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尋問
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レガーが決意したあとは早かった。
すぐさま白の牙のメンバーが王宮に呼び出される事になった。
「私は特務室長のレガーである」
「は、我々は……」
「よい、言わずとも調べはついている」
「は……」
王宮に呼び出された当初、白の牙の面々は無邪気に喜んでさえいた。
史上最短でAランク冒険者に成ったことで褒美の一つでも貰えるのではないか?……などと話しながらいざ王宮に参上したら雰囲気は全くの逆であった。
「ここに全ての装備を置いていくように」
王宮別館の入り口で全ての装備を取られて下着姿に近い格好でそのまま部屋に通されたのだ。
「調べ……ですか……」
その語感に、犯罪者扱いを受けているのでは無いかと思ってしまうほどだ。
……我々はギルドの英雄なのだ!そんな扱いをされるわけがない……という思い込みが彼らを辛うじて平静に保たせていた。
「まず……今回急に呼び出したことを詫たい、申し訳無かった」
レガーは彼にしては珍しく髭を触らずに真面目な顔をして頭まで下げて謝罪していた。
「いえ、良いのですが……服を……」
「これは失礼した、すぐに用意させよう」
レガーがパチンと指を鳴らすと使用人がさっとやってきて、5名夫々にツナギの衣服を手渡した。
「粗末な物で申し訳ないが王国も財政難なのだ、それで許して頂きたい」
……これではまるで辱めではないか……そんな不快な思考が5名の脳裏に過る中、着替は直ぐに済んだ。
着替えてみるとまるで囚人服のようである。
薄いグレーの粗末なツナギで、胸のところには呪文が縫い込まれている。
「それで早速本題に入りたいのであるが……その前にそちらにお座りください」
殺風景な部屋に置かれた椅子が使用人によって運ばれて5名の後ろに設置された。
「どうぞ」
5名は促されるままに椅子に座るとシビれて身体から力が抜けていった。
「く……そんな……」
「ここここ、これは何故こんな扱いを……」
「やめてやめて……」
「ああ……そんな……」
「本当に申し訳ない、これから話すことは口外厳禁であるゆえ……万が一口外された場合には死んで頂くことになるのであるが……」
5名が拘束椅子に縛られて魔力を奪われる中で、レガーは謝罪の言葉とは正反対に苛烈な尋問を始めた。
「君達の元パーティー仲間であるラセル君についての尋問を行う」
「は?!」
ニコルは驚きのあまり顎が外れそうになった。
「因みに、この椅子とその服は嘘を付くと君達を死に追いやる魔法が掛けてあるので、くれぐれも真実を述べるようにお願いしたい……君達のためにも」
「……ひいい」
気の弱い新入りの荷物持ちの大男が悲鳴をあげて小便をもらす。
「そんなに恐れなくとも良い、真実さえ話して貰えれば無事に開放することを約束する」
「わ、判った……」
「宜しい」
ニコルが即承諾するとレガーの顔つきはやや緩んだ。
「ではまず……ラセル君の特殊なスキルについて何も知らぬという者は答えよ」
「はい……」
すぐさま新入りの大男が答えた。
「ふむ、それは真実のようだね、良いでしょう……君は除外します」
レガーが目配せをすると使用人が二人やってきて彼を抱えて退室をする。
「では、残りの君たちに質問をする、彼の特殊なスキルについて一番知っているのは誰かな?」
「俺ではない……」
「私でもないわ!」
「あたしもそれほどは知りません」
「あたしかも」
そこで処刑椅子の反応が無いことで皆がホッと安堵する。
「ふむ……いい答えだ、今後ともその調子で頼みます、ではそこの赤魔道士のアリス君だったかな?どんな事を知っているのか具体的に知っていることを全て話してほしい」
「はい……彼はダンジョンのトラップを時々イジることが有りました」
「……そんな事があったのか、よし続けて」
「そして、呪いの指輪を装着してなにかスキルを使うと突然途轍もなく強くなりました」
「それで?」
