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帝都帰還
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~~11カ月前~~
アモン達は、テイジンがゲートの向こうに消えてから10日後にサガンドへ戻ってきたアリーと合流した。
「イジンさんがテイジンだったなんてな、アリーから聞かされてもいまだに信じられないな‥‥」
「あたしも‥‥あの天才がダメテイジンだったなんて!それに痣なかったよね?目の色もおかしかったし」
「‥‥」
アリーからゲートに入る前までの報告を聞いたアモンが、驚いて眉を上げながらいうとマサも強く同意する。
「それでテイジンは一緒に戻ったのじゃないのか?」
「あのね、それなのだけど‥‥」
アリーが口を濁すと突然マキが話しかけ来た。
「あの!皆さんに緊急のお知らせがあります」
5人がギルド連絡所で話していると、マキが急ぎの報せがあるという。
「帝都の中央ギルドからで、皇帝命令で”帝国のすべての冒険者は一度帝都のギルドに戻れ”、とのことです」
マキが通信魔法で送られてきた手紙を要約して読み上げる。
「ありがとうマキちゃん、大体察しはついて居るよ」
アモンにはそれがモンスター軍団の討伐軍の編成なのだと判っていた。あれだけの大群を帝国の兵隊だけで掃討するのは容易ではないし被害も大きい。
「それじゃ決死の覚悟で帝都に戻りますか」
アモンが言葉とは逆に軽く言う。実際、サガンドから帝都までは比較的に近いので、遠方に出ている冒険者からしたら気楽な方なのだ。
リーダーのアモンが言うとそれで決まり一斉に行動に移る。皆が宿屋から荷物を引き上げてきて馬車に積み込み1時間もせず開門して町から出て行ってしまった。
それから少し馬車で進むと御者をしているデリーが言う。
「ふん‥‥いざ街道に出てみると早々現れないものだな」
「でも警戒は怠らないようにな」
「判ってますよ、アモンの旦那」
アモンが気を緩めるなと指示をだすと、スカウトのマッシュがスキルの警戒を使い続ける。
モンスターどころか野生動物すら現れない街道は、花が咲き蝶が舞うのどかな雰囲気だった。
「ンフフ♪ン~フフ・フフフフ~♪フフフフ~ンフフ・フフフ~♪」
いつものようにアリーが鼻歌を歌いだす。
馬車はアリーの白魔法の”聖歌”で地の神によって加護され、その日の夕方無事に帝都までたどりついた。
帝都の中央ギルドに入ると既に混雑していた。カウンターに行き管理官へ帰還の連絡をする。
「よし、アモンパーティーは全員帰還だな、では明日また来てくれ」
ギルドから帰還クエスト達成の報酬を貰いそれで解散となった。
「少し話さないか?もう少しテイジンの話を訊きたいし」
「そうね‥‥」
アモンが暗い顔をしているアリーを酒場に誘った。彼女がサガンドに戻ってからずっと何かを考え込んでいるのをアモンは見ていたのだ。
その晩、3人だけで通いなれた酒場に行き席を囲んだ。
「テイジンの事、話せるなら教えてくれよ、なんでも聞くからさ」
アモンは教えて欲しいという体でアリーが話し出すのを待った。
アリーがお気に入りのソーダ水を飲みながらゆっくりと話し始める。
「あのね、テイちゃんは朝起きたと思ったら急におかしなテンションだったの‥‥」
アリーはテイジンが告白をしたことを飛ばして話す。
「テイちゃんは自分が生まれ変わったんだ~なんて言うの」
「ほ~、そういう感じなのか」
「へ~~、生まれ変わりかぁ~ロマンあるよね」
「ははは」
マサがお道化ると3人が笑う。
「でも、本気で言うのだもの驚いちゃった」
「その口ぶりからすると、アリーはイジンさんがテイジンだって知ってたって事?」
「うん、なんとなくだけど‥‥だからテイちゃんが自分だぞって言った時に納得しちゃったのね」
