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ほんの番外編⑪
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ーー チサト side ーー
ハルトがお昼寝している間に足に薬を塗ってもらう。もう歩けそうだけど、フィールが許してくれない。
それから荷造りを終わらせる。今日着ている服と寝間着はそれ用のバックに入れるから後回しでOK。もらったお土産はすぐ取り出せる所にしまった。
ダンダンダンッ!
「ドロボーは ここでしゅか!?」
「こらヨハン! なに失礼な事言ってるの!」
「ドロボーってなんのこと? ヨハンはなんでそんなこというの?」
「ふぎゃーーーー!!」
突然の訪問者の大声に驚いたハルトが目を覚ます。えーっと?
フィールがハルトを抱き上げて渡してくれる。少しぐずっただけで泣き止んだけど、おむつも替えないと。
ひたすら恐縮して謝るママさん(推定)に問題ないと伝え、おむつを替えて抱き直すとハルトの機嫌はすっかり直っていた。
「ドロボーは あかちゃんでしゅか? おにーしゃんでしゅか? おじちゃんでしゅか!?」
「ヨハン! す、すみません、アレクシスが連れて行かれると思って、その……」
なるほど、毎日一緒に勉強してる友達が突然遠くに行くなんて我慢できないよね。……フィールがおじさん……?
「アレクシスが自分でうちの子になると言ったのに、なぜ私達が泥棒になるんだ?」
「ぴ!」
滅多に聞くことがないほど低い声でフィールが言うと、ぷんぷん怒っていたヨハンがみるみるしぼんで今にも泣き出しそうだ。
「だって……だって……あれしゅが、とおくに いっちゃうってえぇぇぇ……! わぁぁぁぁん!」
「ヨハン……」
アレクシスはわくわくしながらハルトと一緒にうちに来るって言ったんだろうなぁ。ヨハンが悲しむなんて考えもせずに。眼に浮かぶ。
ハルトと来ればヨハンと離れ離れになり、ヨハンと居るとハルトと離れる。難しいよねー、と考えていたら。
「ヨハンもいっしょにいこう!」
なるほど!!
結局、まだ3歳のヨハンを親から引き離す訳には行かないと説明し、今度ヨハンとヨハンのお母さんもアレクシスと一緒にうちに遊びに来てね、と約束して落ち着いた。
お母さんとおれとフィールの3人でお茶を飲みながら夕方まで3人で遊ばせる。ユリアヌスさんからもらったおしゃぶりをおやつに出したらみんな喜んだ。薄味の干物だから美味しいし、飲み込んでも大丈夫。
仲良く遊び、少しケンカもしてヨハン達は夕飯前に帰った。アレクシスは並べた箱をハルトが蹴り飛ばしても気にしないどころか歓迎してるけど、ヨハンは自分が積み上げた物を崩されるのが気に入らないらしい。
ハルトはまだ赤ちゃんで、2つ重ねるのが精一杯。そして積み重ねるより蹴って飛ばす方が好きなんだよねー。ごめんね?
……蹴っては「ちょい!」って言ってるからおじいちゃんのマネ???
「ヨハンくんはアレクシスが大好きなんですね」
「はい。兄弟のように毎日一緒に勉強して遊んでいますから。それに2人で遊んでくれてると僕も家の事がやり易くて助かってます」
「分かります! おれもハルトに兄弟がいたら良いな、って思ってて。でもここまで来るのは少し遠いんですよね……」
「フィッツェンハーゲンの町ですものね」
さっきはつい誘っちゃったけど無理しないで、と言ったらたまには家を離れたいと言うのでそれならばぜひ!と誘っておいた。
ヨハン達を見送り、夕飯を食べて休む。
明日の朝、出発だ。
フィールがおれの「ハルトの兄弟が欲しい」発言に食いついて、今日はしないつもりだったのにハルトをエミールさんに預けて甘々に抱かれた。
「ハルトを預かってくれ」(あ、察し)の流れが恥ずかしすぎる……!!!
次は泳げる時期に来たいなー、とか怪我したら楽しめないからもっと気をつけようとか、今からわくわくしてる。ハルトは泳ぐの好きかな? 顔に水がかかっても気にしないからきっとすぐ泳げるようになると思う。水着ってあるのかな?まさか褌じゃないよね!?
川でしか泳いだ事ないけど、海ってどうなんだろう? それに機会があれば船にも乗りたい。遊覧船はなくても舟遊びできるかな?
次に王都に来る時に思いを馳せながら馬車に乗り込んだ。ギュンターさんちの馬車で隣町まで。町と町は馬車がピストン輸送しているのでそれを乗り継ぐ。自家用馬車があれば直通で行けるけど、うちは必要としてないもんね。
ハルトが大きくなって馬に乗れるようになったら馬車じゃなくて馬で来ても良い。おれも乗馬の練習しよう。リタくらいお利口な馬なら乗れるよね。
「ハルト! こんどはボクがいくからね!」
「ヨハンもいくの! わすれないでね! 僕の作ったおうち、こわさないでね!」
今回は吐かなかったものの、やっぱり大泣きするアレクシスと、わざわざ見送りに来てくれたヨハン親子。ハルトが蹴って壊したヨハンの積み木(?)はお家だったのか。
ギュンターさんとエミールさん、お父さんとお母さん、おじいちゃん達も見送ってくれて、仲良し家族がとても嬉しかった。
なかなか会えないけど、これからもずっと仲良くして下さい。
ハルトがお昼寝している間に足に薬を塗ってもらう。もう歩けそうだけど、フィールが許してくれない。
それから荷造りを終わらせる。今日着ている服と寝間着はそれ用のバックに入れるから後回しでOK。もらったお土産はすぐ取り出せる所にしまった。
ダンダンダンッ!
