47 / 62
占い
しおりを挟む改めて過疎化しているギルドの内部を見渡し、カウンターの上に掛けられたクエストの掲示板を見た。
そこには進行中のクエストとそれを受けたパーティー名が記入されているはずなのだが、空欄のままだ。誰もクエストを受けていないし、出ているパーティーはない。
「最後に教えて欲しい、アモン達のパーティーは何処に居るのか知っているか?」
バクーは首を横に振り、判らないと答える。
「く‥‥」
虚しさを感じつつもまだ希望はあると自分に言い聞かせる。僕は普段は占いなぞ絶対に信じないが、この帝都には高名な占い師が居るのだ。
僕はすぐにギルドを出てそこを尋ねた。
受付料金10金を前払いしてから薄暗い室内、占い師の座っているテーブルを挟んで向かいの椅子に腰を掛ける。
「質問は一つ金貨5枚、難しい質問は10枚だよ」
「判った、これで良いか?」
ジャララララ‥‥
僕は金貨100枚程を袋から出し、テーブルに設置された料金皿に山にして積み質問を続けた。
「知りたいのは、冒険者マモンのパーティーは今どこに居るのか?という事」
するとその中年女の占い師は両手でつかんだ水晶玉を暫く覗き込んで答える。
「マモン、マモン‥‥ふむ‥‥ここには居ないね」
「僕は何処にいるのか知りたいのだ」
「暗くて良くは見えないが‥‥きっとこれは地獄、3人一緒のようだね」
「死んでいると言いたいのか?」
「‥‥死んでいるような‥‥生きているような」
僕はバカバカしくなってしまった。どうせ占いなんて嘘に決まっているのだ。本当に占いが当たるのなら魔人襲撃を予知できただろうし‥‥。それで気が変わってもう一つ質問をしてみた。
「もう一つ、魔人は何処から来たのだ?」
「それは難しい質問だね」
「そうか?」
「そう、この世界に元々いない者の気配を追うのは特にね」
「別の世界から来たという意味かい?」
「私に判るのは元々居ないというだけだね」
元々居ないならどうやってここに現れたのか、今どこに居るのか‥‥。
「では、その魔人は今どこに居るんだ?」
「そうだね‥‥地獄にみえるね」
「え?地獄からやって来たという事なのだろうか、それとも‥‥」
「それは判らないね、だけどさっきの冒険者達と同じ風景の場所に居るように見えるね」
「‥‥まさかとは思うが、その地獄って太陽が暗いか?」
「ほほ!良く知っているね、その通りだわ」
「‥‥」
3人とも暗黒層に行っていると言う様に僕には思えた。
「ダークレイヤーか‥‥」
「ほ、なんだいそれは?」
「知らないならいい、そこの風景を詳しく教えてくれ」
「ふむ‥‥毒の沼のような湿地と死の砂漠が見えるね、荒涼として強大なモンスターが徘徊して‥‥」
「やはりそうか‥‥」
今まで占いなぞインチキだと思っていたのだが、信じても良いような気になっていた。
「ありがとう」
僕は直ぐに帝都からとんぼ返りしてサガンドの町に戻った。
0
お気に入りに追加
2,369
あなたにおすすめの小説
白馬の王子様を探していたら現れたハイスペストーカー男に尽くされてる
チャトラン
BL
母親の残した借金と日々の仕事に追われながら冴えない人生を送る20歳のフリーター男、シーナ。6人目の彼氏に殴られた上、フラれた翌日。仕事を終えてクタクタで家に帰ると、登録した覚えのない番号から怒濤のメッセージとともに、ボコボコにされた元カレの写真が送られくる。
『なんで毎回毎回クズ男ばっかり選ぶわけ?』
『冷蔵庫の中に麦茶しかないのはなんで?死にたいの?飯食って?』
『あ、電球切れてたの変えておいたから』
『とりあえずこいつゲイ風俗に売り捌いてきてもいい?』
「……ヒェ」
最悪な人生を変えてくれる白馬の王子様が欲しいって言ったら、謎のストーカーモンペ男が釣れた。話が違う。って言ってたら、まんまと絆されてしまう話。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
どこに需要があるのか分からない、人生諦めモード苦労人フリーター男(別名変人ホイホイ)と、謎のハイスペックストーカー男のできそこないラブストーリー(?)です。
一応ハッピーエンドで終わります。ゆるい気持ちで読んでください。
※未成年の飲酒や喫煙描写があります。
※ムーンライトノベルズ様でも掲載しております。
中イキできないって悲観してたら触手が現れた
AIM
恋愛
ムラムラして辛い! 中イキしたい! と思ってついに大人のおもちゃを買った。なのに、何度試してもうまくいかない。恋人いない歴=年齢なのが原因? もしかして死ぬまで中イキできない? なんて悲観していたら、突然触手が現れて、夜な夜な淫らな動きで身体を弄ってくる。そして、ついに念願の中イキができて余韻に浸っていたら、見知らぬ世界に転移させられていた。「これからはずーっと気持ちいいことしてあげる♥」え、あなた誰ですか?
