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第三十話 仲良し

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 褒めてるのか貶しているのか。
 いや、この言い方はきっと褒めてるつもりなのだろうな。
 きっと私でなければはっ倒されててもおかしくない言い草だけど。

「ヴィルは一体私を何だと思ってるのよ。てか、女性の中にはそういう人もいるにはいるだろうけど、女って一括りにするのはよくないわよ」
「そうか? オレが今まで会った女はそういうタイプが多かった気が」
「それはヴィルが王子だからでしょ。利害関係があるならそりゃそういう人も近づいてくるだろうし」
「そういうもんか?」
「そういうものよ。これだから世間知らずは困るわ。それに、ピュアさんみたいに可愛くて一途な人がいたら、誰だって諦めるでしょ」
「そういうもんか?」
「そういうもんなの! 勝ち目のない片想いなんてつらいだけなんだから引くのは当然でしょ。ということで、さっさと次の街に行くわよ。次は大都市マダシでしょう?」

 次はマダシ。
 聞くところによると大きな都市であるがゆえに何か問題があるらしい。詳しくはよくわからないが。

「じゃあ出発しましょうか。グリフォン、用意して」

 グリフォンに再び元のサイズに戻るように言うと何やら難しい顔をしている。何か問題でもあるのだろうかと「どうしたの」と尋ねるとグリフォンが眉を顰めた。

「お主達、付き合っているのか?」

 あまりの放言に一瞬フリーズする。ヴィルも同じようだったようで、ポカンと間抜けな顔をしていた。それを見て我に返る。

「はぁ!? 今の話の流れでどう解釈してそういう結論が出るのよ! ありえないでしょ!!」
「そうだぞグリフォン。どこをどう見たらそう思うんだ。シオンとは別にそういう関係じゃ……っ」
「いや、仲が良いなと思うて」
「「よくない!」」
「ほれ。シンクロしてるじゃないか。相性がよい証拠じゃろう?」
「それは、確かに……」
「いや、ヴィル。何でそこで日和るのよっ! とにかく違うの!」
「そうなのか? 人間はようわからんのう」

 首を傾げているグリフォンに、「いいから、さっさと次の場所に行くから早く元の大きさになる!」と指示を出す。不本意そうではあるもののすぐさま元の巨体に戻ると、すぐさま跨った。

「ぐぇっ! そんな勢いつけて乗るんじゃない」
「ふぅん、私に指図する気? 随分と偉いご身分になったものね?」
「ひぃぃぃ!」
「グリフォン。シオンの機嫌が悪いうちは諦めろ」
「余計なこと言わないで! ほら、時間は待ってくれないんだからさっさと次行く!」

 こうしてドタバタと、私達は次の目的地であるマダシへと向かった。
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