45 / 62
新たな旅立ち
しおりを挟む
「急がなくちゃ」
僕は大急ぎで港に向かう。すると以前設計した市庁舎が既に完成していた。やはり夢でもなく1年経過しているのだと実感する。そのまま以前僕が使っていた港湾管理事務所の自室に入った。
そこは1年前のまま何も変わって居ないようだ。僕は急いでクローゼットを開け、無造作に放置されたサンプル用に溜めてあった魔光石が入った大袋を取り出す。記憶通りキッチリ10万個は有るようだ。
「これだけあれば当面は大丈夫なはずだ」
そのデカい袋を担いで事務所を出、馬に乗り急いで秘魔の洞窟に向かう。
最深部にあるゲートを前にして一呼吸してから中に踏み込んだ。
「誰も居ない‥‥?」
いや、ベッドでリアが眠っているのが見えた。僕はそっとベッドに近寄りリアに声を掛けて起こす。
「リア‥‥リア」
「うん、ワラワを起こすのは誰じゃ?‥‥あ!随分と待ったのじゃぞ」
「待たせたようでごめんね、これ約束の魔光石だ」
リアに見えるようにしてその袋をベッドサイドに置き袋の口を開ける。
「ええ、なんて量なのじゃ!?」
「これだけあれば当分大丈夫だろう?」
「これは凄い!流石ワラワの彼氏じゃ」
「彼‥‥いや、それはともかく何かおかしなことは起こらなかったか?」
僕はぼける気分にはなれずに真剣な顔でリアに訊いた。
「いや、そなたが返ってしまってから5日経つが特になにも起こらんぞ」
「5日だって?」
ジワリと嫌な予感が脳裏をめぐる、が何となく判って来た。
「そうじゃぞ、ワラワは寂しかったぞ」
「‥‥なるほど、そういう事か」
「何がじゃ?」
「どうやらあのゲートを通ると時間が進んでしまうらしい」
「そうなのか?」
リアは知らない様だった。
「そう‥‥という事は急がないと不味いな」
「え?どうしたのじゃ、折角来てくれたのだから‥‥」
「ごめん、向こうでやり残したことがあるんだ、終わったらまた来るよ」
「そうか?忙しいのじゃなぁ」
「ごめんねリア、それじゃ」
僕はリアの手にキスをして急いでゲートをくぐってとんぼ返りした。
ゲートを出て直ぐにゲートの周辺を崩して塞ぐ。その後、先に進むと低級スケルトンが出現するのでやはり数日は立っているようだ。
急いで町に戻りマキの所に向かう。
「やあ、マキ」
「あ!また見えなくなっちゃうから心配しましたよ~」
「ごめんな、それでだ、僕がこの間ここに来たのは何日前だ?」
「えっと、一昨日だから2日です」
「ふ~ん‥‥2日ね」
僕は腕組みしながら考えた。何らかの力が働いて、ゲートを潜る時に時間が進んでしまう。
そこに一定の法則がありそうな気がしていたが‥‥。だがいつまでも考えては居られない、アリー達を探さないと。
「マキ、僕はまた行かなきゃいけない」
「ええ~そんなに直ぐに行っちゃうの~」
「ああ、アリー達を探さないと」
「あ、そういえばイジン様ってアリーさんと仲いいですもんね」
「今は悪いかも……でも行かなきゃ」
「あーそうですか、寂しいですよ」
マキが少しすねたようにいう。
「またすぐに戻って来るさ」
僕は適当な約束をしてしまった。今回は簡単に戻れるかどうかすら微妙なのだ。なにせ帝国は広い。
「ごめん、もう行くわ」
マキのおでこにキスをして酒場を出た。
僕は大急ぎで港に向かう。すると以前設計した市庁舎が既に完成していた。やはり夢でもなく1年経過しているのだと実感する。そのまま以前僕が使っていた港湾管理事務所の自室に入った。
そこは1年前のまま何も変わって居ないようだ。僕は急いでクローゼットを開け、無造作に放置されたサンプル用に溜めてあった魔光石が入った大袋を取り出す。記憶通りキッチリ10万個は有るようだ。
「これだけあれば当面は大丈夫なはずだ」
そのデカい袋を担いで事務所を出、馬に乗り急いで秘魔の洞窟に向かう。
最深部にあるゲートを前にして一呼吸してから中に踏み込んだ。
「誰も居ない‥‥?」
いや、ベッドでリアが眠っているのが見えた。僕はそっとベッドに近寄りリアに声を掛けて起こす。
「リア‥‥リア」
「うん、ワラワを起こすのは誰じゃ?‥‥あ!随分と待ったのじゃぞ」
「待たせたようでごめんね、これ約束の魔光石だ」
リアに見えるようにしてその袋をベッドサイドに置き袋の口を開ける。
「ええ、なんて量なのじゃ!?」
