上 下
41 / 62

決闘とは

しおりを挟む

  翌朝、目覚めたリアと共に臨時の幹部会議に臨んだ。
 出席者は全員魔族で、こちらでは貴族階級以上は魔族のようだ。

 巨大な会議場に集まった面々はそれぞれが特徴的な角を持ち、個性的な顔立ちをしていたが中にはセクシーな感じの女性の魔族も居る。

「これより緊急会議を行う」
「おー!」
「すばらしいわ!」
「流石姫巫女様!」

 パチパチパチパチ‥‥

 リアが簡潔に挨拶をすると一同が異口同音にリアを賞賛して拍手が巻き起こる。僕はこの嘘くさい演出に違和感を覚えていた。

「では、これより議題を上げるので異議があるなら挙手をするように」

 ザワザワ‥‥

 リアの言葉に会場がざわつく、いままでリアがこの手の提議をしたことが無い事が伺える。

「ここにワラワに逆らうものが居る」

 それで議場のざわつきは逆に収まった。それはその場の殆どがそれを知っていたという事の証明になっていて僕は吹きそうになった。どいつもこいつも裏切り者じゃないか‥‥。

「ワラワに無断で勝手にゲートを使い光層
ライトレイヤー
にモンスターを送り込んで混乱させたものが居る」
「‥‥」
「今回の件は光層よりの使者を介して発覚したものじゃ、よって、決闘を申し付ける」
「おー!」
「流石姫巫女様だ!」
「素晴らしい!」

 そこで一気に拍手喝采になる。僕は呆けていた。なぜ決闘になるのだろう?リアが裏切り者を粛正するのではないのか‥‥?

「では、これに反対の者はいないか?」

 誰も挙手しない。

「決まりじゃ、決闘は本日20時に行うものとする、代表者はあとで申し出ること」

 又拍手喝采が起り、それで会議はお開きになった。

「‥‥リアさん?」
「なんじゃ何か疑問でもあるのか?」

 リアがくりくりとした可愛らしい目で答える。

「決闘とはどういう事なの?」
「どちらが正論かは決闘で決めるのじゃ」
「‥‥つまり、リアが負けたらどうなるの?」
「ワラワは出ないぞ、戦うのはそなたじゃ」
「はい?」
「ゲートをそなたの好きにしたいのじゃろ?」
「はい」
「ならば決闘じゃ」

 なるほど、とは思ったが‥‥この国ではすべてが決闘で決められるという事なのだろうか。

「仮に僕がここに居なかったらリアはどうするのさ?」
「魔王が決闘にでるのじゃ」
「はい?」
「魔王」
「魔王様ってリアのなんなの?」
「下僕じゃぞ」
「それはそれは‥‥でも魔王様にかてる相手なんているのかな?」
「どうじゃろうな、その場合は相手も代理を立てるからな」

「そういう事か」

 強いものが絶対に正義という理屈なので、文句があるなら勝てばいいのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 その日の20時、決闘場は魔王都から押しかけた観衆で満杯になった。

「これより、決闘を始める」

 リアが決闘開始の短い挨拶を済ますと僕は扉を開けて素手で決闘場に入った。

 決闘は原則的に武器の使用は禁止されている為、素手で殴り合うのが唯一のルールであるらしい。相手の巨漢の魔族も素手で入場してくるのが見える。

 2人が闘技場の真ん中に歩み寄ると観衆はそれぞれの陣営に声援を送って居る。

「負けるなよー」
「お前に全財産賭けたぞー」
「おい見ろ、アレ人間じゃないか?」
「人間の癖に勇気あるなぁ、負けるなよ~」

 何故か僕を応援している観衆もいてびっくりした。この国で人族は差別されていないのだろうか?それが疑問になったが今はそれどころではない、決闘だ。

 僕の身長の2倍以上あるような巨漢の魔族が僕の頭の上から鼻息荒く吹きかける。

「では両者中央で握手」

 儀式自体はなぜか紳士的で面白かった。

「はい、それでは線まで下がれ」

 ドーーーーーン!

 後ろの開始線まで下がると大きな太鼓が一つなり決闘が始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美形な兄に執着されているので拉致後に監禁調教されました

