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探索
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行くとは言ってしまったが、実際に出来る気は全くしなかった。
「どうしよう」
僕はカチャから預かった地図を見ながら考え込んでいた。
彼女から聞いていた事前の情報によると、元々この島にも巫女を守る戦士階級のエルフ族も居たのだけど、モンスターとの戦闘と巫女を派遣する旅で殆ど行方不明になったらしい。
モンスターの数は不明でかつ随時ポップするという悪質なもので、さらに倒すとどんどん強力になり上位種が出現するという。それで、なるべくモンスターに見つからないように潜伏しながらの調査を行う事になった。
洞窟を抜けてから物陰に隠れながら慎重に移動していると、あちこちにガルーダの群れが飛んでいるのがみえる。できるだけ戦闘はさけてモンスターがポップする原因を探し潰すしかない。
「この地図だと今一しっくりこないね」
「そうなの?」
アリーは首を傾げる。アリーは初めからマップ関係は疎かったが、僕は冒険者時代にマップ作製系のスキルも特訓してあったので、マップを見ただけで勘が働くくらいには鍛えてあったのが役に立つ。
「う~ん‥‥でもここ、ここをもうちょっと‥‥」
僕は独り言を言いながらペンを出して自分でその地図に書き加える。すると自分の中でマップクリエイト系の技能が発動するのが判った。ペンがスラスラと動いて地図上に攻略困難地区を書き加えていくのだ。
初めは漠然と、次第にペンがノってくると勝手に指が動いて詳細にマップに書き込んでいく。
「あれ?僕そんなに上位スキルのハズはないのだけど」
少しすると自分でもびっくりするくらい完璧な地図が出来上がっていた。
「イジンさん!なにこれスゴーイ!」
アリーが驚くのは当然、その地図には最上位のマップクリエイトスキル「予見」でしか描けない情報が沢山盛り込んであったのだ。例えば歴史的遺物とか重要物の場所、それに付随する必要なアイテム類や知識等々。この地図をもし道具屋で売っていたとすれば目玉が飛び出る価格になるはずだ。
「ええ‥‥ここ!ここを見てくれ!」
「あら?もしかしてこれが今回のクエストのゴールかしらね」
地図にはモンスター出現ポイントを示す記号があり、補足がびっしりと書き込んである。
「えーと、なになに‥‥このアナザーゲートはモンスターを倒すたびに出現位置を変えることがあります、なお、不定期でゲートが閉じると以後3時間だけはモンスターが弱体化し攻略しやすくなります‥‥」
「‥‥ゲートを破壊することは不可能ですが無力化することは可能、無力化には白魔法のエナジーシャワーによる中和を行う必要があります、だってさ」
「それなら一日1回だけ使えるわ!」
「本当か!やったな!」
僕は凄くうれしくなって思わず大声が出てしまった。
「しまった‥‥」
自分の手で口を押え二人でしゃがんで周囲を見回すがガルーダに発見されている様子はなかった。
「危なかった‥‥今後気を付けよう」
「うん、でもその地図スゴイわよ、だって‥‥」
アリーのいう事はもっともだ。あちこちに太古の遺跡だの、隠された巨大地下ダンジョンだのが描き加えてあるのだ。勿論僕が勝手に描いたものなのだけど‥‥。
「僕にこんなスキルがあったんだな‥‥」
「ねぇ、イジンさんは他にも沢山奇跡みたいな事をやってきたのではなくて?」
「そうかな‥‥」
アリーから言われて、改めて考えてみたら確かに思い当たる節はいくつもあった。それまでは単なる偶然で片付けていたのだけど、この地図を見る限りそれは絶対にありえないと確信する。
「もしかして、あの長老の言っていた事って本当なのか?」
「だったとしたら、もうクリアしたも同然じゃないの?」
「確かに」
それでも僕は油断して失敗するのが嫌だったので潜伏しながら進んでいった。
「どうしよう」
僕はカチャから預かった地図を見ながら考え込んでいた。
彼女から聞いていた事前の情報によると、元々この島にも巫女を守る戦士階級のエルフ族も居たのだけど、モンスターとの戦闘と巫女を派遣する旅で殆ど行方不明になったらしい。
モンスターの数は不明でかつ随時ポップするという悪質なもので、さらに倒すとどんどん強力になり上位種が出現するという。それで、なるべくモンスターに見つからないように潜伏しながらの調査を行う事になった。
洞窟を抜けてから物陰に隠れながら慎重に移動していると、あちこちにガルーダの群れが飛んでいるのがみえる。できるだけ戦闘はさけてモンスターがポップする原因を探し潰すしかない。
「この地図だと今一しっくりこないね」
「そうなの?」
アリーは首を傾げる。アリーは初めからマップ関係は疎かったが、僕は冒険者時代にマップ作製系のスキルも特訓してあったので、マップを見ただけで勘が働くくらいには鍛えてあったのが役に立つ。
「う~ん‥‥でもここ、ここをもうちょっと‥‥」
僕は独り言を言いながらペンを出して自分でその地図に書き加える。すると自分の中でマップクリエイト系の技能が発動するのが判った。ペンがスラスラと動いて地図上に攻略困難地区を書き加えていくのだ。
初めは漠然と、次第にペンがノってくると勝手に指が動いて詳細にマップに書き込んでいく。
「あれ?僕そんなに上位スキルのハズはないのだけど」
少しすると自分でもびっくりするくらい完璧な地図が出来上がっていた。
「イジンさん!なにこれスゴーイ!」
アリーが驚くのは当然、その地図には最上位のマップクリエイトスキル「予見」でしか描けない情報が沢山盛り込んであったのだ。例えば歴史的遺物とか重要物の場所、それに付随する必要なアイテム類や知識等々。この地図をもし道具屋で売っていたとすれば目玉が飛び出る価格になるはずだ。
「ええ‥‥ここ!ここを見てくれ!」
「あら?もしかしてこれが今回のクエストのゴールかしらね」
地図にはモンスター出現ポイントを示す記号があり、補足がびっしりと書き込んである。
「えーと、なになに‥‥このアナザーゲートはモンスターを倒すたびに出現位置を変えることがあります、なお、不定期でゲートが閉じると以後3時間だけはモンスターが弱体化し攻略しやすくなります‥‥」
「‥‥ゲートを破壊することは不可能ですが無力化することは可能、無力化には白魔法のエナジーシャワーによる中和を行う必要があります、だってさ」
「それなら一日1回だけ使えるわ!」
「本当か!やったな!」
僕は凄くうれしくなって思わず大声が出てしまった。
「しまった‥‥」
自分の手で口を押え二人でしゃがんで周囲を見回すがガルーダに発見されている様子はなかった。
「危なかった‥‥今後気を付けよう」
「うん、でもその地図スゴイわよ、だって‥‥」
アリーのいう事はもっともだ。あちこちに太古の遺跡だの、隠された巨大地下ダンジョンだのが描き加えてあるのだ。勿論僕が勝手に描いたものなのだけど‥‥。
「僕にこんなスキルがあったんだな‥‥」
「ねぇ、イジンさんは他にも沢山奇跡みたいな事をやってきたのではなくて?」
「そうかな‥‥」
アリーから言われて、改めて考えてみたら確かに思い当たる節はいくつもあった。それまでは単なる偶然で片付けていたのだけど、この地図を見る限りそれは絶対にありえないと確信する。
「もしかして、あの長老の言っていた事って本当なのか?」
「だったとしたら、もうクリアしたも同然じゃないの?」
「確かに」
それでも僕は油断して失敗するのが嫌だったので潜伏しながら進んでいった。
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