「ドロボーは ここでしゅか!?」
「こらヨハン! なに失礼な事言ってるの!」
「ドロボーってなんのこと? ヨハンはなんでそんなこというの?」
「ふぎゃーーーー!!」
突然の訪問者の大声に驚いたハルトが目を覚ます。えーっと?
フィールがハルトを抱き上げて渡してくれる。少しぐずっただけで泣き止んだけど、おむつも替えないと。
ひたすら恐縮して謝るママさん(推定)に問題ないと伝え、おむつを替えて抱き直すとハルトの機嫌はすっかり直っていた。
「ドロボーは あかちゃんでしゅか? おにーしゃんでしゅか? おじちゃんでしゅか!?」
「ヨハン! す、すみません、アレクシスが連れて行かれると思って、その……」
なるほど、毎日一緒に勉強してる友達が突然遠くに行くなんて我慢できないよね。……フィールがおじさん……?
「アレクシスが自分でうちの子になると言ったのに、なぜ私達が泥棒になるんだ?」
「ぴ!」
滅多に聞くことがないほど低い声でフィールが言うと、ぷんぷん怒っていたヨハンがみるみるしぼんで今にも泣き出しそうだ。
「だって……だって……あれしゅが、とおくに いっちゃうってえぇぇぇ……! わぁぁぁぁん!」
「ヨハン……」
アレクシスはわくわくしながらハルトと一緒にうちに来るって言ったんだろうなぁ。ヨハンが悲しむなんて考えもせずに。眼に浮かぶ。
ハルトと来ればヨハンと離れ離れになり、ヨハンと居るとハルトと離れる。難しいよねー、と考えていたら。
「ヨハンもいっしょにいこう!」
なるほど!!
結局、まだ3歳のヨハンを親から引き離す訳には行かないと説明し、今度ヨハンとヨハンのお母さんもアレクシスと一緒にうちに遊びに来てね、と約束して落ち着いた。
お母さんとおれとフィールの3人でお茶を飲みながら夕方まで3人で遊ばせる。ユリアヌスさんからもらったおしゃぶりをおやつに出したらみんな喜んだ。薄味の干物だから美味しいし、飲み込んでも大丈夫。
仲良く遊び、少しケンカもしてヨハン達は夕飯前に帰った。アレクシスは並べた箱をハルトが蹴り飛ばしても気にしないどころか歓迎してるけど、ヨハンは自分が積み上げた物を崩されるのが気に入らないらしい。
ハルトはまだ赤ちゃんで、2つ重ねるのが精一杯。そして積み重ねるより蹴って飛ばす方が好きなんだよねー。ごめんね?
……蹴っては「ちょい!」って言ってるからおじいちゃんのマネ???
「ヨハンくんはアレクシスが大好きなんですね」
「はい。兄弟のように毎日一緒に勉強して遊んでいますから。それに2人で遊んでくれてると僕も家の事がやり易くて助かってます」
「分かります! おれもハルトに兄弟がいたら良いな、って思ってて。でもここまで来るのは少し遠いんですよね……」
「フィッツェンハーゲンの町ですものね」
さっきはつい誘っちゃったけど無理しないで、と言ったらたまには家を離れたいと言うのでそれならばぜひ!と誘っておいた。
ヨハン達を見送り、夕飯を食べて休む。
明日の朝、出発だ。
フィールがおれの「ハルトの兄弟が欲しい」発言に食いついて、今日はしないつもりだったのにハルトをエミールさんに預けて甘々に抱かれた。
「ハルトを預かってくれ」(あ、察し)の流れが恥ずかしすぎる……!!!
次は泳げる時期に来たいなー、とか怪我したら楽しめないからもっと気をつけようとか、今からわくわくしてる。ハルトは泳ぐの好きかな? 顔に水がかかっても気にしないからきっとすぐ泳げるようになると思う。水着ってあるのかな?まさか褌じゃないよね!?
川でしか泳いだ事ないけど、海ってどうなんだろう? それに機会があれば船にも乗りたい。遊覧船はなくても舟遊びできるかな?
次に王都に来る時に思いを馳せながら馬車に乗り込んだ。ギュンターさんちの馬車で隣町まで。町と町は馬車がピストン輸送しているのでそれを乗り継ぐ。自家用馬車があれば直通で行けるけど、うちは必要としてないもんね。
ハルトが大きくなって馬に乗れるようになったら馬車じゃなくて馬で来ても良い。おれも乗馬の練習しよう。リタくらいお利口な馬なら乗れるよね。
「ハルト! こんどはボクがいくからね!」
「ヨハンもいくの! わすれないでね! 僕の作ったおうち、こわさないでね!」
今回は吐かなかったものの、やっぱり大泣きするアレクシスと、わざわざ見送りに来てくれたヨハン親子。ハルトが蹴って壊したヨハンの積み木(?)はお家だったのか。
ギュンターさんとエミールさん、お父さんとお母さん、おじいちゃん達も見送ってくれて、仲良し家族がとても嬉しかった。
なかなか会えないけど、これからもずっと仲良くして下さい。
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