パイ生地製作委員会
BL
玩具緊縛拘束大好き執着美形兄貴攻め×不幸体質でひたすら可哀想な弟受け

白馬の王子様を探していたら現れたハイスペストーカー男に尽くされてる

チャトラン
BL
母親の残した借金と日々の仕事に追われながら冴えない人生を送る20歳のフリーター男、シーナ。6人目の彼氏に殴られた上、フラれた翌日。仕事を終えてクタクタで家に帰ると、登録した覚えのない番号から怒濤のメッセージとともに、ボコボコにされた元カレの写真が送られくる。 『なんで毎回毎回クズ男ばっかり選ぶわけ?』 『冷蔵庫の中に麦茶しかないのはなんで?死にたいの?飯食って?』 『あ、電球切れてたの変えておいたから』 『とりあえずこいつゲイ風俗に売り捌いてきてもいい?』 「……ヒェ」 最悪な人生を変えてくれる白馬の王子様が欲しいって言ったら、謎のストーカーモンペ男が釣れた。話が違う。って言ってたら、まんまと絆されてしまう話。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ どこに需要があるのか分からない、人生諦めモード苦労人フリーター男(別名変人ホイホイ)と、謎のハイスペックストーカー男のできそこないラブストーリー(?)です。 一応ハッピーエンドで終わります。ゆるい気持ちで読んでください。 ※未成年の飲酒や喫煙描写があります。 ※ムーンライトノベルズ様でも掲載しております。

中イキできないって悲観してたら触手が現れた

AIM
恋愛
ムラムラして辛い! 中イキしたい! と思ってついに大人のおもちゃを買った。なのに、何度試してもうまくいかない。恋人いない歴=年齢なのが原因? もしかして死ぬまで中イキできない? なんて悲観していたら、突然触手が現れて、夜な夜な淫らな動きで身体を弄ってくる。そして、ついに念願の中イキができて余韻に浸っていたら、見知らぬ世界に転移させられていた。「これからはずーっと気持ちいいことしてあげる♥」え、あなた誰ですか?  粘着質な触手魔人が、快楽に弱々なチョロインを遠隔開発して転移させて溺愛するお話。アホっぽいエロと重たい愛で構成されています。

短編まとめ

あるのーる
BL
大体10000字前後で完結する話のまとめです。こちらは比較的明るめな話をまとめています。 基本的には1タイトル(題名付き傾向~(完)の付いた話まで)で区切られていますが、同じ系統で別の話があったり続きがあったりもします。その為更新順と並び順が違う場合やあまりに話数が増えたら別作品にまとめなおす可能性があります。よろしくお願いします。

寝込みを襲われて、快楽堕ち♡

すももゆず
BL
R18短編です。 とある夜に目を覚ましたら、寝込みを襲われていた。 2022.10.2 追記 完結の予定でしたが、続きができたので公開しました。たくさん読んでいただいてありがとうございます。 更新頻度は遅めですが、もう少し続けられそうなので連載中のままにさせていただきます。 ※pixiv、ムーンライトノベルズ(1話のみ)でも公開中。

度を越えたシスコン共は花嫁をチェンジする

イセヤ レキ
恋愛
ルクセン侯爵の長男サージス(24)と長女ユリアナ(17)。 ガルダー侯爵の長女サラ(22)と養子のカダル(20)。 超シスコンかつド変態である兄と弟に捕らわれ調教される小鳥達の物語。 ※自作品の中でも変態度MAXです。 ※視点切り替わり激しく、また一人称&三人称の場合があるので見苦しい点がございます。 ※がっつり近親相姦です、苦手な方はバックプリーズ。 ※途中から、♥️乱用開始します。閲覧ご注意下さい。 言葉責め/調教/♥️乱用注意/ハッピーエンド/近親相姦/ヤンデレ/溺愛/らぶえっち/美形/無理矢理/処女/シスコン/中出し/変態度MAX/エロはらめぇ寄り/アナル/スライム/排泄管理/監禁/拘束/快楽堕ち/ひたすらエロ/中身はない/甘々/溺愛/執着/SM/パイズリ/媚薬/張形/スカトロ/クリ肥大/クンニ/スパンキング/剃毛/連続絶頂/公開セックス/レイプ未遂 ★…サージス&ユリアナのR回です。 ☆…カダル&サラのR回です。 ※全98話、完結済みです。

今ならもれなくもう一本ついてきます!!

丸井まー(旧:まー)
BL
ド淫乱淫魔のアーネは、男狩りが趣味である。ある日、魔王城の訓練場で美味しそうな男達を観察していると、警備隊隊長のリザードマン・ヴィッレに捕まった。訓練場から放り出されたアーネは、ヴィッレを喰おうと決意する。 リザードマン✕淫魔。 ※♡喘ぎ、イラマチオ、嘔吐、鼻から精液、男性妊娠、産卵、お漏らし、潮吹き、ヘミペニス、前立腺責め、結腸責め、フィスト、ピアッシング注意。 ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

兄の恋人(♂)が淫乱ビッチすぎる

すりこぎ
BL
受験生の直志の悩みは、自室での勉強に集中できないこと。原因は、隣室から聞こえてくる兄とその交際相手(男)のセックスが気になって仕方ないからだ。今日も今日とて勉強そっちのけで、彼らをオカズにせっせと自慰に励んでいたのだが―― ※過去にpixivに掲載した作品です。タイトル、本文は一部変更、修正しています。

処理中です...