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2章【告白編】
40 嘘
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「ふんふん、なるほどね」
一通り話をすると、姉が頷く。そういえば、ここの時の流れってどうなってるんだろう。結構話したから、それなりに時間が経っているはずだけど。
「あぁ、その辺は大丈夫。今、現実のステラは寝てる状態だけど、時間で言うと1時間くらいしか経ってないと思うわ。ここは、現実時間の半分くらいしか進まないから」
「へぇ、そうなのね」
ふと思ったことを返答されるのを見ると、姉の読心の能力は相当高いようだ。
「で、色々聞いたけど、貴女の気持ちは結局どうなの?ステラはどうしたい?」
漠然とした質問に困惑する。
私の気持ち。私はどうしたいか。
頭の中でぐるぐるとその言葉が回る。
クエリーシェルのことは好きだ。しがらみがなければ喜んで彼の胸に飛び込んで、愛を交わすことができるだろう。
だが、実際の私はしがらみだらけだ。だからこそ、私の人生に関わって振り回したくはない。彼は彼で幸せになって欲しい。それが私と共にだったら嬉しいけど、でもそんなことは不可能だ。
「どうして不可能なの?何が不可能なの?」
「だって、私はバレス皇帝に命を狙われているし、今回の戦争は私のことも火種になっているだろうし。そんな私と一緒にいたって幸せになんてならないでしょう?」
「ふふ、随分とステラは驕り高ぶるようになったのね?」
「……は?」
いくら姉とは言え、そんなことを言われて思わずムッとする。だが、姉は動揺するでもなく、話を続ける。
「ステラがきっかけで戦争が起こった?そんなわけがないでしょう。あのバレス皇帝よ?全てを己の手中に治めたい、全てを思い通りにしたいがために生きている人。そんな人が貴女だけのために動くと思う?」
「だって、私は姉様の妹で……。だから逆恨みで、姉様の身近な存在を次々に……」
そうだ、そのせいで今まで私も命を狙われてきた。先日のクォーツ卿も、バレス皇帝から私を生け捕りでゴードジューズ国に連行するように命を受けていたことは、密通より把握している。
「ねぇ、バレス皇帝はどうして私を殺したと思う?」
疑問を投げ掛けられて、再び考える。姉が死んだ理由。以前、姉自身が説明した内容を思い出す。
(どうして?どうしてって、それは千里眼で運命を先読みしたのに、嘘をついてバラムスカ皇子を死地にやったからって。そういう説明だったから、そう信じていたけど、違うの……?)
姉が真っ直ぐ私を見つめる。その瞳は酷く、揺らめいていた。
「ごめんなさい。私はステラに嘘をついていたわ」
「え……、どういう、こと?何で?」
言われている意味がわからなくて、ただただ姉を見る。すると、ゆっくりと頬をなぞられた。
「私とバラムスカは、謀反を起こそうとしたの。バレス皇帝を打ち倒すためにね」
「え、どういうこと?だって、バラムスカ皇子は唯一の皇帝の息子で、彼を溺愛してて、そんな彼が父親を殺そうとしたってこと?」
「えぇ、そうよ」
真実が見えなくて、私はただただ言われたことを反芻するが、それでも私の頭では理解できないことだらけだ。そもそもの根底が覆った事実に、思考がままならない。
「本当は、ステラに真実を告げてから死のうと思ったのだけど、時間がなくて。下手に紙で書いて託しても、もしいらぬ火種になったら嫌だと思ってそうしなかったんだけど、結局貴女にはつらい人生を送らせる羽目になってしまったわね」
「姉様、それは一体どういうこと?」
姉の手を握る。彼女の手は酷く震えていた。そんなに怯えることなのだろうか。こんな姉は見たことがなかった。
「ごめんなさい。私が悪いの。国を巻き込んだのも、国を滅ぼしたのも、全て私。私がきっかけで、私がバラムスカも巻き込んだ」
「何を言って……」
「今日はステラの気持ちだけ確認させるために来たから、本来言うつもりはなかったのだけど、ちゃんと説明するわね。私がどうしてバラムスカと結婚して、彼と共にバレス皇帝を討とうとしたのか」
