな因縁の始まり」までとなります。
他サイト様にも掲載してます。
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる