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おお!っと王都で驚いた
シッター見習いは一言多い
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ドロテアが失礼なことを言います。ご了承ください。
─────────────────────────────
2週間経って少し体力が戻って来た。
あんまり引き伸ばすとマインラートくんが大変なので、そろそろ面接をする。ドロテアが引き取られた子爵家とはフィールがやり取りしたけど、人攫いから助け出した隊長だから、あちらもすんなり許可してくれた。
ミュラーの方は長男の学友として一緒に学校へ通っている。卒業したら子爵家の長男の片腕になる予定だそうだ。
「ドロテアは将来ベビーシッターになるの?」
「いいえ、まだ決めてません。まずは一生懸命働きながら将来について考えるつもりです」
あれぇ?
なんだか以前のドロテアじゃないみたい。
あの頃はまだ11歳で子供だったから当然かも知れないけど、ずいぶん真面目な受け答え……。
「チサト先生がもしまた喋れなくなったら対応できます!」
得意げに言う姿はやっぱりドロテアだった。
フィールの周りの気温が一気に下がる。
「ドロテア、それ言うと採用されないよ?」
「え!?」
「……チサトはもうずっと喋れるし、そんな事をしようと考える者をそばに置く気にはなれない」
「待って下さい!! 申し訳ありません!! お願いします! 雇って下さい!!」
子爵家でも余計な一言を言っては叱られているらしい。しょうがないなぁ。
「フィール、おれドロテアを放っておけないよ。おれもちゃんと子育てするし、ドロテアは見習いって事で雇ってもらえない?」
フィールはおれの願いを聞き入れて渋々ながら採用してくれた。未熟でも2人がかりならちゃんとできる! ……はず。年齢的にも見習いにしかなれないんだけど。
まずはマインラートくんも受けたと言う初心者向けベビーシッター講習を受けてもらってから引き継ぎをする。金銭的に余裕があるのでマインラートくんには都合のいいタイミングまで来てもらう。しっかりフォローして下さい。
ドロテアのベビーシッター講習が通常の倍、まる1週間かかったのはお調子者だかららしい。
……心配になってきた。
「どーて、よよしくね?」
「その呼び方やめて!! テアにして!!」」
ドロテアが言えないハルトがどーて、と言うから笑ってしまった。どどど童貞ちゃうわ!って言いたくなるよね。
─────────────────────────────
「えっ!? ラートさんの旦那様、あの英雄エーギンハルトなんですか!?」
「そ、そう……、だよ」
「すごい! 英雄の嫁!! 良いなぁ」
出産予想日まで1週間となった今日でマインラートくんは退職。そこでやっとドロテアだけが知らなかったマインラートくんは英雄の嫁、と言う事実を伝えた。
「格好良いですよね。でも、ボクはかっこよくて収入が安定してて優しい人の嫁になるのが夢です!」
……両親を亡くして人さらいに売られた境遇を考えれば当然の希望かも知れないけど、その言い方は失礼な気がする。
「それじゃあ傭兵や騎士はダメだね」
「ドロテア、要求ばかりじゃ相手にされないよ?」
「夢を語るのがダメなんですか?」
エーギンハルトは傭兵や護衛が仕事なので、マインラートくんから冷気が漂う。うん、ダメ出し系は失礼だよね。
でもピンときていないようだ。
まだ成人前だし、好きな人ができたら変わるかな?
「あ、うんち?」
おれの胸元で、あーちゃんが赤い顔で頑張っているのに気づいたドロテアが言う。
だいぶ手際が良くなって来ていて余計な事さえ言わなければ良いシッターになれると思うんだけど、本人はそこまで望んでいるのかどうか。
おむつ替えをしてもらったあーちゃんを受け取ると、ハルトとヨハンがお昼寝から起きた。
「あーちゃ、だっこしゅる~」
「今、おっぱい飲み始めたところだよ」
「みたいでしゅ! みしぇてください!」
興味津々なヨハンに飲んでるところを見せるとめちゃくちゃガン見してて笑ってしまった。
「おいしでしゅか?」
くりん!
しぴぴぴぴ……
声をかけられると飲んでる途中でもそっちを向いてしまうので、口が離れて母乳がぴゅーっと出る。
「ヨハン、あーちゃん、声かけると気になって飲むのやめちゃうから、しーね?」
「あい!」
くりん!
「あ……」
ハルトにしーってやられてヨハンが両手で口を押さえる。かわいいなぁ、もう!!
あーちゃんもおっぱいの後でも起きて遊ぶようになったのでげっぷをさせてからハルトの膝に乗せる。横からヨハンが覗き込む。距離が近くて可愛くて、最近はタブレットを引っ張り出して写真を撮っている。バッテリーが心配だったけど不思議な事に減らないのだ。ありがたい異世界仕様。
ヨハンの膝に乗せたらあーちゃんがとても微妙な顔をして、なぜかヨハンも同じ顔をした。激写!!