一通り話をすると、姉が頷く。そういえば、ここの時の流れってどうなってるんだろう。結構話したから、それなりに時間が経っているはずだけど。
「あぁ、その辺は大丈夫。今、現実のステラは寝てる状態だけど、時間で言うと1時間くらいしか経ってないと思うわ。ここは、現実時間の半分くらいしか進まないから」
「へぇ、そうなのね」
ふと思ったことを返答されるのを見ると、姉の読心の能力は相当高いようだ。
「で、色々聞いたけど、貴女の気持ちは結局どうなの?ステラはどうしたい?」
漠然とした質問に困惑する。
私の気持ち。私はどうしたいか。
頭の中でぐるぐるとその言葉が回る。
クエリーシェルのことは好きだ。しがらみがなければ喜んで彼の胸に飛び込んで、愛を交わすことができるだろう。
だが、実際の私はしがらみだらけだ。だからこそ、私の人生に関わって振り回したくはない。彼は彼で幸せになって欲しい。それが私と共にだったら嬉しいけど、でもそんなことは不可能だ。
「どうして不可能なの?何が不可能なの?」
「だって、私はバレス皇帝に命を狙われているし、今回の戦争は私のことも火種になっているだろうし。そんな私と一緒にいたって幸せになんてならないでしょう?」
「ふふ、随分とステラは驕り高ぶるようになったのね?」
「……は?」
いくら姉とは言え、そんなことを言われて思わずムッとする。だが、姉は動揺するでもなく、話を続ける。
「ステラがきっかけで戦争が起こった?そんなわけがないでしょう。あのバレス皇帝よ?全てを己の手中に治めたい、全てを思い通りにしたいがために生きている人。そんな人が貴女だけのために動くと思う?」
「だって、私は姉様の妹で……。だから逆恨みで、姉様の身近な存在を次々に……」
そうだ、そのせいで今まで私も命を狙われてきた。先日のクォーツ卿も、バレス皇帝から私を生け捕りでゴードジューズ国に連行するように命を受けていたことは、密通より把握している。
「ねぇ、バレス皇帝はどうして私を殺したと思う?」
疑問を投げ掛けられて、再び考える。姉が死んだ理由。以前、姉自身が説明した内容を思い出す。
(どうして?どうしてって、それは千里眼で運命を先読みしたのに、嘘をついてバラムスカ皇子を死地にやったからって。そういう説明だったから、そう信じていたけど、違うの……?)
姉が真っ直ぐ私を見つめる。その瞳は酷く、揺らめいていた。
「ごめんなさい。私はステラに嘘をついていたわ」
「え……、どういう、こと?何で?」
言われている意味がわからなくて、ただただ姉を見る。すると、ゆっくりと頬をなぞられた。
「私とバラムスカは、謀反を起こそうとしたの。バレス皇帝を打ち倒すためにね」
「え、どういうこと?だって、バラムスカ皇子は唯一の皇帝の息子で、彼を溺愛してて、そんな彼が父親を殺そうとしたってこと?」
「えぇ、そうよ」
真実が見えなくて、私はただただ言われたことを反芻するが、それでも私の頭では理解できないことだらけだ。そもそもの根底が覆った事実に、思考がままならない。
「本当は、ステラに真実を告げてから死のうと思ったのだけど、時間がなくて。下手に紙で書いて託しても、もしいらぬ火種になったら嫌だと思ってそうしなかったんだけど、結局貴女にはつらい人生を送らせる羽目になってしまったわね」
「姉様、それは一体どういうこと?」
姉の手を握る。彼女の手は酷く震えていた。そんなに怯えることなのだろうか。こんな姉は見たことがなかった。
「ごめんなさい。私が悪いの。国を巻き込んだのも、国を滅ぼしたのも、全て私。私がきっかけで、私がバラムスカも巻き込んだ」
「何を言って……」
「今日はステラの気持ちだけ確認させるために来たから、本来言うつもりはなかったのだけど、ちゃんと説明するわね。私がどうしてバラムスカと結婚して、彼と共にバレス皇帝を討とうとしたのか」
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