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3章【外交編・カジェ国】
43 各国の情勢
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「でまぁ、ところどころ武力行使と言いますか、あくまで本気ではないですけど、それなりに、ねぇ……、はは、ふふふ……」
苦笑紛れに誤魔化せば、周りは呆れた顔をしていた。クエリーシェルでさえ、ちょっと困った顔をしている。
「要は、口だけでなく手も出してたんでしょう?」
アーシャが代弁するように言えば、「そうとも言うかなー?あいつ反論ばかり一人前だし、煩いし、無駄に御託並べて面倒だったから、ついイライラしちゃって、ね」と笑いながら開き直って答えると、はぁ……と彼女から盛大な溜め息が漏れた。
「まぁ、そのおかげかどうかは知らないけど、現在もそれなりには国を維持できてるけどね。特にブランシェ皇子が国王に即位してからは、どんどん収入増らしいわよ」
「へぇ、そうだったんだ。案外あいつもやるのね」
どこか他人事ではあるが、とりあえず自分がそれに貢献したかどうかは定かではないものの、姉の言う通りになったことにはホッとする。
だが問題は、現サハリ国王にこのステラが受け入れてもらえるかどうかである。
「ブランシェ国王は今は国内で人気の国王だし、あの人が拒否すれば国民も一斉に拒否をするわよ」
「うーー……どうにかならないかしらね」
「さぁ、とりあえず当たって砕けるしかないんじゃない?」
「砕けたくはないんだけど……」
とは言っても、今更引き返すわけにも行かなければ、とにかく行くしかないのは事実である。ゴードジューズ帝国への足掛かりになるという益はどうしても手に入れておきたかった。
「まぁ、昔はどうだか知らないけど、ブランシェ国王は頭のいい人だし、国益になると思えば受け入れるとは思うわよ。あと、それぞれの国に一筆カジェ国からも添えさせてはいただくから、それをどうにか有効活用しなさい」
「ありがとうございます……」
「はぁ、本当に全く。世話がやけるのだから」
今回に関しては反論できないので素直に受け止める。そういえば、サハリを離れる際に「2度と来るな!」と皇子から私だけ文句を言われたなー、とさらに不都合なことを思い出して頭が痛くなった。
「ほら、そこ。問題はサハリ国だけでなくてよ」
「まだあるの?」
「えぇ。モットーだけど、ちょっと今は内紛があってね」
「内紛?」
「酒関連だけど、違法がどうとかこうとかで各地で利権の争いが起きてるようよ。それでゴタついてるとは聞いてる」
モットーは国民全体的に酒好きなのだが、いかんせんその分アルコール中毒者が多い。つまり、治安としてはあまりよろしくない。
だが、モットーはその酒を利用して、カジェ国とはまた違った国との貿易をしていて有益な情報を持っていることが見込まれるため、できれば行っておきたい国だった。
「また面倒な……」
「あそこの国には、確かステラ、誰か知り合いいなかったっけ?」
「私の気功の師匠がいるけど。まだご存命かしら。今は70後半とかな気がするから生きているかどうか……」
以前、私が会ったときは60後半だったような。あのときはまだそんな年を感じさせないほど溌剌としていた印象だが、もう80が近い年だ、寿命としてはそう遠くないだろう。
(お元気にしてるだろうか。元気であればいいけど……)
「その方って、確か王族の親類に当たる方でしょ?」
「そうだったっけ?もうその辺あんまり覚えてないわ。てか、何で知ってるの?」
「マーシャルから聞いたのよ。そういえば、モットー行ったら気功術にハマり出して大変だって、よくこぼしてたわね」
アーシャの話で、そういえば確かにあのときはハマりにハマってあらゆる人の気功を突いて、気功術禁止令が出た気がする、と過去の記憶が呼び起こされる。
先程から思い出したくない黒歴史ばかり思い出されて、しかもクエリーシェルとヒューベルトがいるので余計になんだか居た堪れない。
「よくそんなこと覚えてるわね」
「私の記憶力を舐めないでちょうだい」
(いっそ、今すぐ記憶喪失になって忘れていただきたいくらいなんだけど……!しかも、ご丁寧にきちんとアジャ国王に通訳してる辺りもムカつく)
「あと、モットーとブライエへ行くまでの海域は最近海賊が出ているらしいわ」
「いるとは思ってたけど、厄介なの?」
「まぁ、別段大したことはないとは思うけど、そちらの船と乗組員次第ってところね」