「その力でニコル様との決闘で勝利したのでは無いかと考えます」
「うむ良いぞ、他には?」
「そのくらいです」
処刑椅子の反応がなく、彼女が真実を語ったことを証明したようだった。
「そうかそうか……なるほど……」
レガーは初めて顎髭を触りなが満足気に歩き回った。
「それで最後の質問であるが、今の話を他の誰かに話したことはあるか?」
「いいえ」
「ありません」
「ないです」
「ない」
またしても椅子はピクリとも反応しなかった。
「うむうむ、とても良い返事だ……」
レガーが上機嫌になるのが肌感覚で伝わり四人はホッとした。
「では今回ご協力頂いたお礼に皆さんにプレゼントをいたします、詰まらぬ物ですがお受け取り下さい」
そう言うと拘束された四人の前に使用人が夫々宝箱を持ちやってくる。
「ではどうぞ」
レガーが言うと同時に箱が四人に向けて開けられ、中から煙が噴出した。
「あ……う……」
「え……え……」
「は……あ……」
「う……ん……う」
忘却のバラの毒を浴び、完全に意識が混濁した四人を見てレガーは頷いた。
「よし、全員連れて行け」
レガーの指示で四人は椅子から立たされて、脇を担がれ運ばれいった。
暫くして室長室に戻ると直ぐにリーナがやってきた。
「リーナです」
開放されたままの室長室の扉の外からリーナが声をかける。
「入れ」
「リーナ入ります」
敬礼と共に彼女は入室し、扉を締めた。
「室長、彼らはどうなるのですか?」
「君が気に病むことはないのだぞ、リーナ」
「いえ、今後の作戦行動の為にお聞きしたく」
「そうか、彼らは記憶を完全に消されて1から人生をやり直す事になるだろうな」
「施設送り……でしょうか?」
「そうだな、そこで人生の基礎を教え込まれて一般人として新しい人生を始めるだろう」
「それで、あの椅子は本当に処刑する機能が有るのですか?」
「ふふ、鋭いね……そんなものはないよ、嘘を付くと多少チクリとする程度だ」
「ふふ、それは良かったです」
「私はあら事が嫌いなのだ」
レガーが沈痛な面持ちでいいながら髭を撫でる様にリーナはホッとした。
この人は決して悪人ではないのだ……と。
すぐさま白の牙のメンバーが王宮に呼び出される事になった。
「私は特務室長のレガーである」
「は、我々は……」
「よい、言わずとも調べはついている」
「は……」
王宮に呼び出された当初、白の牙の面々は無邪気に喜んでさえいた。
史上最短でAランク冒険者に成ったことで褒美の一つでも貰えるのではないか?……などと話しながらいざ王宮に参上したら雰囲気は全くの逆であった。
「ここに全ての装備を置いていくように」
王宮別館の入り口で全ての装備を取られて下着姿に近い格好でそのまま部屋に通されたのだ。
「調べ……ですか……」
その語感に、犯罪者扱いを受けているのでは無いかと思ってしまうほどだ。
……我々はギルドの英雄なのだ!そんな扱いをされるわけがない……という思い込みが彼らを辛うじて平静に保たせていた。
「まず……今回急に呼び出したことを詫たい、申し訳無かった」
レガーは彼にしては珍しく髭を触らずに真面目な顔をして頭まで下げて謝罪していた。
「いえ、良いのですが……服を……」
「これは失礼した、すぐに用意させよう」
レガーがパチンと指を鳴らすと使用人がさっとやってきて、5名夫々にツナギの衣服を手渡した。
「粗末な物で申し訳ないが王国も財政難なのだ、それで許して頂きたい」
……これではまるで辱めではないか……そんな不快な思考が5名の脳裏に過る中、着替は直ぐに済んだ。
着替えてみるとまるで囚人服のようである。
薄いグレーの粗末なツナギで、胸のところには呪文が縫い込まれている。
「それで早速本題に入りたいのであるが……その前にそちらにお座りください」
殺風景な部屋に置かれた椅子が使用人によって運ばれて5名の後ろに設置された。
「どうぞ」
5名は促されるままに椅子に座るとシビれて身体から力が抜けていった。
「く……そんな……」
「ここここ、これは何故こんな扱いを……」
「やめてやめて……」
「ああ……そんな……」
「本当に申し訳ない、これから話すことは口外厳禁であるゆえ……万が一口外された場合には死んで頂くことになるのであるが……」
5名が拘束椅子に縛られて魔力を奪われる中で、レガーは謝罪の言葉とは正反対に苛烈な尋問を始めた。
「君達の元パーティー仲間であるラセル君についての尋問を行う」
「は?!」
ニコルは驚きのあまり顎が外れそうになった。
「因みに、この椅子とその服は嘘を付くと君達を死に追いやる魔法が掛けてあるので、くれぐれも真実を述べるようにお願いしたい……君達のためにも」
「……ひいい」
気の弱い新入りの荷物持ちの大男が悲鳴をあげて小便をもらす。
「そんなに恐れなくとも良い、真実さえ話して貰えれば無事に開放することを約束する」
「わ、判った……」
「宜しい」
ニコルが即承諾するとレガーの顔つきはやや緩んだ。
「ではまず……ラセル君の特殊なスキルについて何も知らぬという者は答えよ」
「はい……」
すぐさま新入りの大男が答えた。
「ふむ、それは真実のようだね、良いでしょう……君は除外します」
レガーが目配せをすると使用人が二人やってきて彼を抱えて退室をする。
「では、残りの君たちに質問をする、彼の特殊なスキルについて一番知っているのは誰かな?」
「俺ではない……」
「私でもないわ!」
「あたしもそれほどは知りません」
「あたしかも」
そこで処刑椅子の反応が無いことで皆がホッと安堵する。
「ふむ……いい答えだ、今後ともその調子で頼みます、ではそこの赤魔道士のアリス君だったかな?どんな事を知っているのか具体的に知っていることを全て話してほしい」
「はい……彼はダンジョンのトラップを時々イジることが有りました」
「……そんな事があったのか、よし続けて」
「そして、呪いの指輪を装着してなにかスキルを使うと突然途轍もなく強くなりました」
「それで?」
「その力でニコル様との決闘で勝利したのでは無いかと考えます」
「うむ良いぞ、他には?」
「そのくらいです」
処刑椅子の反応がなく、彼女が真実を語ったことを証明したようだった。
「そうかそうか……なるほど……」
レガーは初めて顎髭を触りなが満足気に歩き回った。
「それで最後の質問であるが、今の話を他の誰かに話したことはあるか?」
「いいえ」
「ありません」
「ないです」
「ない」
またしても椅子はピクリとも反応しなかった。
「うむうむ、とても良い返事だ……」
レガーが上機嫌になるのが肌感覚で伝わり四人はホッとした。
「では今回ご協力頂いたお礼に皆さんにプレゼントをいたします、詰まらぬ物ですがお受け取り下さい」
そう言うと拘束された四人の前に使用人が夫々宝箱を持ちやってくる。
「ではどうぞ」
レガーが言うと同時に箱が四人に向けて開けられ、中から煙が噴出した。
「あ……う……」
「え……え……」
「は……あ……」
「う……ん……う」
忘却のバラの毒を浴び、完全に意識が混濁した四人を見てレガーは頷いた。
「よし、全員連れて行け」
レガーの指示で四人は椅子から立たされて、脇を担がれ運ばれいった。
暫くして室長室に戻ると直ぐにリーナがやってきた。
「リーナです」
開放されたままの室長室の扉の外からリーナが声をかける。
「入れ」
「リーナ入ります」
敬礼と共に彼女は入室し、扉を締めた。
「室長、彼らはどうなるのですか?」
「君が気に病むことはないのだぞ、リーナ」
「いえ、今後の作戦行動の為にお聞きしたく」
「そうか、彼らは記憶を完全に消されて1から人生をやり直す事になるだろうな」
「施設送り……でしょうか?」
「そうだな、そこで人生の基礎を教え込まれて一般人として新しい人生を始めるだろう」
「それで、あの椅子は本当に処刑する機能が有るのですか?」
「ふふ、鋭いね……そんなものはないよ、嘘を付くと多少チクリとする程度だ」
「ふふ、それは良かったです」
「私はあら事が嫌いなのだ」
レガーが沈痛な面持ちでいいながら髭を撫でる様にリーナはホッとした。
この人は決して悪人ではないのだ……と。
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