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おお!っと王都で驚いた
肖像画制作開始
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「リヴァのモデルなんてすごいです!」
「知ってる?」
「大人気ですよ!?」
オーダーの1点物はともかく、リヴァさんが型を作った陶器のレリーフは量産できるから安くて手に入りやすく、若者にも人気らしい。
インスピレーションが湧くと新作が出る。それは可愛かったりかっこよかったり、とにかく欲しくなるそうだ。
「妄想で作るとエロくなる、って聞いたんだけど……」
「実際のところは分かりませんが『妄想シリーズ』と言う物がありまして……」
モデルをはっきりさせないセクシーを売りにしたシリーズがあると言う。モデルが誰だか分からないのならそんなに緊張しなくても良いのかな?
「マインラートくんも持ってるの?」
「えっ!? い、いや、その……」
あ、セクシー系のって事はえっちな本持ってる? って聞いてるのと一緒?セクハラ?
「ごっ、ごめんね、変な事聞いて!!」
「いえ、その、……持って……ま……」
最後はごにょごにょとはっきりしなくて「ます」なのか「ません」なのか聞き取れなかった。
2日後、リヴァさんがやって来た。
家族に話はしてあるから客間に通される。夏なのに黒ずくめでフードまでかぶって怪しい感じ……。体温調節できるから暑くはないんだろうけど。
「ようこそおいで下さいました。この子が息子のハルトムートです」
「うぉっ! か、かわいい……小さな天使ですね」
「そうなんです! 天使なんです! 肖像画もこの可愛らしさをしっかり写し取って下さいね!」
「……依頼人の子供を褒めるのはただのリップサービスだろう?」
「そんな事ありません! 今まで見てきた子供たちの中で一番可愛いです!」
「うちにはもう1人天使がいるんだがね」
ハルトを褒められて舞い上がってしまったけど、ザシャさんの言う通りリップサービスかも知れない。でも子供らしいプラチナブロンドに榛色の瞳でゆるふわウェーブの髪をツインテールにしているから女の子……いや、天使にしか見えない!!
……気を落ち着けた頃にエミールさんがアレクを連れてきた。また褒めちぎってる。もしやただの子供好きなんじゃ……?
「クサーヴァー、家族の肖像画だからこの子も描いてくれるんだよな?」
「エ、エミール……勿論だ」
「あ、こんにちは! きょうはなにをかいてくれるの?」
「今日は君達を描くための準備だよ」
「えーっ!? アイデクセかいてー!」
おれの観察に庭師見習いとして来てた時、アレクに絡まれて(?)地面に絵を描いてくれたようだ。そしてエミールさんとは幼馴染だった。
「秘密って言ったのに、今言っちゃったよね?」
「あぁっ!!」
口を滑らせたアレクが頭を抱えている。内緒だったのか。(笑)
リヴァさんは基本のスケッチをした後、日常生活を見て絵の構成を考えて描くらしいので、まずは1人ずつスケッチする。早速お仕事始めるなんて熱心だなぁ。
眺めていたらまさかの早技。
ハルトは1分だってじっとしていられないのに、特徴を捉えたスケッチを量産していく。どんなスキルなの!?
「瞬間記憶、と言うらしい。意識をすればその場面を完全に記憶できて、絵に描く事ができる。例えば小さなパーティーの参加者が30人だとするとその全員の服装、髪型、その日の料理、部屋の飾り付けまで詳細にな」
「「すご……」」
エミールさんの説明に俺とマインラートくんの目が点になる。
「まぁ、スケッチは速いけど仕上げは時間かかるからね。1ヶ月か2ヶ月は待ってね」
「あ、1ヶ月後だとハルトの誕生日あたりだ。間に合うと嬉しいなぁ」
「あー、確約はできないけど努力します。だから他のモデルもよろしくね?」
「はい」
リヴァさんは10日程通いつめて家族全員のスケッチを終え、おれもいろんな衣装(フィールの検閲済)で立ったり座ったり寝そべったりしてモデルをやった。これから創作のために完成まで引きこもるらしい。なんだか寝食を忘れそうで心配だけど、大丈夫かなぁ?
使用人もいるし、大先生だから弟子が面倒を見るので平気だって。余計な心配だった。
リヴァさんが通いつめた10日の間にフィールの誕生日が来た。みんなでちゃんと休みを取ってパーティー! ユリアヌスさん夫婦も今回は初めから来てくれている。それと許可をもらって双子ちゃんも招待したらあの時見せてくれたワンピースと騎士服で来てくれてめちゃくちゃ可愛い。スリーピースで決めていたアレクが騎士服を着たがって駄々をこねたら双子ちゃんのお母さんのシュテファンさんがニンマリ笑ってもう1着の小さな騎士服を出してきた。
海で一緒に遊んだ時に着てくれたらいいなぁ、ってサイズの見当をつけて用意してくれてたんだって。小さな騎士が2人に姫が3人。リヴァさんがすごい勢いでスケッチしてた。(笑)
「それではみなさま、おたんじょうびの おいわいのうたを うたいます。きいてください」
アレクが執事さんに合図を送り、ヨハンとハルトを連れてリビングにいつの間にか作られた舞台に上がって挨拶をした。みんなで盛大な拍手~!!
「知ってる?」
「大人気ですよ!?」
オーダーの1点物はともかく、リヴァさんが型を作った陶器のレリーフは量産できるから安くて手に入りやすく、若者にも人気らしい。
インスピレーションが湧くと新作が出る。それは可愛かったりかっこよかったり、とにかく欲しくなるそうだ。
「妄想で作るとエロくなる、って聞いたんだけど……」
「実際のところは分かりませんが『妄想シリーズ』と言う物がありまして……」
モデルをはっきりさせないセクシーを売りにしたシリーズがあると言う。モデルが誰だか分からないのならそんなに緊張しなくても良いのかな?
「マインラートくんも持ってるの?」
「えっ!? い、いや、その……」
あ、セクシー系のって事はえっちな本持ってる? って聞いてるのと一緒?セクハラ?
「ごっ、ごめんね、変な事聞いて!!」
「いえ、その、……持って……ま……」
最後はごにょごにょとはっきりしなくて「ます」なのか「ません」なのか聞き取れなかった。
2日後、リヴァさんがやって来た。
家族に話はしてあるから客間に通される。夏なのに黒ずくめでフードまでかぶって怪しい感じ……。体温調節できるから暑くはないんだろうけど。
「ようこそおいで下さいました。この子が息子のハルトムートです」
「うぉっ! か、かわいい……小さな天使ですね」
「そうなんです! 天使なんです! 肖像画もこの可愛らしさをしっかり写し取って下さいね!」
「……依頼人の子供を褒めるのはただのリップサービスだろう?」
「そんな事ありません! 今まで見てきた子供たちの中で一番可愛いです!」
「うちにはもう1人天使がいるんだがね」
ハルトを褒められて舞い上がってしまったけど、ザシャさんの言う通りリップサービスかも知れない。でも子供らしいプラチナブロンドに榛色の瞳でゆるふわウェーブの髪をツインテールにしているから女の子……いや、天使にしか見えない!!
……気を落ち着けた頃にエミールさんがアレクを連れてきた。また褒めちぎってる。もしやただの子供好きなんじゃ……?
「クサーヴァー、家族の肖像画だからこの子も描いてくれるんだよな?」
「エ、エミール……勿論だ」
「あ、こんにちは! きょうはなにをかいてくれるの?」
「今日は君達を描くための準備だよ」
「えーっ!? アイデクセかいてー!」
おれの観察に庭師見習いとして来てた時、アレクに絡まれて(?)地面に絵を描いてくれたようだ。そしてエミールさんとは幼馴染だった。
「秘密って言ったのに、今言っちゃったよね?」
「あぁっ!!」
口を滑らせたアレクが頭を抱えている。内緒だったのか。(笑)
リヴァさんは基本のスケッチをした後、日常生活を見て絵の構成を考えて描くらしいので、まずは1人ずつスケッチする。早速お仕事始めるなんて熱心だなぁ。
眺めていたらまさかの早技。
ハルトは1分だってじっとしていられないのに、特徴を捉えたスケッチを量産していく。どんなスキルなの!?
「瞬間記憶、と言うらしい。意識をすればその場面を完全に記憶できて、絵に描く事ができる。例えば小さなパーティーの参加者が30人だとするとその全員の服装、髪型、その日の料理、部屋の飾り付けまで詳細にな」
「「すご……」」
エミールさんの説明に俺とマインラートくんの目が点になる。
「まぁ、スケッチは速いけど仕上げは時間かかるからね。1ヶ月か2ヶ月は待ってね」
「あ、1ヶ月後だとハルトの誕生日あたりだ。間に合うと嬉しいなぁ」
「あー、確約はできないけど努力します。だから他のモデルもよろしくね?」
「はい」
リヴァさんは10日程通いつめて家族全員のスケッチを終え、おれもいろんな衣装(フィールの検閲済)で立ったり座ったり寝そべったりしてモデルをやった。これから創作のために完成まで引きこもるらしい。なんだか寝食を忘れそうで心配だけど、大丈夫かなぁ?
使用人もいるし、大先生だから弟子が面倒を見るので平気だって。余計な心配だった。
リヴァさんが通いつめた10日の間にフィールの誕生日が来た。みんなでちゃんと休みを取ってパーティー! ユリアヌスさん夫婦も今回は初めから来てくれている。それと許可をもらって双子ちゃんも招待したらあの時見せてくれたワンピースと騎士服で来てくれてめちゃくちゃ可愛い。スリーピースで決めていたアレクが騎士服を着たがって駄々をこねたら双子ちゃんのお母さんのシュテファンさんがニンマリ笑ってもう1着の小さな騎士服を出してきた。
海で一緒に遊んだ時に着てくれたらいいなぁ、ってサイズの見当をつけて用意してくれてたんだって。小さな騎士が2人に姫が3人。リヴァさんがすごい勢いでスケッチしてた。(笑)
「それではみなさま、おたんじょうびの おいわいのうたを うたいます。きいてください」
アレクが執事さんに合図を送り、ヨハンとハルトを連れてリビングにいつの間にか作られた舞台に上がって挨拶をした。みんなで盛大な拍手~!!
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