それには2人とも頷いた。アリーだから気が付いたのだと。
アモン達は、テイジンがゲートの向こうに消えてから10日後にサガンドへ戻ってきたアリーと合流した。
「イジンさんがテイジンだったなんてな、アリーから聞かされてもいまだに信じられないな‥‥」
「あたしも‥‥あの天才がダメテイジンだったなんて!それに痣なかったよね?目の色もおかしかったし」
「‥‥」
アリーからゲートに入る前までの報告を聞いたアモンが、驚いて眉を上げながらいうとマサも強く同意する。
「それでテイジンは一緒に戻ったのじゃないのか?」
「あのね、それなのだけど‥‥」
アリーが口を濁すと突然マキが話しかけ来た。
「あの!皆さんに緊急のお知らせがあります」
5人がギルド連絡所で話していると、マキが急ぎの報せがあるという。
「帝都の中央ギルドからで、皇帝命令で”帝国のすべての冒険者は一度帝都のギルドに戻れ”、とのことです」
マキが通信魔法で送られてきた手紙を要約して読み上げる。
「ありがとうマキちゃん、大体察しはついて居るよ」
アモンにはそれがモンスター軍団の討伐軍の編成なのだと判っていた。あれだけの大群を帝国の兵隊だけで掃討するのは容易ではないし被害も大きい。
「それじゃ決死の覚悟で帝都に戻りますか」
アモンが言葉とは逆に軽く言う。実際、サガンドから帝都までは比較的に近いので、遠方に出ている冒険者からしたら気楽な方なのだ。
リーダーのアモンが言うとそれで決まり一斉に行動に移る。皆が宿屋から荷物を引き上げてきて馬車に積み込み1時間もせず開門して町から出て行ってしまった。
それから少し馬車で進むと御者をしているデリーが言う。
「ふん‥‥いざ街道に出てみると早々現れないものだな」
「でも警戒は怠らないようにな」
「判ってますよ、アモンの旦那」
アモンが気を緩めるなと指示をだすと、スカウトのマッシュがスキルの警戒を使い続ける。
モンスターどころか野生動物すら現れない街道は、花が咲き蝶が舞うのどかな雰囲気だった。
「ンフフ♪ン~フフ・フフフフ~♪フフフフ~ンフフ・フフフ~♪」
いつものようにアリーが鼻歌を歌いだす。
馬車はアリーの白魔法の”聖歌”で地の神によって加護され、その日の夕方無事に帝都までたどりついた。
帝都の中央ギルドに入ると既に混雑していた。カウンターに行き管理官へ帰還の連絡をする。
「よし、アモンパーティーは全員帰還だな、では明日また来てくれ」
ギルドから帰還クエスト達成の報酬を貰いそれで解散となった。
「少し話さないか?もう少しテイジンの話を訊きたいし」
「そうね‥‥」
アモンが暗い顔をしているアリーを酒場に誘った。彼女がサガンドに戻ってからずっと何かを考え込んでいるのをアモンは見ていたのだ。
その晩、3人だけで通いなれた酒場に行き席を囲んだ。
「テイジンの事、話せるなら教えてくれよ、なんでも聞くからさ」
アモンは教えて欲しいという体でアリーが話し出すのを待った。
アリーがお気に入りのソーダ水を飲みながらゆっくりと話し始める。
「あのね、テイちゃんは朝起きたと思ったら急におかしなテンションだったの‥‥」
アリーはテイジンが告白をしたことを飛ばして話す。
「テイちゃんは自分が生まれ変わったんだ~なんて言うの」
「ほ~、そういう感じなのか」
「へ~~、生まれ変わりかぁ~ロマンあるよね」
「ははは」
マサがお道化ると3人が笑う。
「でも、本気で言うのだもの驚いちゃった」
「その口ぶりからすると、アリーはイジンさんがテイジンだって知ってたって事?」
「うん、なんとなくだけど‥‥だからテイちゃんが自分だぞって言った時に納得しちゃったのね」
それには2人とも頷いた。アリーだから気が付いたのだと。
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