粘着質な触手魔人が、快楽に弱々なチョロインを遠隔開発して転移させて溺愛するお話。アホっぽいエロと重たい愛で構成されています。
短編まとめ
あるのーる
BL
大体10000字前後で完結する話のまとめです。こちらは比較的明るめな話をまとめています。
基本的には1タイトル(題名付き傾向~(完)の付いた話まで)で区切られていますが、同じ系統で別の話があったり続きがあったりもします。その為更新順と並び順が違う場合やあまりに話数が増えたら別作品にまとめなおす可能性があります。よろしくお願いします。
寝込みを襲われて、快楽堕ち♡
すももゆず
BL
R18短編です。
とある夜に目を覚ましたら、寝込みを襲われていた。
2022.10.2 追記
完結の予定でしたが、続きができたので公開しました。たくさん読んでいただいてありがとうございます。
更新頻度は遅めですが、もう少し続けられそうなので連載中のままにさせていただきます。
※pixiv、ムーンライトノベルズ(1話のみ)でも公開中。
度を越えたシスコン共は花嫁をチェンジする
イセヤ レキ
恋愛
ルクセン侯爵の長男サージス(24)と長女ユリアナ(17)。
ガルダー侯爵の長女サラ(22)と養子のカダル(20)。
超シスコンかつド変態である兄と弟に捕らわれ調教される小鳥達の物語。
※自作品の中でも変態度MAXです。
※視点切り替わり激しく、また一人称&三人称の場合があるので見苦しい点がございます。
※がっつり近親相姦です、苦手な方はバックプリーズ。
※途中から、♥️乱用開始します。閲覧ご注意下さい。
言葉責め/調教/♥️乱用注意/ハッピーエンド/近親相姦/ヤンデレ/溺愛/らぶえっち/美形/無理矢理/処女/シスコン/中出し/変態度MAX/エロはらめぇ寄り/アナル/スライム/排泄管理/監禁/拘束/快楽堕ち/ひたすらエロ/中身はない/甘々/溺愛/執着/SM/パイズリ/媚薬/張形/スカトロ/クリ肥大/クンニ/スパンキング/剃毛/連続絶頂/公開セックス/レイプ未遂
★…サージス&ユリアナのR回です。
☆…カダル&サラのR回です。
※全98話、完結済みです。
今ならもれなくもう一本ついてきます!!
丸井まー(旧:まー)
BL
ド淫乱淫魔のアーネは、男狩りが趣味である。ある日、魔王城の訓練場で美味しそうな男達を観察していると、警備隊隊長のリザードマン・ヴィッレに捕まった。訓練場から放り出されたアーネは、ヴィッレを喰おうと決意する。
リザードマン✕淫魔。
※♡喘ぎ、イラマチオ、嘔吐、鼻から精液、男性妊娠、産卵、お漏らし、潮吹き、ヘミペニス、前立腺責め、結腸責め、フィスト、ピアッシング注意。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
兄の恋人(♂)が淫乱ビッチすぎる
すりこぎ
BL
受験生の直志の悩みは、自室での勉強に集中できないこと。原因は、隣室から聞こえてくる兄とその交際相手(男)のセックスが気になって仕方ないからだ。今日も今日とて勉強そっちのけで、彼らをオカズにせっせと自慰に励んでいたのだが――
※過去にpixivに掲載した作品です。タイトル、本文は一部変更、修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる