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結婚
第五十話
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神父の前に着くと、誓いの言葉を交わす。
『久世保。汝は健やかなる時も病める時も、桜井桃を妻とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』
「誓います」
『桜井桃。汝は健やかなる時も病める時も、久世保を夫とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』
「誓います」
『それでは、指輪の交換を』
奨の店で作ってもらったオーダーメイドの指輪。
普通ならペアリングとかを用意するんだろうけど、今回はお互いがデザインしたこの世に一つだけの結婚指輪。
相手が特別であるが故のオンリーワンを追求した結果だった。
『新郎から新婦へ』
保が桃のためにデザインした指輪は、丸い輪ではなく、花の形をした輪で、学校にも付けて行きやすいように小さなダイヤモンドが一つ付いている細身のシンプルな物だった。
「こういうの好きだろ?」
「すごい好き。何でも知ってるね」
「桃の事なら何でも知ってる」
『次は新婦から新郎へ』
桃が保のためにデザインした指輪は、太めの丸い輪で、装飾は何もついていなかった。ただただシンプルな物だった。
「あたしはシンプルに攻めてみた」
「いいじゃん。学校にも付けて行けそう」
「でしょ。あとね、裏見て」
「裏?」
指輪の裏を見ると、文字が掘ってあった。
【I like you more than anything else in the world.】
「世界中で一番好き…」
「うん」
「本当に?」
「うん」
「ありがとう」
『では、最後に番の契りを』
桃は後ろを向き、項を晒す。
桃の項を噛めば、保と桃は一生離れられない。
「いくぞ」
「いいよ」
「後悔しないな?」
「うん」
保は最終確認を取って噛んだ。
もう桃を離してやれない。
というか、離すつもりは毛頭ない。
桃の項には保の噛み痕がくっきり残っていた。
「もう離してやれないからな」
「離さないでよね」
「離すつもりはない」
「幸せになろうね」
「もちろんだ」
「大好き、保」
初めて桃は保を名前で呼んだ。
保は驚いて桃を見る。
桃は真っ赤な顔でそっぽを向いている。
「こっち向いてもう一回言ってくれないか?」
「言うか、馬鹿」
最初はあんなにツンツンしていたのに、こんなにもデレる姫になるなんて。
保は自分のやってきたことは間違っていなかったと確信する。
(これから続く生活でもっとデレてもらおう)
「とりあえず宣言しとく。今夜は寝かさないから」
「えっ!?」
「まだ夜までは時間がある。覚悟しておくんだな」
「…………」
桃は式が終わるまで真っ赤な顔のままだった。
『久世保。汝は健やかなる時も病める時も、桜井桃を妻とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』
「誓います」
『桜井桃。汝は健やかなる時も病める時も、久世保を夫とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』
「誓います」
『それでは、指輪の交換を』
奨の店で作ってもらったオーダーメイドの指輪。
普通ならペアリングとかを用意するんだろうけど、今回はお互いがデザインしたこの世に一つだけの結婚指輪。
相手が特別であるが故のオンリーワンを追求した結果だった。
『新郎から新婦へ』
保が桃のためにデザインした指輪は、丸い輪ではなく、花の形をした輪で、学校にも付けて行きやすいように小さなダイヤモンドが一つ付いている細身のシンプルな物だった。
「こういうの好きだろ?」
「すごい好き。何でも知ってるね」
「桃の事なら何でも知ってる」
『次は新婦から新郎へ』
桃が保のためにデザインした指輪は、太めの丸い輪で、装飾は何もついていなかった。ただただシンプルな物だった。
「あたしはシンプルに攻めてみた」
「いいじゃん。学校にも付けて行けそう」
「でしょ。あとね、裏見て」
「裏?」
指輪の裏を見ると、文字が掘ってあった。
【I like you more than anything else in the world.】
「世界中で一番好き…」
「うん」
「本当に?」
「うん」
「ありがとう」
『では、最後に番の契りを』
桃は後ろを向き、項を晒す。
桃の項を噛めば、保と桃は一生離れられない。
「いくぞ」
「いいよ」
「後悔しないな?」
「うん」
保は最終確認を取って噛んだ。
もう桃を離してやれない。
というか、離すつもりは毛頭ない。
桃の項には保の噛み痕がくっきり残っていた。
「もう離してやれないからな」
「離さないでよね」
「離すつもりはない」
「幸せになろうね」
「もちろんだ」
「大好き、保」
初めて桃は保を名前で呼んだ。
保は驚いて桃を見る。
桃は真っ赤な顔でそっぽを向いている。
「こっち向いてもう一回言ってくれないか?」
「言うか、馬鹿」
最初はあんなにツンツンしていたのに、こんなにもデレる姫になるなんて。
保は自分のやってきたことは間違っていなかったと確信する。
(これから続く生活でもっとデレてもらおう)
「とりあえず宣言しとく。今夜は寝かさないから」
「えっ!?」
「まだ夜までは時間がある。覚悟しておくんだな」
「…………」
桃は式が終わるまで真っ赤な顔のままだった。
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