迎えに来たクレメンスさんに画像を見せたら笑い転げていた。
プリントアウトできないから画家のリヴァさんに見せて描いてもらうつもりだ。
気に入ったのしか描かないらしいけど、きっと気に入ると思う。うちの子供達をモデルにした天使シリーズはちょっとセクシーな妄想シリーズ以上にバカ売れらしいし、描いてもらえるだろうと気軽に考えています。
……超有名人気画家、なんだけどね。(笑)
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2週間経って少し体力が戻って来た。
あんまり引き伸ばすとマインラートくんが大変なので、そろそろ面接をする。ドロテアが引き取られた子爵家とはフィールがやり取りしたけど、人攫いから助け出した隊長だから、あちらもすんなり許可してくれた。
ミュラーの方は長男の学友として一緒に学校へ通っている。卒業したら子爵家の長男の片腕になる予定だそうだ。
「ドロテアは将来ベビーシッターになるの?」
「いいえ、まだ決めてません。まずは一生懸命働きながら将来について考えるつもりです」
あれぇ?
なんだか以前のドロテアじゃないみたい。
あの頃はまだ11歳で子供だったから当然かも知れないけど、ずいぶん真面目な受け答え……。
「チサト先生がもしまた喋れなくなったら対応できます!」
得意げに言う姿はやっぱりドロテアだった。
フィールの周りの気温が一気に下がる。
「ドロテア、それ言うと採用されないよ?」
「え!?」
「……チサトはもうずっと喋れるし、そんな事をしようと考える者をそばに置く気にはなれない」
「待って下さい!! 申し訳ありません!! お願いします! 雇って下さい!!」
子爵家でも余計な一言を言っては叱られているらしい。しょうがないなぁ。
「フィール、おれドロテアを放っておけないよ。おれもちゃんと子育てするし、ドロテアは見習いって事で雇ってもらえない?」
フィールはおれの願いを聞き入れて渋々ながら採用してくれた。未熟でも2人がかりならちゃんとできる! ……はず。年齢的にも見習いにしかなれないんだけど。
まずはマインラートくんも受けたと言う初心者向けベビーシッター講習を受けてもらってから引き継ぎをする。金銭的に余裕があるのでマインラートくんには都合のいいタイミングまで来てもらう。しっかりフォローして下さい。
ドロテアのベビーシッター講習が通常の倍、まる1週間かかったのはお調子者だかららしい。
……心配になってきた。
「どーて、よよしくね?」
「その呼び方やめて!! テアにして!!」」
ドロテアが言えないハルトがどーて、と言うから笑ってしまった。どどど童貞ちゃうわ!って言いたくなるよね。
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「えっ!? ラートさんの旦那様、あの英雄エーギンハルトなんですか!?」
「そ、そう……、だよ」
「すごい! 英雄の嫁!! 良いなぁ」
出産予想日まで1週間となった今日でマインラートくんは退職。そこでやっとドロテアだけが知らなかったマインラートくんは英雄の嫁、と言う事実を伝えた。
「格好良いですよね。でも、ボクはかっこよくて収入が安定してて優しい人の嫁になるのが夢です!」
……両親を亡くして人さらいに売られた境遇を考えれば当然の希望かも知れないけど、その言い方は失礼な気がする。
「それじゃあ傭兵や騎士はダメだね」
「ドロテア、要求ばかりじゃ相手にされないよ?」
「夢を語るのがダメなんですか?」
エーギンハルトは傭兵や護衛が仕事なので、マインラートくんから冷気が漂う。うん、ダメ出し系は失礼だよね。
でもピンときていないようだ。
まだ成人前だし、好きな人ができたら変わるかな?
「あ、うんち?」
おれの胸元で、あーちゃんが赤い顔で頑張っているのに気づいたドロテアが言う。
だいぶ手際が良くなって来ていて余計な事さえ言わなければ良いシッターになれると思うんだけど、本人はそこまで望んでいるのかどうか。
おむつ替えをしてもらったあーちゃんを受け取ると、ハルトとヨハンがお昼寝から起きた。
「あーちゃ、だっこしゅる~」
「今、おっぱい飲み始めたところだよ」
「みたいでしゅ! みしぇてください!」
興味津々なヨハンに飲んでるところを見せるとめちゃくちゃガン見してて笑ってしまった。
「おいしでしゅか?」
くりん!
しぴぴぴぴ……
声をかけられると飲んでる途中でもそっちを向いてしまうので、口が離れて母乳がぴゅーっと出る。
「ヨハン、あーちゃん、声かけると気になって飲むのやめちゃうから、しーね?」
「あい!」
くりん!
「あ……」
ハルトにしーってやられてヨハンが両手で口を押さえる。かわいいなぁ、もう!!
あーちゃんもおっぱいの後でも起きて遊ぶようになったのでげっぷをさせてからハルトの膝に乗せる。横からヨハンが覗き込む。距離が近くて可愛くて、最近はタブレットを引っ張り出して写真を撮っている。バッテリーが心配だったけど不思議な事に減らないのだ。ありがたい異世界仕様。
ヨハンの膝に乗せたらあーちゃんがとても微妙な顔をして、なぜかヨハンも同じ顔をした。激写!!
迎えに来たクレメンスさんに画像を見せたら笑い転げていた。
プリントアウトできないから画家のリヴァさんに見せて描いてもらうつもりだ。
気に入ったのしか描かないらしいけど、きっと気に入ると思う。うちの子供達をモデルにした天使シリーズはちょっとセクシーな妄想シリーズ以上にバカ売れらしいし、描いてもらえるだろうと気軽に考えています。
……超有名人気画家、なんだけどね。(笑)
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