船はそこそこ頑丈には作られているし、乗組員もさして問題はないだろうが、強いて言えばクエリーシェルの船酔いは問題である。
前途多難だな、と与えられる情報にただただ頭を悩ませるのだった。
苦笑紛れに誤魔化せば、周りは呆れた顔をしていた。クエリーシェルでさえ、ちょっと困った顔をしている。
「要は、口だけでなく手も出してたんでしょう?」
アーシャが代弁するように言えば、「そうとも言うかなー?あいつ反論ばかり一人前だし、煩いし、無駄に御託並べて面倒だったから、ついイライラしちゃって、ね」と笑いながら開き直って答えると、はぁ……と彼女から盛大な溜め息が漏れた。
「まぁ、そのおかげかどうかは知らないけど、現在もそれなりには国を維持できてるけどね。特にブランシェ皇子が国王に即位してからは、どんどん収入増らしいわよ」
「へぇ、そうだったんだ。案外あいつもやるのね」
どこか他人事ではあるが、とりあえず自分がそれに貢献したかどうかは定かではないものの、姉の言う通りになったことにはホッとする。
だが問題は、現サハリ国王にこのステラが受け入れてもらえるかどうかである。
「ブランシェ国王は今は国内で人気の国王だし、あの人が拒否すれば国民も一斉に拒否をするわよ」
「うーー……どうにかならないかしらね」
「さぁ、とりあえず当たって砕けるしかないんじゃない?」
「砕けたくはないんだけど……」
とは言っても、今更引き返すわけにも行かなければ、とにかく行くしかないのは事実である。ゴードジューズ帝国への足掛かりになるという益はどうしても手に入れておきたかった。
「まぁ、昔はどうだか知らないけど、ブランシェ国王は頭のいい人だし、国益になると思えば受け入れるとは思うわよ。あと、それぞれの国に一筆カジェ国からも添えさせてはいただくから、それをどうにか有効活用しなさい」
「ありがとうございます……」
「はぁ、本当に全く。世話がやけるのだから」
今回に関しては反論できないので素直に受け止める。そういえば、サハリを離れる際に「2度と来るな!」と皇子から私だけ文句を言われたなー、とさらに不都合なことを思い出して頭が痛くなった。
「ほら、そこ。問題はサハリ国だけでなくてよ」
「まだあるの?」
「えぇ。モットーだけど、ちょっと今は内紛があってね」
「内紛?」
「酒関連だけど、違法がどうとかこうとかで各地で利権の争いが起きてるようよ。それでゴタついてるとは聞いてる」
モットーは国民全体的に酒好きなのだが、いかんせんその分アルコール中毒者が多い。つまり、治安としてはあまりよろしくない。
だが、モットーはその酒を利用して、カジェ国とはまた違った国との貿易をしていて有益な情報を持っていることが見込まれるため、できれば行っておきたい国だった。
「また面倒な……」
「あそこの国には、確かステラ、誰か知り合いいなかったっけ?」
「私の気功の師匠がいるけど。まだご存命かしら。今は70後半とかな気がするから生きているかどうか……」
以前、私が会ったときは60後半だったような。あのときはまだそんな年を感じさせないほど溌剌としていた印象だが、もう80が近い年だ、寿命としてはそう遠くないだろう。
(お元気にしてるだろうか。元気であればいいけど……)
「その方って、確か王族の親類に当たる方でしょ?」
「そうだったっけ?もうその辺あんまり覚えてないわ。てか、何で知ってるの?」
「マーシャルから聞いたのよ。そういえば、モットー行ったら気功術にハマり出して大変だって、よくこぼしてたわね」
アーシャの話で、そういえば確かにあのときはハマりにハマってあらゆる人の気功を突いて、気功術禁止令が出た気がする、と過去の記憶が呼び起こされる。
先程から思い出したくない黒歴史ばかり思い出されて、しかもクエリーシェルとヒューベルトがいるので余計になんだか居た堪れない。
「よくそんなこと覚えてるわね」
「私の記憶力を舐めないでちょうだい」
(いっそ、今すぐ記憶喪失になって忘れていただきたいくらいなんだけど……!しかも、ご丁寧にきちんとアジャ国王に通訳してる辺りもムカつく)
「あと、モットーとブライエへ行くまでの海域は最近海賊が出ているらしいわ」
「いるとは思ってたけど、厄介なの?」
「まぁ、別段大したことはないとは思うけど、そちらの船と乗組員次第ってところね」
船はそこそこ頑丈には作られているし、乗組員もさして問題はないだろうが、強いて言えばクエリーシェルの船酔いは問題である。
前途多難だな、と与えられる情報にただただ頭を悩ませるのだった。
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