「これだけあれば当分大丈夫だろう?」
「これは凄い!流石ワラワの彼氏じゃ」
「彼‥‥いや、それはともかく何かおかしなことは起こらなかったか?」
僕はぼける気分にはなれずに真剣な顔でリアに訊いた。
「いや、そなたが返ってしまってから5日経つが特になにも起こらんぞ」
「5日だって?」
ジワリと嫌な予感が脳裏をめぐる、が何となく判って来た。
「そうじゃぞ、ワラワは寂しかったぞ」
「‥‥なるほど、そういう事か」
「何がじゃ?」
「どうやらあのゲートを通ると時間が進んでしまうらしい」
「そうなのか?」
リアは知らない様だった。
「そう‥‥という事は急がないと不味いな」
「え?どうしたのじゃ、折角来てくれたのだから‥‥」
「ごめん、向こうでやり残したことがあるんだ、終わったらまた来るよ」
「そうか?忙しいのじゃなぁ」
「ごめんねリア、それじゃ」
僕はリアの手にキスをして急いでゲートをくぐってとんぼ返りした。
ゲートを出て直ぐにゲートの周辺を崩して塞ぐ。その後、先に進むと低級スケルトンが出現するのでやはり数日は立っているようだ。
急いで町に戻りマキの所に向かう。
「やあ、マキ」
「あ!また見えなくなっちゃうから心配しましたよ~」
「ごめんな、それでだ、僕がこの間ここに来たのは何日前だ?」
「えっと、一昨日だから2日です」
「ふ~ん‥‥2日ね」
僕は腕組みしながら考えた。何らかの力が働いて、ゲートを潜る時に時間が進んでしまう。
そこに一定の法則がありそうな気がしていたが‥‥。だがいつまでも考えては居られない、アリー達を探さないと。
「マキ、僕はまた行かなきゃいけない」
「ええ~そんなに直ぐに行っちゃうの~」
「ああ、アリー達を探さないと」
「あ、そういえばイジン様ってアリーさんと仲いいですもんね」
「今は悪いかも……でも行かなきゃ」
「あーそうですか、寂しいですよ」
マキが少しすねたようにいう。
「またすぐに戻って来るさ」
僕は適当な約束をしてしまった。今回は簡単に戻れるかどうかすら微妙なのだ。なにせ帝国は広い。
「ごめん、もう行くわ」
マキのおでこにキスをして酒場を出た。
0
お気に入りに追加
2,369
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
異世界ライフは山あり谷あり
常盤今
ファンタジー
会社員の川端努は交通事故で死亡後に超常的存在から異世界に行くことを提案される。これは『魔法の才能』というチートぽくないスキルを手に入れたツトムが15歳に若返り異世界で年上ハーレムを目指し、冒険者として魔物と戦ったり対人バトルしたりするお話です。
※ヒロインは10話から登場します。
※火曜日と土曜日の8時30分頃更新
※小説家になろう(運営非公開措置)・カクヨムにも掲載しています。
【無断転載禁止】
独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~
さとう
ファンタジー
町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。
結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。
そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!
これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。
女神の話によれば、異世界に転生できるという。
ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。
父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。
その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。
食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。
そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる